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藤岡店長

ライブハウス神戸VARIT.の店長は藤岡です。めちゃくちゃ大好きで、大切にしているライブハウスだからこそ、VARIT.の店長を任せることは難しい。。彼女のことを、少し書いてみようと思います。

「藤岡との出会い」

南出がVARIT.店長になったのは、確か2009年だったかと思います。ってことは35歳か。藤岡に店長をお願いしたのは去年のVARIT.の誕生日、2019年7月23日だったので、藤岡29歳。店長はライブハウスの顔と考えているので、若いうちにいろいろ経験し、街の中で存在感を発揮して欲しいなぁ、と期待しての抜擢でした。30歳になる前になんとか彼女を店長にしたい、、、!そう思って実現させました。

もう9年くらい働いているのかな?藤岡は和田山出身で、弟が大学に行くということで、それに付いて神戸に引っ越して来たようです。なんと言っても彼女の原点は「ジャパハリネット」。10代から神戸や大阪、愛媛へと遠征し、ライブハウスというものの存在に済われて来た、とのことでした。

そんな藤岡がVARIT.で働いてみたい、と思ったのは、当時の「ジャングルライフ」というインディーズフリーペーパー?雑誌に、僕がVARIT.のことを書いていて、そこに惹かれたからという理由だったそうです。

(↑表紙データがないくらい古いんですね。笑)

履歴書を直接事務所に持って来てくれたことを覚えています。その時はスタッフもたくさんいたので、すぐに面接とはいかず、しばらく履歴書を預かったままになっていました。

履歴書を預かって3ヶ月くらい経った頃だと思います。ふと「働きたいと言ってた子、いたなぁ」と思い出し、履歴書を見てみたんですが、志望動機のところに埋め尽くされた文字の多いこと!そしてすごく丁寧に自分の想いが綴ってあることを理解し、すぐに電話をし、面接に至りました。

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(↑今もまだ、この履歴書を超える子はいない)

そして採用。ただ、「音楽を仕事にする」ということに対して抵抗を持っていたのだと思います。基本的に彼女が持ち合わせている「ボランティア」の気持ちなのかなぁ?お給料は安くていいんです、、と言っていて(もちろん、ライブハウスのお給料っていうのは、、、なかなか難しいものがあるんですが)、「仕事」として捉えていないところが責任の甘さだったりして、ともかく「教育」という言葉を使わせてもらえるなら、本当に教育に苦労したスタッフでした。南出が直接指導する、最後の「鬼っぷり」でしたから(笑)。

当時、スタッフにペアを割り振って考えていて、お互いに刺激しあって、成長していったら面白いんじゃないかなぁ?と思っていたんですが、藤岡は、彼女と同時期に入って来た「勝山」という17歳の男の子とペアにしていました。ただこの2人、ほんとに悩みの種で、ずっとしょーもないことで喧嘩ばっかりしてる。姉弟喧嘩、みたいな感じ。「そんなんどっちでもええやん」ってことで激しく言い合って、「めっちゃ大事やん」ってことはシレーッと知らんぷり。何度叱ったことか。。。今でもその時の不貞腐れた2人の顔は脳裏に浮かびます(笑)。

「藤岡と語るライブハウス論」

ライブハウスって、ほんとに特殊な仕事だと思うんです。「お客さんって誰?」と考えると、実は「アーティスト」がお客さんなんですよね。そのアーティストが連れて来てくれる、チケットを購入してくれた「来場者」をライブハウスのお客さんと思いがちですが、実は違う、と思うんです。もちろんドリンクチケットを入口でご購入いただいたり、追加ドリンクをバーカウンターで飲んでいただいたりするので、「来場者」もライブハウスの「お客さん」であることは間違いないのですが、現状アーティストではなく「VARIT.」に付いている「お客さん」は皆無に等しくて。。

例えば、僕らアーティストブッキングをしている人間にとっては、大好きなアーティストに対して「神戸の人たちに観てもらいたいな!」と思うから、「ぜひ神戸VARIT.に来てください!」とアーティストにお願いするわけです。3,000円のチケットで100人来てくれたとすると、300,000円がチケット売上となります。土日で開催するとなるとVARIT.の会場使用料は30万円近くが定価なんですね。例えば280,000円だったとします。300,000円のチケット売り上げがあったので、会場費の280,000円を差し引くと20,000円が残ります。僕らが「ぜひ神戸に来てください!」と言ってたアーティストに終演後、「では、出演料として20,000円をお渡ししますね」なんて言ったら、、、もうそのアーティストは絶対にVARIT.には来てくれない、、、ですよね?

「オマエら、オレらのことが大好きですって口説いといて、会場費丸儲けの、経費合わせて出演料20,000円って!」となるハズです。僕が出演者なら、きっとそう思う(笑)。

だからこそ、アーティストとは肩組んで、一緒にイベントを作っていきたい、と思うんです。その間には「信頼」が絶対に存在するべきで、経費やギャラは「お金」という単位で精算しますが、お互いの「信頼」=「お金」が成り立っているべきか、と思っています。

逆に、大好きで呼んだアーティストなんだから「会場費ゼロ円でいいですよ!」というのも間違っていると思います。これで月間の収支が成り立っていればいいですが、そんなことはなかなか難しいハズだし、人件費を削りまくれるのか?と考えるとそんなわけにもいかないし、家賃が払えなくなったら、ライブハウスは無くなっちゃう。

だからこそ「信頼」をどう積み上げていけるのか、スタッフ1人1人が毎日の全出演者に対して、どうやって信頼に値する動きが出来て、価値を感じていただくことが出来るのか。。。それはアーティストが連れて来てくれる「来場者」の方に対してもそう。ただの「来場者」の方々に、VARIT.の「お客さん」になってもらうには、どんなことが必要なんだろうか。何かが足りないから、現状がこんな感じなのではないだろうか?

藤岡にはこんなことばっかり、9年間、ずっと話してます(笑)。

「心の拠り所」

一時期は「もう顔も見たくない!帰れっ!」と言ったり、「給料下げるぞ!」って言って、本当に下げてたり、、、(これは覚えてなくて、藤岡が言い張るのですが。。苦笑)。ブラックの極み、ですね。。今なら完全アウト!です(いや、当時もアウトか。。)。

でも、それくらい「藤岡を、絶対にここで、ライブハウスで、VARIT.で、生きていけるようにする!」という僕の勝手な命題に対して、真剣に取り組んで、8年かけて店長をお願いしたのは事実です。

昨日Facebookに書いた「神戸大学バリュースクール設立記念式典」で感じたこと。

「文系」と「理系」の領域を横断した考えが出来る人材を、、、から、どうやって人口減を乗り越えるか?人口減は予測じゃなくて、決定事項です、ということ、自分たちの脚でちゃんと立たないといけない、とか、垂直統合、中央集権的なものが、フラットな自立分散型になり、権威ではなく、人の心や愛情が物事を決めるようになる、とか。

この最後の部分「権威ではなく、人の心や愛情が物事を決めるようになる」について、藤岡店長はとても重要な存在になる、と踏んでいます。

本人曰く、和田山の田舎育ち。ひきこもり。音楽との出会い方。左利き。

最後の左利きは関係ないかも知れませんが(僕はB型の左利きに弱い。藤岡は血液型を調べてないらしい。何故だ、、、笑))、藤岡のことを僕は、すごくアウトローな人間なんじゃないだろうか、と思っていて、アウトローな人間は、「世の中では普通だと思われていることに疑問を持つ性質があるんじゃなかろうか?」とか、「何かを変えたい、、、!と変化を起こす力を持っているんじゃないか?」とか、常々思っています。フラストレーションってやつでしょうか。

VARIT.を運営する会社の社長として、「このままでいいな」と思っている人物に店長を任せたいとは思わないし、「納得できないことがある!」と世の中と対峙するような、、、そんな人間と組みたいと思っています。

もしかしたら世の中的には藤岡は「???」と思われる人かも知れないし、ライブハウス神戸VARIT.の店長が藤岡であることに、疑問を持つ人もいるかも知れない。本人も気にしているかも知れない。けど、気にしていないかも知れない。

でも藤岡店長は、人の心がわかる店長だ、と僕は自信を持っています。

最後に藤岡の履歴書から「志望動機」と「自己PR」を紹介します。

<志望動機>
この春より神戸に住む事となり、高校時代からの夢であったライブハウスの仕事に就きたいと考えていたところ、JUNGLE★LIFE様2月号にて貴社の記事を拝読しました。以前より貴社には思い入れがあったのですが、人と町と音楽との繋がりを固く結んでおられる姿勢やポジティブな未来像に心惹かれるものを感じ、是非貴社で誰かにとっての帰る場所で働きたいという思いとライブハウスを文化として未来に残したいという思いを実現したいと考え、志望致しました。
<自己PR>
私はこれまでインターネットではなく、自らの電波を張る事で音楽とその中の希望と巡り合い、ライブハウスという空間で希望を確信に変えてきました。なので幅広い知識はないかもしれませんが、周りに流されない情報の取捨選択能力はあるのではないかと思います。時代にとらわれ過ぎる事のないよう日々現場から学び、自らも得たものを発信できるスタッフとして貴社を、そして神戸の音楽を盛り上げるお手伝いをさせて頂きたいです。貴社が音楽を愛する人の心の拠り所となる事が私の望みです。

今だから感じることもありますね。今だから「大切」と思えることを、すでに2011年に感じている。インターネットは思うよりも身近な存在になりはしましたが。

ライブハウス神戸VARIT.は、このような人物が店長です。藤岡店長には、このnoteにも参加してもらおうと考えています。このnoteの管理は、「南出」個人ではなく、「LIVE HOUSE KOBE VARIT.」ですのでね。今しばらくお待ちくださいね。

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