【創作小説】とある者。
僕らの関係性は黒と白。或いはこの世を正す者と欠陥。
それらはどちらも青い煙で混ざり合う。君は僕をどう見ているのだろう。
僕は君を愛する者や大切な友人とも思えない。
しかし、毎晩の口付けは、この冬の街を蕩けさせるほど。
孤独であるからこその僕らには、お互いを蝕むしかないのだろう。
いつものように、屋上での待ち合わせをして、冷たい視線で挨拶を交わしたら、
獣の様にお互いを求めあう。このまま、このまま、この屋上から共に飛び降りたら、
何よりも凄まじい快楽であろう。
美しくも、素晴らしくもない僕らは、こうして互いの最期を夢想しながら、
白い息を絡め合わせる。
「最期に話したいことはあるかい。」
僕は君に聞く。君は長いまつ毛のカーテンから、青い瞳を覗かせて、
僕の耳元で囁いた。
「何もないわ、貴方さえ居れば。」
贅沢すぎる、と微笑んだ。
僕らは、ただ、ただ接吻を繰り返して、
そして、夜空に落ちていった。
落ちている刹那に、君と僕は、独りになれたのだと思う。
この狭い白と黒の世界で、僕らはただ独り。
これは、
何度も、何度も語られる心中。
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