(53)苦手は苦手
お正月明けには
「今年こそ自分の作品を完成させる!」
と力強く語ってくれた2人だったが、製作は一向に進まず長い1日を持て余しながら過ごしている。
リュウからは
「漫画の始まりと終わりだけできたんだけど、真ん中ができない」
となぞの相談を受け、その翌日にケンから
「ストーリーのオチができなくて、展開ばかり永遠に続いてしまう」
と悩みを打ち明けられた。
ケンに
「リュウは最初と最後のオチだけ作ったけど、それを繋ぐ真ん中が描けないと言ってたよ」
と伝えると
「リュウは発想が独特だから面白いことを思いつくんだろうな。俺はそれができなくて真ん中の展開ばかりダラダラ描いてしまう」
と言うので、それをそのままリュウに伝えると
「俺は社会性がなく人生経験も乏しいから、人の気持ちとかよくわからないんだよ。だから話の真ん中が描けない。そうか、ケンは描けるのか、いいなぁ…」
と羨ましがっていた。
そして私は
「物語にある「起承転結」の「起」と「結」をリュウが、「承」と「転」はケンが描けばいいじゃないかっ!」
と叫んだがケンとリュウそれぞれから却下された。相変わらず2人は口もきかないし顔も合わせない。
そんな凹凸の2人だが、強烈に揃って苦手なものがある。それは
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