見出し画像

僕とラジオ

「続報きました! え〜、森のカルロス大根さん」

「伊集院光 深夜の馬鹿力」で初めて投稿が読まれた。ラジオで読まれるのなんて10年ぶりくらい。思わず、えっと叫んでしまった。面白ニュースを投稿する「小耳にねじ込め!」というコーナー。だから自分の思いついたネタでもないし、さらにはそこで前回読まれた話題の続きを目にしたから投稿しただけのラッキー採用。自分の力で読まれたわけじゃないので別に誇れることでもないが嬉しい。昔はハガキ職人だったのだ。

中学時代

車に乗ればbayfmが流れてる家庭で育った。「ベイエフエムトラヒックアップデーツ」の曲を死ぬほど聞いたので、今でもピアノでこの曲を弾ける。日本道路交通情報センターって長い割にめっちゃ言いやすくて気持ちいい言葉だよね。墾田永年私財法みたいな。

だから、中学の入学祝いに買ってもらったのもCDコンポだった。当時はラジオを聞くのにコンポが必要だと思い込んでいたのだ。ラジオがメインだったので、ついでにCDとカセットも聞けるやーん、て感じだった。最初はbayfmを聞き倒していた。BAY LINE 7300(ななせんさんびゃくではない、セブンスリーオーオーだ)がちょうど学校から帰ってくるとやってるので、部屋にこもってそれを聞きながら宿題をやるのが日課だ。この番組は生のいわゆる電リク番組。当時はネットもまだそこまで普及しておらず、ラジオ局に電話して募集テーマの小トーク(踊るさんま御殿の視聴者投稿コーナーみたいなやつ)を喋ってひと盛り上がりした後この曲かけて!とやっていた。ただ、俺はまだ携帯も持ってないし、当然イエ電も使えない。母親のいる前でこの曲かけてくださいなんて言う勇気があれば、学生時代に彼女の1人もいたであろう。だからラジオ局にこちらからアプローチするなんて想像出来なかった。

が、募集テーマが「難しいなぞなぞ」の回があり、その時に初めてハッと「送りたい!」となった。やっとうちにもパソコンが来た頃で、それで投稿しようと思ったのだ。今でもよく覚えているのだが、それは試験週間でパソコン禁止令が出されてるタイミング。だからわざわざ母親に「ラジオに投稿したいから一瞬パソコン使わせて。 投稿したら電源切るから」と頼み込んでまで送った。当然めちゃくちゃ難しいなぞなぞに心当たりがあり採用されるかもと思ったからだが、

「Q.クジラより大きいのにミジンコより小さい生き物なーんだ?」

「A.イルカ(そんなものいるか!)」

というひどく子供騙しの、今思えば自信満々の意味がわからないなぞなぞだった。とはいえ、その時は「採用されるかも」と耳をかっぽじって聞き、誰かが読まれる度に落胆しては「今日のお相手は〜でした。また来週!」の挨拶を聞いたのだった。

それからはその読まれるかものドキドキ感がクセになり、ちょいちょい投稿するようになった。だが、同じくラジオを聞いてるという同級生と話すと全然話が合わない。やつが聞いてるのはAMだったからだ。

AMとの出会い

ラジオを聞かない人は分からないかもしれないが、AMとFMにはかなりの格差がある。FMの方が後からできた放送だから、音質もいいし聞きやすい。一方で、AMは音質悪いし野球中継ばっかりだしとっつきにくいとも言える。FMがスタバだとすればAMはルノアール。オシャレ感ある聞いてるだけで意識上がりそうな放送がFMで、タバコの匂いが香ってくる、スポーツ新聞開くカサカサした音が聞こえてきそうな放送がAM。今まで散々FMを聞いてきたのに、性に合うのはAMだった。

そいつがよく聞くというのが「伊集院光 深夜の馬鹿力」「爆笑問題カーボーイ」「ナインティナインのオールナイトニッポン」あたり。さらにはアイドルオタクのやつの勧めで「あなたがいるから 矢口真里」、なんとなく「福山雅治 魂のラジオ」なども聞いていた。そしてなんといっても深夜1時からのオールナイトニッポンの前の「知ってる?24時」を欠かさず聞いていた。

「知ってる?24時」は今でこそ大司会者の地位を確立したくりぃむしちゅーの上田晋也がピンでやっていたラジオ番組だ。当時は上田もうんちく王としてブレイクし銭形金太郎なんかではまだパネラーの1人として出演していた。まぁそれに大ハマりして、初めて投稿が読まれたのはこの番組だった。そのことをAMを教えてくれた友人に話すと「おまえラジオネームは?」。当時はその時のあだ名で投稿していた。が、そいつは言う。

「そのラジオネームじゃ面白くないから面白いラジオネームにしろよ。面白いラジオネームの方が読まれるかもだろ?」

そんな話で、今決めろと急かすそいつに「森の大根」はどうだ?と提案した。森に大根なんてないのにシュールで面白いだろ?と精一杯のセンスを表現したつもりなのだが、そいつは分かってくれず「それだけじゃ面白くない」と言う。サッカー部だったそいつは「ロベルトカルロス好きだからロベルトかカルロスを入れてくれよ」とかサッカーに興味のない俺に意味のない懇願をする。「ロベルト森の大根」を推すそいつに「シルバニア 森のパン屋さん」みたいで嫌だと拒否し「森のカルロス大根」でやるよと宣言した。

ハガキ職人への道

それからは「森のカルロス大根」として投稿していた。一度、知ってる?24時のジングルに選ばれ、電話がかかってきたことがある。投稿を読んだのを事前に録音して本番で流すのだ。母親が隣にいる状態で「おい上田!ラジオネーム、森のカルロス大根だ」から始まる内容を読まされる恥辱。母親からは「おいなんて上田さんに失礼じゃないの」と怒られるし(その番組では、男子はおい上田、女子はねぇ晋也と呼びかける決まりがあった)、「森のカルロス大根って何?」と聞かれるしで二度と電話では登場しないことを誓った。

そんな風にポツポツ読まれることも増えて、例のサッカー部のやつにそれを自慢すると「それ聞かないと信じねーわ」とまた無茶を言い出す。今みたいにラジコなんてないからラジオなんて基本一回性のものだ。しゃあないから「次読まれたら録音してやるよ」と次からはカセットをセットした状態でラジオを聴くようになった。

投稿したコーナーが始まると録音ボタンに手をかけて聴く。「ラジオネーム、森の」くらいまできたらポチっと押して投稿が読み終わりそのリアクションがあるまで録音する。早速そいつに渡したが、「へー」と言うだけですぐそのテープは返ってきた。それからはというものそのテープは「森のカルロス大根登場集」の様相を呈し、どんどん俺の投稿が録音され、B面にまで突入した。

だが、何度投稿しても読まれない番組が2つあった。ナインティナインのオールナイトニッポンと伊集院光 深夜の馬鹿力だ。

TVでいう視聴率、聴取率というやつが深夜ラジオの中でも抜群に高いこの二つの番組は、ハガキ職人と呼ばれる投稿オタク達にとっても高い壁だった。聞く人が多い分当然投稿も多く、そこから選ばれるのは狭き門なのだ。ナインティナインのオールナイトニッポンなんかは3ヶ月に一度、1番読まれた人をハガキ職人大賞として表彰までしていた。そんな熱量の多い人たちの集まりだから、たまに投稿するくらいの俺のネタが読まれることは結局なかった。それに受験勉強も本格化し、勉強しながら聞きはするものの投稿する時間は無くなってしまった。

ラジオ離れ、そして

大学に入ると最早勉強なんてほぼしなくて済むし、サークルの奴らで集まることも多いしで毎週聞いていた伊集院光 深夜の馬鹿力、くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン、ナインティナインのオールナイトニッポン、福山雅治 魂のラジオも全然聞かなくなってしまった。そんなことしているうちにくりぃむしちゅーはめちゃくちゃ売れっ子になり、ちょっと忙しすぎて深夜ラジオなんてできない状態になっていた。知ってる?24時から足かけ5年、とうとう深夜ラジオを卒業する日が来た。

初めて投稿が読まれた思い出もあり、流石にその時ばかりは生でくりぃむのオールナイトを聴き、「あったかくして寝ろよー、僕から以上!」を聴き届けた。当時、結構な数の出待ちが発生したらしい。終わった後は割と感慨深く、ちょっと泣いた記憶がある。翌日の授業は当然遅刻した。

(今調べてたらちょうどこの四月にオフィシャルブック出てたんね。買わねば。)

くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン 番組オフィシャルブック https://www.amazon.co.jp/dp/4862807933/ref=cm_sw_r_cp_api_glt_i_75906SXKTAF2TW4VS0DK

それからはほぼラジオ自体聴くことがなくなり、就職、そして転勤を経た。が、ジムに通い始めた時になんか音楽流したいなーとなり、YouTube流してたらくりぃむのオールナイトにいきあたった。また過去の放送を聴きあさった。そんでもってくりぃむのラジオが熊本地震のチャリティも兼ねて復活すると聞きゃ聴き、その後も何度か復活する度に聴いていた。この頃にはラジコが登場し、1週間以内の番組なら聞けるようになった。これがめちゃくちゃ楽でいい。

学生時代聴いていた時も、3時まで起きてられないからテープに録音していた。が、音がうるさいと親に怒られ編み出したのが、イヤホンを挿して外部への音は無くした上でテープで録る方法。それで夕方勉強しながら聴いていた。さすがにそんなことしてまで、というのもあったから聞き逃してもすぐ聞けるラジコ様々だった。

そうして、なんとなく伊集院光 深夜の馬鹿力だけラジコで後から聴くようになった。仕事柄運転が多くちょうど良かったのもある。で、たまたま流れた曲で気になったのがあり、曲名はなんだったろうとホームページにアクセスした時に久しぶりに投稿してみた。で冒頭に戻る。

先述したように深夜の馬鹿力は高かった壁の一つだったからマジで嬉しい。ノベルティの深夜の馬鹿力カードがどんなのか楽しみだ。こういう創作活動し始めたのもラジオがきっかけだったのを思い出し、なんだか久しぶりに嬉しい出来事だった。これを機にもう一つの高い壁であるところのナイナイのオールナイトにも投稿してみようかしら。そんなことを考えている。

ちなみに冒頭の放送は4/12の放送分で、4/19まで聞けるはずなので、どんな投稿が読まれたのか気になる人がいれば、是非ラジコで聴いてみてください。では、僕から以上!ワーワー言うとります。お時間です。寝まーす。


よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはチロルチョコ代と加藤諒の捜索費用に充てられます!