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"高知の財布"生みの親。中島 匠一が追い求める社会現象としてのアート。

さっそくですが、こちらのツイートを目にしたことはありませんか?

「COACHだと思ったら高知やった」という、お笑いコンビ NON STYLE 石田さん。いいね数181,210、RT数30,701(2018年9月28日時点)と、その数字に反響の大きさを見ることができます。

注文殺到につき、"高知の財布"は常に売り切れ状態。9000個以上を出荷しているのにも、まだ足りないという大人気ぶり。

なんとこの”高知の財布”は、VALUユーザーの出会いが生んだプロダクトなのです! そして今回ご紹介する中島 匠一さんこそ、”高知の財布”生みの親

こちらが、中島 匠一さん。高知県出身、24歳のアーティストです。
”高知の財布”を始めとするブランド高知にかける思いや、VALU内で”高知の財布”が生まれた経緯などについて語っていただきました!


「何それ!」ってなるものを作りたかった

――“高知の財布”、本当にバズりましたよね! どんな感じだったんですか?

中島:次々に取材を受けて大変でしたね。僕がたまたま徳島に行ってるときですら、報道陣が「じゃあ、行きます!」って数時間後に飛んできたくらい(笑)。

――それは、すごい…。そんなに注目を浴びたプロダクトがVALU発だと思うとなんだか感慨深いです。

中島:VALUの交流会に手作り時代の“高知の財布”を持っていって、いろんなかたに見てもらったのがきっかけですからね。その時に「将来的に光るぞ」と数人のかたが目をつけてくださって、工場探しやクラウドファンディングを手伝ってくれたんです。

――そのすごいかたって、例えばどなたなんですか?

中島:そんぷ~さん奥田さんアキラさんもそうだし、さくらさんも。あと、今回の“高知の財布”で欠かせないTURBOさん! 財布に敷き詰められている高知の模様を、綺麗に整えてくださったのがTURBOさんなんです。

――名刺入れやTシャツ、スリッポンなど、たくさんのプロダクトがあるブランド高知ですが、“高知の財布”を作る前からすでにグッズの制作はしていたんですか?

中島:いえいえ、高知の財布が最初です。「高級ブランドといえば、お財布かな」って思っていたのもありますし、サッと取り出して「なにそれ!」ってなるものを作りたかったんですよ。最初のころは手作りだったので、まだまだ発展途上でしたね。

――財布を手作りってどういうことですか?

中島:既製品の本革財布に高知のデザインがされたカッティングシートを貼って、スプレーでデザインを描いてました。製品としてはまだまだだったんですけど、応援してもらうための試作品になればと思って。そしたら、そこそこ反響があったんですよ。それほど多くはなかったんですけど、全部自分ひとりで作っていたので大変でしたね。

追い求めるのは社会現象としてのアート

――しかし、本当に作りのいいお財布ですよね。触り心地も気持ちいいし、ファスナーも引っかかることなく、スムーズに動くし。

中島:国際見本市に出展しているような、高級革財布メーカーさんにお願いしてますからね。

――たしか“高知の財布”って定価で4500円ですよね? そんな安くっていいんですかって思うくらいの品質ですが…。

中島:僕にとって“高知の財布”って商売じゃなくて、アート活動なんですよ。まだ名前も知られていないアーティストが地元の高知県を柄にした製品を作って、それが広がっていく現象自体をアートプロジェクトにしたかったんです。自分の知らないところで「高知県といえば…」ってブランド高知の名前が出て、高知県自体が知られていったら素敵じゃないですか。このプロジェクトは、僕の「高知を応援したい」っていう気持ちの表れなんです。

――なるほど…。となると、生計はどこで立ててるんですか?

中島:僕の大きな収益源は、科学ワークショップですね。学童保育の場所に行って、科学アートを子どもたちに教えるという活動をしていました。ブランド高知に忙しくて開催できてなかったんですけど、この前久しぶりに大阪でやったら楽しくって。ブランド高知の活動も楽しいんですけど、小さな子どもたちにアートを教えるのも僕の楽しみのひとつだと再認識しました。

――中島さんの行動は”楽しい”が基点になってるんですね。

中島:なによりも、やっぱり楽しく生きていきたいですから。バーッて儲けかることじゃなくても、楽しければ僕はそれでいいです。毎日、もやし炒めとご飯があれば十分幸せ。最近は忙しいから、スーパーの半額弁当のことが多いですけどね(笑)。

――(“高知の財布”があれだけ有名になると、一発儲けたい! って思ってしまいそうなのに…)中島さんが“楽しく生きていきたい”を、生き方として意識し始めたのっていつ頃だったんですか?

中島:高校生のころですね。当時の僕は不登校でフリースクールに通ってたんです。そこで恩師に出会い「世間の型にはまって生きていく必要はないんだよ」と教えてもらって、「今の自分もいいな」って肯定できるようになりました。

――じゃあ、小学校中学校は一般的な学校に通ってらしたんですね。

中島:そうです。でも、苦痛でしたね。学校に行くとすぐにお腹が痛くなるし、授業を受けるのも嫌いだったんですよ。先生の話を聞きたい気持ちはあるんですけど、引っかかったワードから連想をして気づいたら空想の世界に飛んじゃって。

――空想の世界に飛ぶ…?

中島:例えば算数の問題で「りんごが2つありました。さとる君が1つ食べました」みたいな文が出てくるとするでしょう? すると、そのりんごってワードに引っ張られちゃうんです。赤りんごなのか、青りんごなのかとか。そうしてるうちに授業が進んじゃって、気づいたら追いつかなくなっちゃうんですよね。だからもういいや、ってなって授業中は手遊びばかりしてました。

――どんなことをしてたんですか?

中島:練り消しを人の形にして机のふちに並べたり、鉛筆を組みあわせてやぐらを作ったり。最終的には定規やボールペン、のりとかを組みあわせて、文具だけでジェット戦闘機も作ったなぁ…。

――そのころからすでに、アーティストの片鱗が見えますね。意識してアート活動を始めたのは、いつごろなんですか?

中島:それもフリースクールのときですね。手遊びばかりしている僕を見かねて「美術部に入ってみたら?」って恩師が勧めてくれて。フリースクールと並行して通っていた定時制高校の美術部で、ずーっとおかしなものを作ってました。ゴミ捨て場にある扇風機を拾ってきてシャンボン玉が勝手に発射される機械を作ったりとか、河原から刈ってきた葦で船を作ったり。

――油絵を描いたり彫刻を作ったりといったものをアートとして想像してしまいますが、中島さんがされているアートはちょっと違いますよね。

中島:僕がしているのは、インタラクティブアートやインタラスティングアートと呼ばれる社会彫刻なんです。

――社会彫刻…?

中島:そうです。お客さんの行動があって完成するアートのことをいうんですけど、“高知の財布”もそうですね。僕が作って終わりじゃなくて、お客さんが“高知の財布”を持っていると誰かにアピールすることでアートとして完成する。社会現象を起こすことがアートなんです。


大好きな高知県に恩返しを

――そもそも、なぜ中島さんがVALUを始めたんですか?

中島:大阪でVALUをやっているかたとご一緒したとき、「君、面白いからVALUやりなよ」って誘われたんです。いまやっているクリエイティブをいろんな人に支援してもらいつつ、それが価値に変わって自分に返ってくるのは面白いなと思って始めました。VALUを使えば全く新しい自分の表現や出しかたができる気もして。

――なるほど。“高知の財布”もそこから生まれているわけですもんね。これからVALUを通してやってみたいことってありますか?

中島:VALUにいる人たちと、いろいろコラボができたら楽しいかもしれませんね。でも、僕はシャイだから自分から声をかけるのが苦手で…。もし楽しいコラボのお話があったら声をかけていただけたら嬉しいです。僕もできるだけ声をかけられるように頑張るので(笑)。

――新たなコラボが見られるのも楽しみにしてます! では、中島さん個人の活動としていきたいことはなんでしょうか。

中島:ブランド高知としては、高知県をPRする一大企業みたいにしていきたいんです。いまやろうと思ってるのは、高知県のPRポスターやチラシを“高知の財布”に同封して発送すること。日本全国から注文をいただいているので、高知県の魅力も全国に広がったらいいなって思ってます。

――とても素敵な試みですね。

中島:あとは有名人やモデルさんにも持ってもらいたいですね。いまのままだとパッとでの面白い財布で終わってしまうので、オシャレな人が持ってるものっていうイメージを構築していけたらなって。

――明確なビジョンがあるんですね。

中島:はい! あと、アート村を作りたいんですよ。

――アート村、ですか。

中島:そうです。高知の山奥のほうに古民家を借りて、広大なアトリエを作ろうと思っていて。炭焼き窯とか陶芸窯とか、鋳造窯とか金属を作るところとか。そのアトリエならなんでもできちゃうっていう工場村を作りたいんですよ。アーティストをいっぱい呼んで、みんなでひとつの大きなアートを作るのも楽しそうだし。

――広大な敷地がある高知だからできることかもしれないですね。

中島:はい! それがゆくゆくは発展していって、高知県に新たな産業も作っていけたらなって。高齢者や障がい者のかたに内職をお願いできる場所も作れたら素敵ですよね。自分のやりたいことをやりつつ、大好きな高知県に恩返ししていけたらいいなって思ってます。

VALUでの出会いを活用し、自分の活躍の幅を広げている中島さん。やりたいことや好きなことを話す瞳は、キラキラと輝いていました。ブランド高知の代表、またハイパーメディアアーティストとして躍進を続ける中島さんのVALUをぜひチェックしてみてください。


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