見出し画像

幸せなマーケティングと1人のおじちゃんの話

僕はマーケティングが好きだ。

日々アイデアを練りながらどんなプロモーションをすればそれが売れるかどうかを考えるのが好きだ。

特にコンテンツマーケティングは最近のお気に入りだ、しかし、

マーケティング好きなやつといえば小手先のテクニックですでにある商品を売れるようにするのが好きなやつと思われていたり、

ましてやコンテンツマーケティングというとSEOのために魂を売ったやつと思われているかもしれない。¥

でもそんなことはない。

でもそんなことがあることもある。

僕は4月に新しい会社を立ち上げようと思っている。

それは商品や中小企業、ブランドのディレクションやマーケティング戦略を組むための会社だ。

マーケティングは人を幸せにする。

僕が小学生の時に定めた「努力が報われる社会を作る」というビジョンのど真ん中に刺さる。

きちんと考えてきちんと作った商品の伝え方が悪いせいで売れていないのだとするとそれはもったいない。

売れるべきものが、広がるべきものがきちんと広がって、作り手の努力が報われてほしい。そう思っているのだ。

だから服作りの会社をやりながら僕の持っている知識や今まで実践してきたことを活かして誰かを幸せにしたい。そう思っているから会社を立ち上げようと思うのだ。

しかし、先日あるおじちゃんから話を聞いた。

その話が「売れるマーケティング」と「幸せなマーケティング」と経済の微妙な関係に気づかせてくれたからシェアしたいと思う。


コンテンツマーケティングとは

マーケティングの定義は人それぞれだが僕が思う定義は

「売れる商品を売れるようにする仕組み」である。

もちろん売れない商品を売れるようにする仕組みなのかもしれないが、結局売れるのであれば「売れる商品」であるという卵が先か鶏が先かの話になるから、

僕は「売れる商品を売れるようにする仕組み」と定義づけている。

そしてそのマーケティングにもいろんな種類がある、

感情に訴えかけるエモーショナルマーケティングや広告などを適切に運用するwebマーケティングなど、、、

どれも業界やその人によって有効であると思っているし本質は「伝えたいことをきちんと伝える」という部分では同じである。

その中で僕の最近のお気に入りは"コンテンツマーケティング"である。


コンテンツマーケティングを簡単に説明すると

顧客目線で必要な情報(コンテンツ)を作成し、提供することで自社サイトへ誘導し購入や問い合わせなどに結びつけるマーケティング

といっても難しいので具体的な例で説明すると、


例えば

あなたが冬場に家族でスキーに出かけようということになったする、車で3時間かけて雪山に向かいスキーを楽しんだ後近くの旅館に泊まって温泉に入るプラン。

しかし家族で雪山に行くのは初めてで、インターネットで「雪山 運転」や「タイヤ 雪山 チェーン」とか「雪山 チェーン 種類」などを調べる。

すると雪山でのトラブル情報や、チェーンをつける理由、チェーンの選び方などが乗ったブログが出てきた、それを読んで納得しているとページの最後に「おすすめのタイヤチェーンはこちら」と書かれていてそのままリンクに飛び購入した。


こんなことよくあると思う。

これがコンテンツマーケティング

タイヤチェーンを販売する会社が顧客が必要としている情報をまとめてブログを書く、それがコンテンツでありそのコンテンツが有益な情報なので人が集まってきて結果として自社の商品が売れる。

しかもコンテンツは作るだけで自然とお客様が来てくれてこっちが「買ってくれ」と言っていないのに買ってくれる仕組みである。

素晴らしいじゃないか!

そう思っている。


立ち上げようとしている会社について

ちなみに僕の守備範囲は売上数万円程度のネットショップを月商で100-200万円くらいにするゾーンだ。

それ以上になると予算を割けるになるだろうし、顧客もある程度ついているだろうから僕が離れても大丈夫だろうと思う。


そして今想定している料金設定はこうだ

基本料金月額3-8万円+売上増加分の10%のインセンティブ の最低1年契約である。

基本料金は「コンテンツ作成代行費用」である、毎日SNSに投稿したり、週に2-3本ブログを書いたりするための最低料金だからほぼ人件費。

この部分は僕ではなく在宅のライターや作業者が行う予定なので実質僕の手取りは0である。

つまり純粋に客様の商売の売上を増加させた分の10%が収益になるのだ。

数万円の売上が年間1500万円になったら年間で150万円+基本料金になるし、100万円になったら10万円+基本料金である。

結果としてめちゃくちゃ売れた場合でもマーケティング担当を社内に雇い入れるよりは安いし、結果が出なければ基本料金だけなので適正価格だろうと思っている。まさに自分の手腕次第なのだ。


おじちゃんとマーケティング

僕が新しい会社を立ち上げるにあたって実績作りや、実際に自分の手法や、実力がサービスとして走らせるために十分であるかを計りたかった。

そこである飲食店を経営している60代のおじちゃんのお店の商品を売ろうと思ったのである。

そのおじちゃんのお店は大阪市内にあって、新型コロナ禍でとても大変な状況だったしお店自体が魅力的で十分なコンテンツを作ることができると思っていた、

それに最近ネット通販を始めたけれど全然売れないと嘆いていたのでこれは丁度いいと思っていた。

もちろん無料である。


早速おじちゃんにヒアリングを行った、

僕「目標の売上を教えてもらえますか?」

おじちゃん「5万かな」

僕「日商5万ですね、月間で150万くらいですね少し大変かもしれませんが頑張って。。。」

おじちゃん「いや、月商」

僕「月商5万円ですね、ということは、、、、月商!?

おじちゃん「うん、それでいい」


おじちゃん、それじゃうちの基本料金も出ないんですけど。

と思ったけれど、言わなかった。

何か別の想いがあるんじゃないかと直感的に感じたから。


幸せなマーケティング

ひとまずそのまま商品の強みとか、ストーリーとか、色々聞いてその日の取材は終わった。

その後帰りにパートナーの方が話しかけてくれた。


「驚きました?今の目標はね月商5万円、来年は月商10万円にしたいと思っています」

そう言われたので正直に答えることにした

「正直驚きました、お言葉ですが月商5万円だと売上としてあまり意味ないんじゃないかと思うのですが」

そう言ったらにこやかに話してくれた

「もうね、あの人十分頑張ってきたの、それで最近お店を若い人に任せて自分はもう店頭に立たなくなっちゃった、そうすると張り合いがなくなっちゃってどんどん体が悪くなっていくと思うの、だから毎日何かが売れていると自分を求められている気分になると思う、だから仕事を作りたいの。自分だけでできる仕事をね」

僕は素直にこの話を聞けて良かったと思った。

もし僕がこの話を聞かずに

「もっと売りましょう!絶対売れる商品なので月商200万円目指しましょう!」なんて言ってたらどうだったろうか。

もう十分頑張って、1人の仕事を作りたい。

そう思っていたから始めたネットショップなのに200万円分の発送業務が増えてしまう。

そうするとまた人を雇わなくてはいけなくなるし、商品の仕込みも間に合わなくなる。

そのおじちゃんの趣味のクラシックカーをいじる時間も作ってあげられなくなるだろうし、もしかしたら体を壊してしまうかもしれない。

しかも「自分でできる範囲で」という指定なのに僕が勝手にたくさんコンテンツを作って本人が意図していない売上ができてしまったら、本人もとても戸惑うと思う。

売上=幸せではない。

当たり前なのだけれど、それがわかっていなかったと反省した。

幸せになるマーケティングをしなくてはいけないな。

そう心に刻んだのである。

コンテンツを作ることはお客様との会話だと思う。

僕はコンテンツマーケティングには2つの側面があると思っている。

1つは上にも書いたように「お客様を集めてくる作業」である。

困りごとを見つけて事前に情報を置いておくことで自然にお客様が集まってくる。


しかしもう1つはお客様との会話なんだと思うんだ。

結局このおじちゃんのネットショップでは酒のアテのようなものを販売していたからこんな企画を浮かんだ。


注文の際におじちゃんに人生相談などを備考欄に書いて欲しい。

そうするとおじちゃんが発送の時に手紙で答えてくれる(かもしれない)

もし答えられない時は月に2回くらい僕が動画を撮りにいくからの、お店の商品をアテにほろ酔いで皆さんからの人生相談を聞いていこう。それを僕が記事にして発信していくよ。


幸せなマーケティングってなんだろう。

おじちゃんは生きがいが欲しいんだ、自分を求めてくれる人が欲しいんだ。

自分を頼りにして欲しくて、自分が動いていたいんだ。

だから僕がやるべきマーケティングは「おじちゃんの商品を売る」ではなく、

おじちゃんにかまってくれる人を増やすことだと思ったんだ。


そしてそのための相談事を「コンテンツ」にして発信していこうと思ったんだ。


目標の売上はちょっとあげてよね、

僕流石に月5000円じゃできないからさ、月で50万くらいは頑張ってね、

そしたら今日も忙しかったって言いながらいいお酒が飲めると思うんだ。


マーケティングは人を幸せにしなきゃいけないと思っている。

売ればいいわけじゃない。

売れなきゃ幸せになれない場合もあるんだけど、

売ればいいわけじゃない。


あ、そんな会社を4月ごろにゆるーく始める予定です。



Hideki Tani


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?