気迫がもたらした効果

 J2第27節、栃木SCは愛媛FCを1-0で完封し、12試合ぶりの勝利を手にした。

 下位に沈む両者の対戦は目が離せない展開になった。夏場の3連戦で3試合目というハードな状況でも本来の自分たちのサッカーを見せる栃木は前半にPKで先制。追加点が奪えず守勢に回ってもGKオビ・パウエル・オビンナの好セーブなどでゴールを割らせず、終盤には猛攻を受けたがしのぎ切った。

 立て続けに起きたピンチは息をのむシーンばかりだったが、相手のシュートはみな枠を逸れていった。「絶対守る!」の気迫で目の前の相手に対峙していれば、見た目はほんのわずかでも決定的な差を生み出すことができるのだ。

 サッカーの守備場面では、必死に守ろうとして身体に当てたボールが自陣のゴールに吸い込まれてしまうことがある。攻める側の「絶対決める!」の気持ちが結果となって表れる瞬間だが、それは守る側にも起こせるのだと改めて感じたゲームだった。

 この一戦では、普段出場機会の少ない選手もチャンスをつかんでメンバー入り。久々のスタメンだったDF乾大知、FW有馬幸太郎もそれぞれCB、トップ下で機能した。レギュラー争いが活性化すればさらにトレーニングの質も上がるだろう。

 残留争いの立ち位置は変わらないが、選手たちが意を決して臨んだ試合でつかんだ勝利は間違いなく大きい。得点のチャンスをきっちりと生かすこと、開始早々の失点の課題をクリアしたこと、そしてみんなで喜びを分かち合ったこと。今後は相手も勝利がほしい状況で決して気が抜けない戦いが続くが、自分たちのやり方を貫き、本領を発揮して強い栃木を見せてほしい。

(敬称略させていただきました)

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