240317 小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトXXモーツァルト:歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」@ロームシアター京都
「コジ」は大好きだし、かつて名フィオルディリージとして一世を風靡したバルバラ・フリットリがデスピーナとして歌うということで、初めてのロームシアター京都へ出かけて参りました。
(今回はお友達とランチ+幕間でお喋り&オットと何年ぶりかで一緒に観劇という、イレギュラーな形w)
演出はオーソドックスで、まあ誰が見ても安心できる(いわゆる「初めての人にもおすすめできます!!」ってステレオタイプ的な)美しい衣装と舞台。(ただし結末は和解したのかどうか、微妙な含みを持たせていた)
オーケストラと合唱は特筆するレベルで、まーうまい事うまいこと!!
期待以上の出来でした。
若くて美男美女のカップルたち(顔が小さい!!!)も歌に演技に一生懸命。
各出演者にそれぞれアリアがあり、そのアリアが半端なく難しく。
今回の歌手さんたちはみなさん、清潔でアクのない声で、上手にアンサンブルをまとめていらっしゃいました。
「表現する」というところまでに至るには、もう少し研鑽が必要かな?
でも特に難アリア目白押し、アンサンブルも難しいフィオルディリージは大健闘だったと思います。
アンサンブルオペラとしての力点にフォーカスしたとしたら、及第点どころか、お釣りが充分くるような演奏。
私の大好きな、フィオルディリージとフェランドの二重唱(嘘から出た誠・・・じゃないけど、この瞬間は確かに二人とも心を通い合わせたよね?!と、いつもキュンキュンするところです)は、ちょっとうるっとしましたし(合格!!!)
デスピーナのバルバラ・フリットリは(不調で暫く休業後の最初の復帰公演でもあった)2019年にアテネで「ドン・カルロ」のエリザベッタを聴いた時は痛々しくて
「嘗ての花形ソプラノを、こういう形で聴くことになったのは残念、聴きどきを逸してしまったかもしれない・・・」と残念に思っていました。
今回は「イタリアのマンマ」と形容するに相応しい体つきで、最初に出てきた時、椅子を運びながら
「あ〜〜どっこいしょ」(腰が痛いわ〜〜)みたいな仕草と腰回りの逞しさには、同世代の女性として、わかりみ深すぎました^^;;;;;
クスッとしながらも歌い始めたら
「・・・エレガンスの極み❤️」
って思っちゃいました。
いやはや、お友達とも、夫とも
「女中としてはエレガントすぎる」「うまいけどキャラずれ」「この中で誰よりも女王」「どう聴いても伯爵夫人」「あなたが主役」
のような賛辞の嵐。
確かにアテネで聴いたエリザベッタよりも、うんと楽しそうに歌ってましたし、声もあの時のような痛々しさは払拭されてました。
「キャラずれ」とはいえ、名人芸の域に達していると言っても過言ではないエレガントな歌唱スタイルには、心底聞き惚れました。
このぐらいのキャパシティの劇場ならば、まだまだ声的には娘役でイケるのでは?!と思いましたが、彼女のような澄んだ声の純正ソプラノのキャリアの築き方という点においても、色々考えさせられました。
(近年はマスタークラスにも力を入れているそうで、YouTubeでも色々動画を見ることができます)
おそらく、彼女はこの作品については知り尽くしていると思うので、今回の演奏でも、若手の歌手たちに色々とアドバイスを送っていたように察します。
一世を風靡したフィオルディリージは、絶頂期の頃の映像を見ることができますが、この頃に
「モーツァルトが書いたイタリア語のオペラは(母語である)イタリア人にしか真の表現はできない」的な発言をしていたこともあり、それに加えて取り澄ましたような表現に鼻につくような感じを覚え、どうも感情移入できなかったんですが。
流石に今視聴すると、巧さに舌を巻きます。
ということで、私の一押し、この映像に出会っていなかったら「コジ」をここまで好きになってなかっただろうな〜〜と思う映像⏬
ベルリン国立歌劇場での、大好きなドリス・デーリエ演出の。
もう22年も前になるんですね。。。
いわゆる読み替え演出で、万人受けはしないかもですが、それが功を奏した典型的な成功例だと(個人的には)思っています。「コジ」を読み替えて、ラストを苦い演出にした場合、どうしてもこの演出が頭をよぎってしまい、二番煎じ感が否めないという。。。
(今年再演されるという、新国立のキャンプ場バージョンも御多分に漏れず)
コジの映像については、後ほど別立てで色々紹介してもいいかな===って思っています。
出演
フィオルディリージ:サマンサ・クラーク
ドラベッラ:リハブ・シャイエブ
フェランド:ピエトロ・アダイーニ
グリエルモ:アレッシオ・アルドゥイーニ
デスピーナ:バルバラ・フリットリ
ドン・アルフォンソ:ロッド・ギルフリー
※当初発表の出演者より一部変更があります。音楽監督:小澤 征爾
指揮:ディエゴ・マテウス(小澤征爾音楽塾首席指揮者)
演出:デイヴィッド・ニース
装置・衣裳:ロバート・パージオーラ
照明:高木正人
管弦楽:小澤征爾音楽塾オーケストラ
合唱:小澤征爾音楽塾合唱団主催:小澤征爾音楽塾/ヴェローザ・ジャパン
京都市/ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)(京都公演)
共催:公益財団法人 ローム ミュージック ファンデーション
神奈川県民ホール(公益財団法人神奈川芸術文化財団)(横浜公演)
協賛:ローム株式会社
協力:ANA
企画・制作:ヴェローザ・ジャパンプロダクション初演:2014年7月18日兵庫県立芸術文化センター
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