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カモニカ谷の休日2 おもてなしのこと

 4月から6月のはじめにかけてお客さんがたえなかったのが、少し落ち着きました。そんな時は、台所の片付けなどをして、気持ちをリフレッシュさせてみます。棚をふいたり、物を移動させたり。古い家のいいのは、小さな棚を取り付けたり取り外したりを気楽に試せることですね。
 ふと、さまざまな色彩と味の時間がよみがえってきます。ほろ苦かったり、甘かったり。今年の夫の誕生日。夫は自分の誕生日というのが苦手で、祝われるのも祝われないのもいやなのだそうです。なんという面倒くさい性格でしょうか。けれど、今年はわが家でいつも貴重なリトリートタイムを過ごしてくださる「和トリート」のみなさんが日本食を作って一緒に楽しもうと言ってくださったのです。夫も心からそのことをありがたがっていました。しかし、歯痛が彼を襲いました。たかが歯、されど歯。具合の悪い猫と楽しく遊ぶのが無理なように、体調の悪い旦那ほど取り扱いに困るものはない、と私は思います。
 それにしても、和トリートのみなさんの仕事はすごい。心遣いもすごい。今回ご参加くださったのは、3人の方。急な体調不良で来られなくなった方も、たこ焼きの道具や練り切りの準備を差し入れてくださいました。

準備がもう美しい! 見本のようにできるかな?
イタリアの陶芸アーティストRosanna Brambillaさんの花瓶に活けられた庭の花。
美しくてため息が出ました

 花が活けられ、料理が準備されていきます。楽しい時間です。私にできることは、半ばやけくそになって誕生日ケーキ用の生クリームを泡だて、冷蔵庫にぶちこむことくらいなのです。ケーキなら買ってこれたのに、「日本のショートケーキが食べたいななんてオーダーしておきながら、歯が痛いってどういうことなんんだよ!」 と脳内を怒り太字が飛び交いました。 本当なら私自身も皆さんに申し訳なくなって、お腹を下した猫のようにすみっこでまるまっていたくなってもおかしくはないのですが。朗らかな皆さんに助けられて、やっぱり私も楽しくなって、素敵な時間を過ごすことができました。

イタリアのタコも美味しいんです! 

 おもてなしをするなんて言っておきながら、実のところは私が癒されて、心が豊かになっているのです。そのことがどんなにありがたいことか、あらためてかみしめました。

翌朝、お茶の先生がお道具を持ってきて、お点前をしてくださいました。
日常の淀みが一気に取りはらわれ、清々しい気持ちになります

少しずつ少しずつ、私も勉強して皆さんにお返ししていきたい。早朝の台所で、そんなことを思いました。

アボカドの葉っぱが大きく育ったのが嬉しい!
手に馴染んだ道具や、ずっと前に古道具屋で見つけた陶器など
お気に入りのものを整えて並べると、元気が出てきます。

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