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一番好きなブルータリズムの低層集合住宅

先日トレリックタワーを久しぶりに訪れてから、ロンドンのカウンシル・フラット(英国の地方自治体によって建てられた低所得者向け公営住宅)の中でも私が愛してやまないアレクサンドラ・ロード・エステート(ALEXANDRA ROAD ESTATE)を思い出しました。

ビートルズのレコードジャケットで有名な、アビーロードからほど近くにあるアレクサンドラ・ロード・エステート、1978年に完成した米国人建築家ニーヴ・ブラウンによる公営集合住宅です。

A,B,Cの3ブロックで構成されていて、約520世帯が住居を構えています。そんなにあるようには一見見えないので数を聞いて驚きました。

1993年には重要建築物としてGrade IIに指定されています。

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とても印象的な建物なので、映画やテレビドラマのロケ、ファッション写真の撮影にも良く使われます。有名なところでは、2014年の英米合作映画「キングスマン」で主人公エグジーの実家として登場しました。

私は2016年のオープン・ハウスで初めて実際の場所を訪れたのですが、それまで何処にあるのかも良くわかっておらずずっと気になっていました。

そしてその時、実際にアレクサンドラ・ロード・エステートに住んでいる方たちのお宅を何件か拝見する事が出来ました。

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この写真はブロックAの最上階の独り住まい用のワンベッドフラットのベランダから撮影しました。どの世帯にもベランダがもうけられているので、植物を育てるのにもいい環境です。

この他にも部屋数が多い家族用のフラットや、建築家の女性が自分で内装を設計して改装したとても素敵なフラットも拝見しました。

ブルータリズムの建築のためコンクリートの作りが無機質で冷たい印象を受けますが、太陽の光が燦々と入るように大きな窓であったり、壁暖房が設置されていたりとデザインに工夫が沢山見られます。

通りを挟んで2つのブロックが向かい合って建っているので、実際ベランダに出ると目の前の住居は結構丸見えです。このような集合住宅ではなかなか難しい隣近所とのコミュニケーションも、開けっぴろげな設計のおかげでごく自然に出来るのかなと思いました。

元々はカウンシル・フラットだったアレクサンドラ・ロード・エステートですが、フラットによっては内装をきれいにして高額で売りに出されたり、安く購入して自分でリノベーションして住んでいるようです。

低層住宅なので高所恐怖症の私も大丈夫、ちょっと住んでみたい気がします。なぜかとても惹かれる建物なのです。

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