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犬と(その5)

ワクチンがソファーに上がらなくなってから、ワクチンは徐々に寝ている時間が長くなり、耳も遠くなってきました。それでも昼間は団子が張り付いていたので、仕方ないなぁとばかりに遊んであげていました。

年が明けて本格的な冬を迎えた頃、ワクチンは自分の力だけでは立てなくなってしまいました。食餌もあまりすすまなくなってきたので、栄養価の高いものにしたり、好物の物を混ぜたりしながらやっていましたが、獣医さんで診てもらったところ、やはり老化がずいぶん進んでいますね、残念ですがそう長くはないでしょう、とのこと。

やがて、水を飲みに行くこともできなくなり、シリンジを使って飲ませたり、トイレに行きたがれば補助をし、24時間介護する形となりました。夜中には立ち上がって徘徊したがり、悲しげな声でクンクン鳴くこともありました。

それでも一日でも長く生きていてほしい、そんな私たちの願いは叶わず、2月のよく晴れた暖かい日、ワクチンは死んでしまいました。17歳と3ヶ月。当時の私たちの人生の半分くらいを共にし、寄り添ってくれました。逝かないでほしかった、というのが正直な気持ちでしたが、ちゃんとわかっていました。いきものを飼うということはいつかお別れがやってくること。わかってはいたけれど、それまで生きてきてこんなに悲しかったことはないというくらい悲しくて、何日も涙が止まらなかったのを今でも思い出します。

悲しんでいるのはわたしだけではなかった、という出来事が起こります。あんなに元気だった団子が急に体調を崩してしまいました。

その6に続く

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