六畳一間の闇の中で

だけども俺も書きたくなった
そんな理由でいいから筆を取る
埋もれたメモ帳の中のほんの一文から
明日に繋がる光が標となる

作詩とか物書きとか、そんな才能があるか分からないけど、誰かに認めてもらいたかった
誰かと比べては、自分が優れていることを一つでも多く探したかった
言葉を紡ぐことは楽しく、されど難しく
世に出すのにひたすら怯えていては、
時代も自分の才も風化して言ってしまった

言葉を凶器にするのは容易く、
それが鋭利なものにならないよう気をつけた
感情を狂気にするのは難しく、
不満を持たない日々に慣れていった
今日と昨日の境が無くなる頃に
明日への不安が募るだけになった

言葉遊びが出来る程賢くなく、
言葉に遊ばれて表現ができなかった
生まれてくる感情を閉じ込めては、
ただ言葉にしたものを作品と読んだ
諦めずに磨き続けるのが原石ならば、
磨き続けられるのは才能と呼んでいい
飢えが無くなった心に残るのは、
幸福ではなく目標のない空虚だった

自分を闇に突き落とす勇気があるならば、
酒を飲んだ後の六畳一間に、
暗と孤独に身を委ねるしかない
底から見上げる光に向かい
手を掴み足を堪え這い上がる
そこでしか見えない景色があるから、
こうしてまた言葉が生まれてくる

だから俺も書きたくなった
そんな理由でいいから指を動かす
埋もれたメモ帳の中のほんの一文から
明日に繋がるiPhoneの光が標となる

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