クラブカルチャーの体験から考える「繋がる価値」 。
こんにちは。VEJでプロジェクトマネージャーをやっている坂本洋生です。
入社前から「マイケルJフォクス」という、どこかで聞いたことのある名前でDJをやっておりまして、社内外で「マイケル」「マイケルさん」として認知されています。国籍は日本です。
VEJでは約5年前の入社以来、プロジェクトマネージャーとしての実務以外にVEJの忘年会やVEJが共催したフェス等でDJをする機会が何度かありました。最近では昨年VEJ甲府支部による「文化沼」がオープンし、ナイトイヴェント「スナック沼」にてDJをする機会が増えました。20年以上コンスタントに続けてきた個人的なDJ活動が、会社を盛り上げる各行事の一助となれているのかな?そうなれていたなら嬉しいですね。
先日MANGOSTEEN HOKUTOで行われた「万珍文化祭」の様子☝️
DJやクラブが提供できる価値
単純に言えば音楽と音楽が流れる場が好きという理由だけで続けてきたDJですが、年齢を重ね一昨年子供も産まれ、若い頃のように時間も体力もままならなくなってきた今日この頃。改めて「DJを通して自分が提供できる価値」とは何なのか、コロナ禍で活動ができていなかった時期もあり否応なしに考える機会が増えました。
音楽が呼び起こす瞬間瞬間の高揚感や、パーティーを通して同じ時間・空間を共有した経験値。そういった音楽を介した場で得られる価値について、DJやお店や一緒に遊んでいるお客さん、友人ら含めある意味暗黙の了解を持ち皆んなが関わっていると思っています。逆にここ数年はそういった価値を大事にしない行為や行動をする人は、マナー違反としてパーティーやお店への出入りを禁止される事例も見かけました。
改めて細かく振り返るとクラブと風営法の問題、コロナ禍での飲食店営業の問題、違法薬物の問題、ジェンダー問題やハラスメント問題などなど、パーティーを続けていく上で避けては通れない様々な問題と対峙し答えを探してきたことが思い出されます。といっても全ての問題をすぐに解決できたわけではなく、問題を問題として認識し、意識しながら営みを続ける、という言い方がやってきた事としては適当でしょう。
私が関わってきた所謂クラブカルチャーは元々政府や大企業などマジョリティーに対するカウンターカルチャーとしての側面を持ち発展してきた経緯があり、クローズドでアンダーグラウンドな性質ゆえに社会とコミットする機会を長年逸してきてしまった印象を持っています。言い方を選ばなければ古い価値観のまま場が維持されたことで、ここ数年はDJやクラブ関係者が色々な面で準備不足なまま、時代や社会の変化の矢面に立たされる機会が多かったように思います(風営法を軸にしたクラブ営業への警察の介入や、芸能人がクラブをきっかけとした事件で逮捕される事態など)。
私が10年参加しているパーティーでも時々で様々な問題をどのように捉え、どういった行動がベターであるか、酒を交えたバカ話の合間のちょっとしたタイミングで価値観のすり合わせを続けてきました。
また同時にそれぞれの問題解決には個人の意識や社会認識の変化にそれなりの時間がかかることも実感し、そもそも「自分たちが提供したい価値」とは何かというテーマに自然に考えがシフトしていったようにも思います。
昔は匿名性が高いアンダーグラウンドな空間で産み出される新しい実験的な営みに価値の重きがあった。
今はある意味敷居が低く、安全性や透明性が確保された状況でリアルに人と繋がっていくことに価値を見出している人がクラブのような場でも多いように感じます。各SNSなどネットを通じたコミュニティも似たような経緯を辿ってきているので、世の中の大きな流れとも言えます。
「繋がること」の価値
先日文化沼で行われたカルチャーレッスンの場で登壇者の1人、マーケティングプランナー・株式会社顧客時間 取締役風間さんより、クライアントが求める価値について以下のような話があがったそうです。司会進行のVEJ宮沢がかいつまんで社内で共有してくれました(参加が叶わず、又聞きですいません)。
「機能的価値」「体験価値」「繋がる価値」は、製品やサービスがユーザーに提供する異なる種類の価値を表す概念です。それぞれについて詳しく説明します。
機能的価値(Functional Value):
これは製品やサービスが提供する具体的な機能や性能に関連する価値です。ユーザーが実際に得られる有用性や効率性、問題解決能力などが含まれます。たとえば、スマートフォンのバッテリー寿命、カメラの画質、ソフトウェアの処理速度などが機能的価値に該当します。体験価値(Experiential Value):
これは製品やサービスを使用することによって得られる感覚的、感情的な体験に関連する価値です。デザインの美しさ、使いやすさ、直感的なインターフェース、楽しさや感動などが含まれます。たとえば、美しいデザインの家具、直感的な操作が可能なスマートフォン、使用していて楽しいゲームなどが体験価値を提供します。繋がる価値(Relational Value):
これは製品やサービスが提供する、他者との関係やコミュニケーションに関連する価値です。ソーシャルメディアのプラットフォーム、コミュニティへの参加、ブランドとの絆などが含まれます。たとえば、SNSでのつながりや交流、ユーザー同士のコミュニティ、ブランドへのロイヤリティなどが繋がる価値を提供します。
これらの価値は、製品やサービスがユーザーにとって魅力的である理由を理解するために重要です。成功する製品やサービスは、これらの価値のいずれか、あるいは複数をバランスよく提供することが求められます。
企業やブランドが顧客に求めることは、自分たちのファンになってもらい継続してサービスを利用してもらうこと。顧客のLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を高めることを目的としており、その前段として機能的価値や体験価値があるというお話。
クラブやDJが提供できる価値に話を戻すと、元々インターネットがない時代は特に現場での「体験価値」に比重があり、「繋がる価値」がジャンルやシーンの輪を広げてきた。そのことをなんとなくの共通認識として持っていたが、前述のマーケティングの話に触れた時、では自分は本当に「繋がる」ことが生む価値を実感できているのか、という思いがよぎりました。
勿論過去の体験や事例からその価値について頭では理解してはいたつもりでしたが、本当に自分がそこに価値を感じ、その価値を提供できるよう努めてきたかと考えると、自信を持ってそうだと言えないことに気がついたのでした。繋がる価値を共有できた時に、そこに関わる人たちがどんな気持ちでどんな表情をしているのか、具体的にイメージができていなかったかもしれません。
自分が提供できる価値を改めて考える
VEJでは先日、新たに発足した営業部が主導して会社の理念や行動指針をまとめた「カルチャーコード」のキックオフ会が開催されました。VEJがご支持頂いてきた良い部分をより伸ばし、サービスの価値を高めていく。そのことでVEJに関わっていただいている皆さんも、自分たちも”FUN = 楽しさ”で繋がっていけるような、より良い状態を目指して。
マーケティングについて学ぶにつれ、自分の経験を振り返るにつれ、自分がどんな価値を提供していきたいか、自分の人生においても遅まきながら「カルチャーコード」を定めていく時期であるのではないかと、ここ最近気付きを得たように思います。自分のできる事、好きな事を振り返りながら、ひとつひとつ取り組んでいきたいと思います。
(マイケル)
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