病床2:50
水色の窓を見ると貴女を思い出す
フィルムノワール あの秋から続く物語
巡る四季のためのサウンドトラック
掌の中で零したおまじない 壁に空いた穴やkill you
伏し目がちな可憐な少女の粛清を知った瞳にill
漆黒のシースルー 剥いで 残る心は明かせないまま
名前を奪われた天使達がサークルを作る郊外のパレード
垂らしては出来上がるマキアート
混ぜるたびに気付くプロレタリア
砂埃にまみれ たそがれ 巻いたストールは 同時に消えた君への憧れだった
保管していたテープが再生される その都度空想はシベリアの冬へと飛ぶ
飛び立つ再生への旅 脳裏に刻まれた出発時刻 落ち着き払って見た灼熱は
凍り付いて一点を凝視する 長い沈黙 君もまた眠れない夜を過ごすのだろうか
あの日 桜舞う坂を降りたぼくの選択は YESと出るだろうか
影のなかひっそりと這い回る 忘れ者
果たして天に恥じ入るのはどなたか
夢を見たまま寂しそうに掴んで
点字の形なぞった 信仰が忘れさせる喜怒哀楽
教義の元 憎悪さえ燃やす元気 残ってはいなくて
胸いっぱい満たした愛が虚無へといつか移り変わりませんように
10年前 陽の射し込む部屋で眺めたジム・ジャームッシュ
切なさのシャボンが夜の空 高く舞い 虹を作る数年後の昼下がり
少しずつすり減らした魂に宿る 血と涙を混ぜたような混沌
水彩画の色が滲んで それが君自身を 表しているようで
崩れ切った瓦礫の跡みたい 煮える内臓 燻ったままで
あの日屋上から見晴らした街は僕らのもの
ラッキーが点灯してる心臓のbeat
始発電車がはじまりを告げる
ただ隣で寄り添う その静寂に秘跡は宿るのか
重すぎる魂 抱えたまま ひたすら駆け抜けて生きたかっただけ
近頃は平坦な道が続き
バックステージパス通る日比谷
海辺に反射して犇く光
回転していく混合体は姿形を変え
何もかもが透き通った朝 その髪は湖のように瑞々しく広がる
柔らかな抱擁としけたブランケットのなかの悪戯よ
あなたとの調和が洗い流してくれた
新しい誕生 芽吹く それは季節の移り変わり
きみが払い除ける鬱屈を
新しい生誕を照らす太陽よ
床を打つ不規則なtap
看板に描かれたpop
誕生日に並べたchocolate chip cookie
頭の中 轟く銃声 言葉超えて理解 錯覚か否か
分からないと分かっている
やつらが詰るたび僕は毎度ほくそ笑む
目を細めMetaphysikにおける業と察す
月を撫でては 蜜を垂らす
夜、公園は閑散としたまま
街の平穏を密かに閉じ込める
「愛はいつも戦わないから勝つ」と
ぬるいベランダで燻らせた煙草は
遠い未来で結実の雫を降らせました
担がれた国旗 はためく
軽やかにすり抜ける都市
柑橘の香り その青春は
夏に溶けたタブレットミント
涼しげな駅を抜けて
染み入る枝葉の寂寞 隙間風 統合のモザイク
ストリート 規律 デザイン
まるですべてが計算されていたようで
その美意識にきみはまた乾杯するのだろう
標榜するモダニズム 妙に耳に残る深淵のキック
辺境の森林に音を探すArvo Pärt
最上階、酩酊の余韻 駐輪場で滴った露草
ぼくの心のパスワード 投げ出された至高のシガレット
額縁に飾られた絵画
loopされていく環境音
日常の神秘醸す 告げる
指を差すその大仰に
予想覆すトリッキーな一手を
五線譜に並べたマーブルの音符 短針が滲む
見つめ返す鈍い目が潤んで
その刹那は永遠を孕んでいた
未来の詩 クリスタルブルー 極上の舌鼓醸す芸術は
室内楽のささやかな粒子舞い降りる冬
FM Radio 日の移ろいそっと告げた
飢餓へと流し込むブランデーや華やいで灯したシャンデリア
繁華街ではぐれかけた二人の行方は
撒き散らすおもちゃ箱から溢れるメロディ
弱い酩酊でぼんやりと 淡い幸福を噛み締めている
果てなく心を動かす 澱みない深い悲哀 仄暗く甘い
あの寂しげな冬の夜のorionは 遠く朧げなピラミッドから送られたsign
春に佇む可憐な静脈 街に薫る隙間風は甘美な旋律を奏で
「行かないで」と 途端に無邪気な強がりが小さく見える
ふときみの名前を読み上げて カーテンから覗き見た広場の子供たち
こんなにも小さな慈愛が偉大なまま世紀を超えるとは
群衆を怖がって それをいつまでも匿って
朧げに捲った日記
欠けたピースを埋めた
可愛げな目覚まし時計に支配される日々よ
日々の街灯が過ぎ去る かつてすれ違った遠くにいる誰かへとふと想いを馳せる
眠りにつくといつでもきみが隣にいるから
青い光放つ夜更け 静かなるその守護 手を握って確かめた
さんざめく無邪気な平成は物憂い各駅停車の停車音と共に掻き消されたのか
遠く奏でる雲のうえ 君は何を歌うのだろう
あれは貴方があの年に迎えられなかった春でした
静かな場所を求めて圏外の島々まで辿り着く
枯れていく背中 雑踏をすり抜けて 未だ到達は知らぬと告げる
遠く向こうの騒ぎ 差し置いて ワンルームで密かに踊る二人は
か細い腕を走る水流 静かに信号を待つ
あの日と同様に 晴れやかな青空を縫う雲のように マシュマロの海に溺れていたい
その確信はどこにと嘆くきみの胸の中の蜃気楼
氷砕けて 栓を抜いたcoke
無意識にとるポーズは意味を為すか
1,2,3のステップで 過ぎ去るトラック
数ある神秘は清らかな沈黙へと宿り 深い溝で君に小さく魔法をかける
癒えない余韻 泡に変え飛ばし
伝承されていく時代の麒麟
踏み切りを越えてまたいでく世界線
庭に置かれた観葉植物
古びることのないClassic
生に刻まれた退廃のGothic
その在り方に浮かび上がっていくロジック
これが大人の遊びの余白ならね
あたり見渡せば突然の夕立に離散する人々が
皿に盛られたサラダ 溶かす薬剤 真昼間に送られてきたFaxの行方は
望遠鏡覗けば ぼやける摩天楼 滑稽な作為のオブジェクト
全体像から捉えた入射角 スリリングにすれ違う 白黒の悲哀とブレーキ
金属音のノイズ 丸まって眠る獣
鐘の鳴った淑やかな午後に 奏でるシックな和音 粉砂糖にまみれ 紅茶注ぐ
「誰かを呪うために生まれてきたわけじゃない」と
細いフィルター 唇から離れ その小さな溜め息に洒落を仕込ませる
誰にも見えない強い繋がりや
曖昧なか弱い筆跡に残る涙を
「はっきりと私はその時に知っていた」
揺らいで 見つめて
そこに射し込む一筋の光
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