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吉野敏明さんの新著「医療という嘘」②/二章「近代西洋医学の波に飲み込まれていく日本」の目次と主題の紹介(前編)

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①一神教のヨーロッパの国々では人体解剖が禁止されていた

ここで話される内容は医学の歴史。

中世まで西洋の医学は「内科学」であり、主に体の臓器(内臓)を対象とした手術によらない方法での診療と研究を行う分野だった。宗教上の理由で人体解剖が禁止されていた。

12〜16世紀に大砲や地雷などが発明されてから、手足が吹き飛ばされるような事態が頻発するようになり、応急処置や手術を行う「外科学」が始まった。

②歯科と戦争によって発展していった麻酔学


19世紀にアメリカ人歯科医のホレス・ウェルズによって「麻酔」という世紀に大発見がされた。それまでは歯の治療では、台に寝かせた患者の両手両足を縛り付け、多数の医師たちが総出で強引に押さえつけて歯を抜いていた。その処置では痛みのあまり死者も出るほどだった。

ウェルズが発明した「笑気ガス」と呼ばれる亜酸化窒素麻酔を使った全身麻酔は効きすぎると死んでしまうことがあった。そこでアヘン)麻薬)の研究をしていたドイツに薬学者フリードリヒ・ゼルチュルナーが鎮痛作用のあるモルヒネを発見した。これが軍隊で外傷の苦痛を緩和する処置として非常に需要を高めていった。

また、自然科学の発展にともない、ロベルト・コッホとルイ・パスツールによって細胞学が創始され、コレラなどの感染症の流行に対抗した公衆衛生学もヨーロッパ全体に広がった。

こうした経緯での宗教や魔術による治療から、解剖学をベースにした近代医学へ発展した。

近代西洋医学は「未病」や「病人」ではなく、「病気」(症状)だけを対象とした。今までの個人主体の医療ではなく、医者依存型の医療になった。


③明治時代までは「口中医」がもっともレベルの高い医者


口中医がもっともレベルの高い医者とみなされていたのは、口の中には食べ物も空気(外気)も入ってくるので、栄養失調や感染などを防ぐためには、口の中の状態を診て適切な処置ができる専門医が必須であり、それを未病治療ができるのが上医とみなされていたから。


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■前回迄のお話


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