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いっしゅうき 2021.01①


2020.12.30 WED
22日目です。もうすぐ今年も終わりですね。相も変わらず一日引きこもって過ごしたので感慨もなにもまったくありません。ちなみにいま感慨と打ったら灌漑が出てきました。

単純に気になっていることなんですが、「豚汁」という文字があったとき、なんと発音するのがポピュラーなんでしょうか。
筆者は生まれたときから「ぶたじる」派なのですが、以前友人たちのまえでそう発語したら「なんか豚から分泌された液っぽいね」と言われました。その場にいた筆者以外の三人は全員「とんじる」派だそうです。いくら温厚なわたしでも、このときばかりは変なことを言うんじゃないよとちょっぴり怒りました。どっちも汁っつってんだから豚関係の液体なことに変わりはないと思います。ぶたじるが分泌液ならとんじるも分泌液で然るべきです。地域の問題なのか家の問題なのかわかりませんがまったく日本語とは面倒くさいものですね。なぜこの話をしたかというと、今日実家から送られてきたフリーズドライの豚汁(ぶたじる)を飲んだら舌を火傷したことを思い出したからです。

2020.12.31 THU
23日目です。ついに2020年もおしまいですね。いろいろなことがあったようで、個人的にはなんにもなかったような不思議な一年でした。2021年も何卒よろしくお願いいたします。
基本的に行事に無頓着な引きこもりなのですが、なにもしないというのもなんとなく据わりが悪いので洗濯と、水まわりの掃除をしました。トイレ掃除が終わったのでいざ風呂掃除をしようとしたら、風呂掃除の洗剤が空になっていました。おまえはいつもそうだ。そういえば2月くらいからずっと風呂場の電球が切れています。もうだめだ。

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2021.01.01 FRI
24日目です。明けましておめでとうございます! まあ初日の出は拝めずとも9時くらいには起きたいな、と思ってアラームをかけていたんですが、起きたらなぜかスマホの充電が切れており、13時近くになっていました。今年もこんなかんじで生きていくんだなと思いました。

母から、「こっち(地元)はすごく晴れてるけど、すごく寒い!」とLINEがきており、ふと窓の外を見たら東京もどうやら晴れているようなので、せっかくだから日のあるうちにと思い、近所の神社へ散歩に行ってきました。日があるといっても、日の光に微妙にオレンジが混ざっていて、ほぼ夕方という有様でしたが。
この時間だから参拝客もそんなにいないだろうと思ったのですが、想像していたよりもたくさんの家族連れが、神社へ続く通りを歩いていました。ひとり暮らしをしてから初詣に行ったことがなかったので、あんな小さな神社にこんなに人が来るのか、そもそもこの辺りにはこんなに人が住んでいたのか、と少し驚きました。なんだかみんな幸せそうな顔をしているので、フィクションの世界に入り込んだような、現実感のない風景でした。

神社に着くと、決して長くはない参道に、2列になって人が並んでいました。やっぱりみんな家族連れで、目につく限り、ひとりで来たのは筆者だけのようでした。みんな前の人と少し距離を取って、控えめな声で楽しそうに話をしていたのですが、筆者のうしろに並んだ家族連れの小さな女の子が大変元気で、阿吽像へ差し掛かった折に「こっちが『あ』! こっちが『うん』!」と指差し確認をしている気配がしたので、ほう……と思いました。たぶん5歳くらいじゃないかと思うんですが、そうかきみは阿吽が分かるんだねという気持ちでした。阿吽が分かる5歳児すごいな。御両親がこういうの大事になさる方なんでしょうか。
ただし阿吽像のなんたるかまではまだ知らないようで、お母さんに「これなんであるの?」と訊ねていました。お母さんが「悪いものが神社に入らないように守ってるんだよ」と答えた途端、「わるいもの? わかった、おにとかだ!」とめちゃくちゃ食いついており、なるほど鬼滅かと思いました。知識の拡張に役立つコンテンツは偉大です。

神様がほんとうにいるかどうかは分かりませんし、天国や地獄があるのかどうかも定かではありませんが、こうやってたくさんの人がそこへ参拝して、その瞬間だけでも「神様」にお願いや抱負を述べているのだから、きっと「いる」ということでよいのだと思います。だからきっと、阿吽像に退けられる鬼も妖怪も呪霊もいるんですよ。そうだろ? だから呪術を使って呪霊を退ける方法を学ぶ高等専門学校も都内にあります。そういうことでいいんだと思います。

神社のまわりにいる人たちがあまりに穏やかで幸せそうな顔をしていて、なにからなにまでつくりもののように綺麗だったので、フィクションにありがちな行動をしたくなって、神社のまえの自販機であったかいココアの缶を買って帰りました。こんな嘘みたいな、なんにもない日々が続けば、フィクションなんて要らなくなるのかなあとちょっぴり思いました。

2021.01.02 SAT
25日目です。どうやら今朝見た夢が「初夢」換算されるようですが、とんでもなく混沌とした悪夢で飛び起きたので筆者はもうだめです。全然訳わからんかったけど悪夢だったことだけはわかった。なんか、友人と映画かなにかを観にいくはずが、小学時代のクラスメイトの、流血を伴う親戚間のごたごたに巻き込まれ、なんとか生還したものの映画の時間には間違いなく間に合わなくて……みたいな……そんな感じだったような……(何?)

2021.01.03 SUN
26日目です。本日も家に引きこもり、えっちらおっちら作業をしていました。この調子でいけば明日明後日にはひと段落つく、かも……?
最近映画も全然観られていないし、そろそろ創作に向けてインプットとして小説を読んだり、おえかきをしたり、プロットを練ったり、ついったに溺れたりしたいんですが、そのためにもやることを早く終わらせたいものですね。がんばります。

さて、創作アカウントのはずなのにあまりにも創造的作業ができていないので、なんとも落ち着かなくなり、過去に発表した小説作品を再録いたしました!

ついったでも書いたことなんですが、この小説を収録した合同同人誌、なんと一冊も売れなかったんですよね! そんなことってあるんですよ、ほんとに。だからこの小説は、悲しみと絶望をともに味わった合同誌メンバーと、在庫を無理矢理押し付けた家族と知人しか読んだことのない、知る人ぞ知る幻の小説です。つまりいっぱい読んで欲しいなということです。よろしくお願いいたします!

2021.01.04 MON
27日目です。さて皆さん!! 本日1月4日はなんの日ですか!!!
そう、小説家・夢野久作の誕生日ですね!!! 夢野―――ッッッ!!! お誕生日おめでとう!!!!!! 生まれてきてくれてありがと――――ッッッ!!!!!!!



なぜ「なおきさん」なのかというと、夢野久作の本名(幼名)が「杉山直樹」さんだからです。いい名前ですね。さすがに「夢野久作」と書いてもらうには羞恥心が邪魔をしました。
ケーキは大晦日にネットで注文したものです。まったくインターネットとは便利ですね。年末年始にも関わらずとってもおいしいケーキを届けてくださいました。ほんとうにありがとうございました。とってもおいしかったです!
夢野については過激派同担拒否を拗らせている自覚があるので深く語ることは避けたいと思うのですが、世の皆さんが夢野久作という偉大な小説家の生誕をお祝いすること自体はほんとうに素晴らしいことだと思います! 今からでも遅くありませんし来年からでもいっこうにかまいません、もし憶えていられたらで結構ですので、ぜひ皆様におかれましても夢野の誕生日を盛大にお祝いしてください。よろしくお願いします!!

夢野については過激派同担拒否、と書いたのですが、実際にはなんというか、その作品のファンというよりは「夢野久作」そのひとのファンであるといったほうが正しいかもしれません。なので、夢野久作の作品とその世界観を愛するほかのファンの方とは嗜好が合わないことが多く、結果こうやって大仰に自身を定義している現状です。なので、愛の方向性が一致する方とはおそらくちゃんと楽しくお話できます。よろしくお願いします。なにに対するお願いなんだこれは。

御興味ありましたらぜひ関連書籍等お読みいただければと思うのですが、夢野久作の生涯はあまりに家、そしてなにより父に縛られたものであり(お父様にも彼なりの愛情があったのです。それが夢野にとっての幸せではなかっただけで……)、果たして彼の人生に、彼の思い通りになったものなどあったのだろうか、と思わずにはいられないほど波乱に満ちたものです。その作風や風貌から、飄々として掴みどころのない、どこか狂気じみたイメージのもと語られやすい夢野氏ですが、実際には父に従い、家に従い、家族を愛した、理性を手離すことの許されない人生を送った人物だったのです。そんな彼がおそらく、短い人生のなかで最も「自分自身」を発揮できたのが、小説をはじめとする創作活動だったのです。

だから、彼の作品はともかくとして、彼自身を猟奇的、変態的と評することの多い世間の風潮に耐えられないのです。いつかなんらかの形で、夢野久作という人間の世間のイメージを塗り替えることが、筆者の人生における目標であることはここだけの秘密です。果たせるかはわかりませんが、彼の作品を楽しむ傍ら、彼の人生についても少しでも興味を持っていただけたなら、いちファンとしてこれ以上の喜びはありません。深く語らないとか言っといてめちゃくちゃ語ってんじゃねえか。すみませんオタクなんです。高校時代に夢野をメインキャラクターに据えた漫画を描いていたくらい好きなんです。乱歩さんを主人公に、戦前の雑誌『新青年』の人々に焦点を当てた半ドキュメンタリー漫画を描こうとしていました。村山槐多の生存ifをぶっこんだりしていました。まわりの人間にも手当たり次第に読ませましたがみんな「?」みたいな顔をしていました。そもそも世の高校生の何割が村山槐多を知っているというのだろう? そこらへんの人たちの話になると自分が制御できなくなります。すみませんこの話やめます。なんか悲しくなってきちゃった。でも形にできたらおもしろいだろうな。なんとかつくれないかなあ。

ちなみに、筆者のおすすめは「死後の恋」や「海難小僧」等の短編作品です! 『ドグラ・マグラ』は意地で読みましたが正直おすすめはできません! あと家族に関するエッセイや、創元推理文庫のモーリス・ルヴェル『夜鳥』に収録されている文章を読むと、夢野の気取らない性格が窺えて、より彼が身近に感じられると思います! 夢野久作を何卒、何卒よろしくお願いいたします!!

2021.01.05 TUE
28日目です。ついに4週目が終わろうとしています。いやあよく続けたもんだ。われながらとてもえらい!

確認しなければならないことがあって、近所の図書館へ行ってきました。ほんとうは午前中から行って日が暮れるまえには帰ってくるつもりでいたのに、例のごとく昼過ぎに起きたので、帰る頃にはすっかり夜になっていました。
夜の散歩も非常に乙なもので、いま考えている小説のネタが浮かんだり浮かばなかったりでとっても楽しかったのですが、あたりが暗いうえにマスクのせいで眼鏡が曇り、結果ほぼ視界がゼロになるという、わりと本気で命の危機を感じるお散歩になってしまいました。スリルがあってなかなか趣き深かったですが、次からはちゃんと早起きしたいと思います。

ほんとうにありがとうございます。いただいたものは映画を観たり本を買ったりご飯を食べたりに使わせていただきます。