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いっしゅうき 2021.03①


2021.02.24 WED

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2021.02.25 THU
79日目です。先週の『国葬』の勢いで、キネカ大森で本日までの上映だった、セルゲイ・ロズニツァ監督『粛清裁判』(2018年、オランダ・ロシア)に滑り込んできました! ほんとうは名画座二本立ても含めて一日中キネカ大森に居座ろうと思っていたのですが、普通に寝坊しました。最近妙に早くに目が覚めるから、目覚ましなしでもなんとかなるべ!と就寝した昨夜の自分をぶん殴りたいです。

相変わらずなにもわからないまま鑑賞しましたが(勉強してから観ようと思ってはいたのですが、なんだかんだ時間が取れず……と言い訳をしておきます)、なにもわからないなりに裁判の気迫、厳粛さに圧倒されました。ときおり挟み込まれるデモ行進の様子になんだかぞっとしたり、被告人が尋問を受ける様子にひやひやしたり、極刑が求刑された瞬間の場の雰囲気に恐怖すらおぼえたり……と思えば、最後の最後にそれらの感情すべてをぶち壊すように「この裁判は捏造だった」という文章が登場し、「え、じゃあいままでの2時間の感情はなんだったの???」という気分にさせられ……。
エンドロール直前に挟まれる人物紹介?もまた味わい深いというか、裁判中に「国に危害を与える者は粛清されねばならない!」(意訳)と熱弁をふるっていた人物が、現実にはその後反逆の罪で銃殺されているなど、「皮肉」という言葉では表し切れない無常感に満ちていました。普段「自分」という小さな枠でしか物事を見ていない人間なので、こうして国や政治といった大きな枠組みに呑まれていった人たちの存在を見せつけられると、大きすぎる虚無感のようなものをおぼえます。この感覚、くせになる。難しいことなんもわからんなりに、難しいことを避けてはいけないなと思わされます。

『国葬』のときもそうでしたが、説明や解説が最小限のまま状況が進んでいくので、エンターテイメント性なんかを求める人にとっては「なにこれ?」となる作品かもしれませんが、個人的には、たとえ知識がなくとも、目の前の状況がどういう経緯で起きているのかがわからなくとも、人々の熱狂や当時の社会の雰囲気をひたすら浴び続ける、というスタンスでも十分に楽しめる映画だと思います。少なくとも筆者はめちゃくちゃ好きでした、『粛清裁判』。円盤が出たら、今度はちゃんと知識をつけてから、「知識があるうえで観たらどう感じるか」を比較してみたいなと思っています。

2021.02.26 FRI
80日目です。一日暇だったので、勉強をしたり本を読んだりして過ごしました。いまは図書館から借りてきた『死』というタイトルの哲学入門書を読んでいます。簡潔明瞭で大変よろしいですね。本の内容がタイトルだけでよくわかる。
複数名の著者が『死』に関して、さまざまな視点から説明してくれるというものです。若干古い本ですが、素人甚だしい筆者から見ると非常におもしろい内容です。最近映画をよく観るようになったこともあって、四方田犬彦さんによる、演劇・美術などの観点から死を考察している章が興味深かったです。まだ全体の半分程度しか読めていないので、ぜひ最後まで読みきりたいと思います。

2021.02.27 SAT
81日目です。カレーを食べていたら突然部屋の電球が寿命を迎えたので、いま暗闇のなか懐中電灯の明かりでこれを書いています。

VODサービスで『世にも怪奇な物語』(フランス、1967年)を観ました。エドガー・アラン・ポーの作品を題材に、3人の監督がつくった3つの作品を収めたオムニバス映画です。

ポー作品は学生の頃創元推理文庫の『ポオ全集』を親にねだって買ってもらい、なんだかんだひと通りは読んだはずなのですが、映画を観ながら「あれ?『メッツェンガーシュタイン』って男性主人公じゃなかったっけ?(自信がない)」となったり(調べたらやっぱり男性でした)、「『ウィリアム・ウィルソン』ってどんな話だったっけ?」となったり(調べました)、「『悪魔に首を賭けるな』って話なんてあった???」となったり(ありました)、自分の記憶力がいかに残念かを痛感する結果となりました。『ポオ全集』はね。「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」がめちゃくちゃ長かったことだけ鮮明におぼえています。たしか2巻目に収録されてましたよね。だからなんだという話なんですけど。

ついったでも呟きましたが、やはり3作目、フェデリコ・フェリーニ監督『悪魔の首飾り』が特にすさまじい作品でした。モダンな雰囲気に俳優たちの悪夢的な演技がよく溶け込んでいて、「そうそうこういうのが好きなのよ!!」としみじみ思いました。画面上のどの登場人物もみんな、一切の隙もなく「恐ろしい」んですよ! 細部の隅々までこだわりが窺え、物語としても、映画としてもとんでもない作品でした。好きだなあ。すごいなあ!! たしか原作はとても短くさらっとした作品だった気がするのですが(あらすじをググった結果なんとなく思い出しました、間違っている可能性大です)、それにここまでディティールを付け加え、自分の作品として形成しつつポー作品へのリスペクトも残す、という技術はすごいなと感じました。主人公のそこはかとない哀愁もよかったなあ。原作の要素を取り入れたラストも、恐怖とともになんだか悲しみをおぼえる良い展開でした。主人公がシェイクスピア俳優というのもなんとも暗喩が効いている気がします。ここまでわかったような口を利いていますが全部ど素人の戯言なので真に受けないでください。

フェリーニ監督の作品は、『道』だけ観たことがあります。『月に吠えらんねえ』という漫画の作者である清家雪子さんが、好きな映画として『道』を挙げておられて、気になって鑑賞しました。

当時は、なんだか心の苦しくなる作品だなあ、てかイタリアでは「さよなら」のときこうやって手を振るんだおもしろいな、なんて阿呆みたいな感想を持ちましたが、それでもなぜだか、未だに忘れられない作品です。その作品と同じ監督が撮った作品がこんなにおもしろいなんて、ほかの作品も観るっきゃないな!とひそかに思っているところです。折を見て少しずつ観ていきたいと思っています。
こうしてみると、同じ監督の作品といっても、『道』と『悪魔の首飾り』では雰囲気がずいぶん違うなと思います。モノクロとカラーの違いもあるのかもしれません。時代背景も全然違いますしね。こうして一見同じ監督の作とは思えないような毛色の違う作品をつくり、かつどちらも記憶に残るということは、ほんとうにすごい監督さんなのだなと感じます。すごいひとはほんとうにすごいなあ。わたしもがんばんねえとな。まずは部屋の電球換えないとな……。

2021.02.28 SUN
82日目です。相変わらず部屋の電気は切れたままなので、以前ついったで拝見したペットボトルランプをつくりました。ペットボトルに水を入れ、その下から懐中電灯を当てるという単純な構造です。小学生の頃の図工を思い出しますね。水に数滴、牛乳を入れるとより光が拡散するということで、牛乳はなかったのでおやつのバニラアイスの溶けたのをちょっぴり入れてみたところ、昨日に比べて格段に部屋が明るくなりました! ありがとうついった集合知、ありがとう明治エッセルスーパーカップ。しばらく換えなくていいかな?(換えます)

2021.03.01 MON
83日目です。無事部屋に明かりが戻ってきました。やはり電気とはよいものですね。ありがとうペットボトルランプ。おまえのことは忘れない。

なにか新しいことを始めるなら月の初めがキリがよくてよいですね、ということで、キラキラSNSことインスタグラムなるものを始めてみました。使い方も楽しみ方もさっぱりわからないのですが、御興味ある方はついったともどもそちらもよろしくお願いいたします。現時点唯一の投稿は眼鏡です。

ところで、実家から大量に送られてきていたフリーズドライの豚汁が、きょうついに底をついてしまいました。悲しい。これを書きながらお供に飲もうと思って保管箱を開けたらいちばん外側のパッケージしか残ってなかった。もう豚汁なしでは生きられない体にされてしまったというのに、これからどうやって生きていけばよいのでしょうか。途方に暮れながらインスタントのクリームシチューを飲んでいます。

2021.03.02 TUE
84日目です。インスタグラムなるものを開設しひと晩が過ぎましたが、やっぱりまだインスタグラムなるものの楽しみ方を掴みかねています。現時点ではいっこうに更新されないホームを延々しゅこしゅこしては、ぼけーっとしています。4人しかフォローしてないんだから更新されねえのも当たり前なんだよな。いずれはイラストなんかを上げられればいいなと考えているのですが、いったいいつになることやら……。

ほんとうにありがとうございます。いただいたものは映画を観たり本を買ったりご飯を食べたりに使わせていただきます。