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ルースター・マン 完結

ヘッドレス・マイクは簡単に言うと火炎放射器だ。そんなに物騒な武器じゃないんだが焼かれることが多い鶏には恐怖なんだ。

その時だ!ご丁寧にアジトの玄関からエラを大きく張ったアナバス・フィッシュ・マンが5人なだれ込んできた!

「おお!ついにきなすったか!」

ケリーが食いつこうと突進するアナバス・フィッシュ・マンを横跳びに退けると後ろから蹴って背びれを切り裂いた!
惜しい!身には届いていない!

「おい!こっちだ!金魚ちゃんよ!」

簡単に挑発に乗る魚野郎。
くるりと俺のほうを向くと歯を剥き出した。

「てめぇ、言葉は喋れんのか!?」
「ゴボゴボゴボ!」

「どうやら喋れないらしい」
「魚に喋れってのは無理かもな」

一瞬、突進していたアナバス・フィッシュ・マンが跳ね始めた!逆鱗丸が現ナマツリーの枝を切り落としたのだ。

「なんだこいつら、カネの価値はわかるのかよ!」
このアジトにはカラクリがある。
「おい!3人ともわきの部屋へ退け!」
魚野郎だけになった部屋に右の壁一面から熱せられた網が迫る。
逃げようにも入ってきた扉は遠く窓もない。
「ゴボゴボ!ゴボーーーーッ!」
一瞬で焦げる魚野郎。

ああ、あっさり片付いたな。
焦げくせぇ。
  
現ナマが少し燃えちまったが仕方ねぇな!

俺たちは早急に焦げた部屋で作戦を確認した。
「俺らはこれだけでいいのか?ミノ?」
逆鱗丸が尾羽を手繰り寄せながらきく。
「ああ、あとはマイクでやる!」
ケリーは浮かぬ顔をしている。
「おい!ケリー!里心がついたんじゃないだろうな!?」
「うるせぇ、少しは感慨にも浸りたくなるさ」
「まだ刷り込みが効いてんのかよ」
逆鱗丸もいう。
「お前のお袋はミジタじゃねぇ。ただの雌鳥だぜ?」

ぐおがごごごご。がこぉん。

「来やがった!」
3羽で外に飛び出すと巨大な死鶏焼却炉に乗ったミジタが見えた!トサ・ドッグ・マンも数十匹率いている。

ぐおおおお!うがうううううう!ぐおっ!
唸りながら距離を詰めるトサ・ドッグ・マン!

「ケリー!!」

ケリーが飛び上がった!そして急降下しながら旋回し土佐犬野郎の頭を次々に蹴爪で蹴る。

最初の数頭はそれでよろめき始めた!だが全部は仕留められてねぇ。
俺と逆鱗丸で現ナマを放り上げると単純な奴らは飛びつき始めた!
さすがミジタの配下だ、こいつは楽だぜ。

「逆鱗丸!」「わかった!」

しゅるしゅるとトサ・ロングテール・マン逆鱗丸の尾羽が触手めいて伸び広がり、土佐犬野郎を団子にして絡めとり始めた。
いつのまにか集まったほかのトサ・ロングテール・マンもあるものは飛び、あるものは地上から尾羽でがんじがらめにトサ・ドッグ・マンを一網打尽にしていく。
「コケコッコオオオオオオォォォォ!」
これは?!東天紅の声だ!

ルースター・マン達は同じく雄叫びをあげた!
「コケコッコオオオオオオォォォォオ!」

時はきた!ミノはヘッドレス・マイクに飛び乗ると土佐犬男の団子に向かって炎を放った!

ぎゃぃぃぃ、キャアアァァンッ!たちまち黒焦げになるトサ・ドッグ・マン。

次だ!

逆鱗丸達は一斉に羽ばたき上空からミジタを狙い定める!
「やれ!!」逆鱗丸の一声で全てのトサ・ロングテール・マンの尾羽がミジタに迫る!
死鶏焼却炉は死んだ鶏しか焼けない。
なんの武器にもなってねぇ!こけおどしだぜ!

「ちくしょう!長尾鶏の卵をよこせ!」
みっともなくミジタが呻く。
「おい、ミジタさんよ」
ケリー!
まさか!
「俺を卵から取り上げたのはあんただったな。だがあんたは賭博をやりすぎた。鶏たちを苦しめすぎた!」
「ケリー!退け!」
ケリーは一発ミジタに蹴りを入れると飛び退いた!

「コケコッコオオオオオオォォォォ」
ヘッドレス・マイクの炎がミジタを包む。

あっけない最期だ。
 
「卵を…返せぇぇぇ…」

やがてその声も聞こえなくなった。

大量の採卵鶏、軍鶏、さまざまな鶏たちが走り寄ってくる。買収した養鶏場の鶏たちだ。

ミノ!さあ!

お前ら!俺たちは誰にも邪魔されない鶏の国を作るんだ!俺たちと来い!
貴重な長尾鶏の卵はトサ・ロングテール・マンに返すぞ!

「コケコッコオオオオオオォォォォ」
「コォォォオオオオ!」
「キケリキー!」
「カカレクー!」

俺たちは旅立った。

鶏の国を作るために。


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