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映画備忘録4「チェーン・リアクション」

原題:Chain Reaction

公開年:1996年

上映時間:107分



あらすじ

 アリステア・バークレイ博士率いるシカゴ大学のプロジェクトチームは、ついに石油に代わる新エネルギー発生装置の開発に成功した。しかしその日の夜、アリステアが殺され、チームのひとりであるルー・チェン博士も行方不明になり、さらに研究所は謎の大爆発を起こす。
 研究チームのエンジニアであるエディと物理学者のリリーは一連の事件の重要参考人としてFBIに指名手配されるが、ふたりには全く身に覚えがない。しかしエディの家から覚えのない証拠品が見つかったことを知らされた彼らは、これが何らかの罠だと気付く。
 アリステアを殺し、自分たちを罠に嵌めようとしているものは一体何なのか。ふたりは真実を得るために逃亡を図る。



※以降ネタバレ含みます


①主人公が有能すぎる

 キアヌ・リーブス演じる主人公のエディ・カサリビッチ。研究チームのエンジニアである彼は非常に優秀な頭脳を持っており、新エネルギー発生装置開発の成功に一役買った物語のキーマンになっている。
 このエディ・カサリビッチとかいう男、とにかく有能。エンジニアと言うだけあって機械に強く、放置された車を修理するわ、警察のデータベースを隙をついて利用するわ、何なら黒幕のパソコンを勝手に弄ってFBIに情報流すわでやりたい放題している。そもそもそこに至るまでの行動力もすさまじく、彼の逃亡劇には目を見張るものがある。
 もちろんこれらの行動を起こすのには当然それなりの度胸が必要であり、次の展開を先読みする能力、さらに定期的に現れる追っ手から逃げきる体力も必須だ。そして彼にはそれら全てが備わっている。時には銃を持った謎の人物たちを相手にすることもあるが、それでも怯むことなく立ち向かうとんでもない勇気の持ち主なのだ。

 優秀なのは頭脳や行動力だけではない。彼は逃亡仲間のリリーのことをしっかり気遣う誠実な性格も持ち合わせている。冬の湖で濡れた彼女をブランケットで包んで温め、バスタブに入る彼女に掛け湯をし、ベッドで休む彼女に非常食を用意する。普通ここで「肌と肌で温め合う」とか「ベッドでなし崩し的に」みたいな展開あると思うだろう。ないのだ。ないんかい!と思わずツッコんだ。嬉しい誤算だ。おかげでストーリーに集中出来た。FBIに追われつつ陰謀にも巻き込まれてるようなふたりが急にそういう展開になったら、今それどころじゃないだろってなってしまうからだ。


②モーガン・フリーマンがかっこいい

 モーガン・フリーマン演じるポール・シャノンも非常にいいキャラをしている。彼は研究開発の費用をやりくりするいわばパトロンのような役割だが、ストーリーが進むごとに印象が変わりゆく異質な人物だ。
 事件が発覚し、追われる身となったエディとリリーを庇うシャノン。ふたりが無実だと信じる素振りを見せる彼に、視聴している我々も彼は味方だと思い込むだろう。しかし徐々に明らかになる彼の正体を知ったとき、果たして彼は本当に味方なのか?という疑惑を抱かせてくる。このモーガン・フリーマンの腹の底が見えない演技が本当に素晴らしく、気付けばシャノンの一挙一動に目を奪われている。

 あと、葉巻をくわえるモーガン・フリーマンが渋くてシンプルにめちゃくちゃかっこいい。


③実質ダブル主人公

 研究所でアリステアが殺されていたことにたまたま気付いてしまったエディ。逆に言えば、彼がそれを見つけなければ一連の事件は爆発事故として処理されていた可能性が高く、アリステアは危険な実験の末に死亡した人物とされていたかもしれない。
 また、そもそも物語の鍵を握るエディも黒幕側からしたら頭を抱える人物。彼は頭が切れる上に行動力もあり、正義感のある性格も相まってとにかく捕まらないし忠告も聞かない。結果的に彼の行動によって黒幕の計画は破綻していくことになる。
 些細なきっかけから思わぬ陰謀に巻き込まれる主人公。正統派なストーリー展開だが、ポール・シャノンという存在により物語は一筋縄ではいかなくなっているところがまた妙味を生み出している。彼は彼なりの信条に則って行動しているので、エディの味方にもなるし、敵にもなる臨機応変な立ち位置なのだ。
 エディとシャノン、このふたりの行動が起こす連鎖反応の結末は見もの。


総評

 想像してたよりずっと面白い内容だった。
 とにかくあらゆる手を使って追っ手から逃げるエディとリリー、その裏では何やら陰謀に関係しているらしき挙動を見せるシャノン。同時進行するふたつの展開がひとつに収束したときの気持ちよさ。終盤で黒幕に一矢報いるエディも最高にかっこよかった。
 個人的に、ラストは幸せなキスで終わるみたいな定番の終わり方をしていなかったのも良かった。

 ひたすらかっこいい若かりしキアヌが摂取出来る良き映画である。


注意点

 特になし。人が何人か死ぬくらい。

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