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映画備忘録3「ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談」

原題:Ghost Stories

公開年:2017年

上映時間:99分



あらすじ

 イギリス各地で霊能力者や超能力者のインチキを暴いてきた心理学者のフィリップ・グッドマン。ある日、彼の元に1本の音声テープが届く。それは彼が憧れるチャールズ・キャメロンからのものだった。
 招待を受けたグッドマンはキャメロンの元へ向かう。キャメロンはグッドマンに、自身が解明できなかった3つの超常現象の調査を依頼した。
 精神病院で幽霊を目撃した元警備員、森の奥で人ならざるものに襲われた青年、自宅でポルターガイストに遭遇した夫。真実を暴くために、グッドマンは3人の男たちに会いに行く。



※以降ネタバレ含みます


①タイトル詐欺

 原題から何故か増えている「英国幽霊奇談」という邦題のサブタイ。これがなんとなく日本人的に「ほん怖的な内容か?」という第一印象を与えてくる。さらに、内容も主人公が3つの恐ろしい体験談を聞いて回るというスタイル。なんだ、よくある回想系ホラーか……

 と、思うじゃん?

 ラスト30分。ほん怖スタイルだと思い込み油断していた我々の隙を突くように、物語は急展開を迎える。


②マーティン・フリーマンの好演

 出産を控えた妻を持つマイク・プリドル役のマーティン・フリーマン。彼は今回非常に素晴らしい演技を見せてくれる。
 というのも、そもそも演じる顔がひとつじゃない。彼はマイク・プリドルの他に、チャールズ・キャメロンも演じているのだ。そう、グッドマンに調査依頼したあの人。マジで種明かしされるまで全然気づかなかった。特殊マスクをしていたのもあるが、それにしたって喋り方も別人だしわかるかぁ!て感じである。
 それだけでも驚くのに、彼はまた別の顔も見せてくる。マイク・プリドル(案内役)だ。さっきのマイク・プリドルと何が違うのか?先述の彼は言うなれば村人Aのような、いわば舞台装置のひとつ。
 一方案内役のマイク・プリドルは、グッドマンを舞台に引きずり出して彼に全ての真実を見せるメタ的な存在である。役割が変化したため、同じ名前ですがまるで別人になるところはお見事。


③衝撃のラスト

 使い古されたワードだが、この映画はまさしく「衝撃のラスト」と称するに相応しい結末を迎える。
 グッドマンと我々が見ていた現実は崩れ落ち、マイク・プリドルに導かれて露わになる4つ目の物語。それはかつてフィリップ・グッドマンが経験した、学生時代の「記憶」だ。
 正直言おう。ここマジで怖かった。今まで見てきた3つの「体験談」と違い、この「記憶」は完全に生身の人間が加害者であり、またそれによって死亡した被害者が存在しているのだ。当時グッドマンはその一部始終を見ておきながら、結局その場から逃げ出してしまった。彼はそれをずっと後悔していたのだ。
 マイク・プリドルは幽霊の正体を語る。グッドマンはそれを受け止め、めでたしめでたし──

 と、思うじゃん?

 まさかの三段構え。何もめでたくない最後の真実がベンチで控えており、満を持してフィールドに上がってくる。


総評

恐ろしい映画だった。この1作にホラージャンルが複数凝縮されている。「英国幽霊奇談」という若干陳腐なサブタイが逆に秀逸になっている稀有な例だと思う。
 また、各所に散りばめられた伏線が全て繋がるラストは目を見張るものがあった。

 それにしてもスリーピーススーツのマーティン・フリーマン、ビジュが良すぎたな……。


注意点

 がっつりホラー映画。しかもジャンル混合系ホラー。スプラッタ系もびっくり系もモンスター系もあるし、生きてる人間もホラー。怖いのが苦手な人は見ない選択をとるか、または覚悟決めて見てほしい。

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