読書感想文:「デス・ゾーン」河野 啓 著
読書感想文、子供の頃は大嫌いでした。でも、大人になって、気が付いたらインプットしたことをアウトプットする機会がものすごい減っていました。
本を読むのは、昔から大好きでした。たくさんのことを感じて、空想して、ドキドキ・ワクワクして、徹夜で本を読んでいることもありました。でも、気が付いたらその本の記憶や感動も薄れていっていました。読みかけの本の数もどんどん増えていきました。
ということで、アウトプットの機会、そして、感情が動いた瞬間をしっかりと言語化するために、「あれ、もしかして、読書感想文ってなかなか良い解決策なんじゃ」と思ったのでnoteでやっていきたいと思います!
1. きっかけ
本を知ったきっかけは、Twitterでフォローしている箕輪厚介さん、三浦崇宏さんがこの本についてツイートしており、自分と周りとのギャップから産まれた一つの物語、というような紹介がされていて非常に気になったから、そして、この本で描かれている人が「栗城史多」さんという少し知っているけど詳しくは知らない人、当時話題になった人だったような記憶があるので、非常に気になったから。
2. 大まかなあらすじ
エベレスト登頂の過程で手の指を9本失い、最期はそのエベレストで滑落死した栗城史多という人物を取材、そして、回想するノンフィクション作品。
3. 感想
箕輪厚介さんは、以下のようにツイートしている。(やはり、本質を言語化する、そして、自分の体験からのツイートは秀逸)
また、三浦崇宏さんのツイートも。
この2人のツイートが全てではあるので、非常に簡単な読書感想文なのだが、この本にも出てくる「虚実皮膜(きょじつひにく)」、芸の神髄は、虚(うそ)と実(まこと)の境界が(皮膚と粘膜のように)微妙なところにあり、虚構があることによってかえって真実味が増す、という江戸時代の人形浄瑠璃の巨星、近松門左衛門の芸術論が非常に心に残った。
あなたの生きる目的はなんですか?あなたにとって一番人生で大切なものはなんですか?
前回のnoteに「目標」について書いたが、実は上の質問への回答を即答出来ないのが自分の今最大の悩みであり、向き合っていること。その悩みの一番の問題は、「その答えは、本当に自分の答えか?それとも、他人にそう思われたいと思っている自分の答えか?」
自分の気持ちに素直に。
自分のやりたいことをやればいい。
そんな耳障りの良い言葉をよく聞くが、本当に自分の気持ちを分かっている人間は、この世の中に何人いるのだろうか?
他人に期待されると、人はどうしてもその期待に応えようとしてしまう。もしその期待が本当にその人のことを思っているのであれば良いけども、その期待自体が他人の願望そのものだったなら?
オリンピックの度に繰り返される金メダルへの期待。でも、その金メダルを目指して努力したのは選手本人だけではないのか?
甲子園で活躍した高校球児がスポーツ新聞の一面を飾り、プロの世界に入る前から寄せられる世間からの熱い視線。でも、活躍出来ないばかりか、最後は犯罪を犯してしまう選手もいる。彼らをそうさせたのは誰なのか?
資本主義の中に「消費」という言葉がある。僕らは知らず知らずのうちに、「物」だけではなく、「人」までも消費しているのではないか?
そして、気がつかないうちに自分と向き合うのではなく、「消費」されるためだけに寄せられた、そこには何も実体のない「期待」というものに応えることが、いつの間にか快感へと変わっていく。なぜなら、近松門左衛門のいう「虚実皮膜(きょじつひにく)」、より真実味を帯びていってしまうから。
しかし、その「期待」に応えれば応えるほど、自分自身とはかけ離れていき、結果はどうあるにせよ、後ろを振り返れば、一体自分がしてきたことはなんだったのか?そんな風に感じることがあるのだろう。
イチローの引退会見でのコメント。
『人よりも頑張るなんてことはとてもできない。あくまでも「量り」は自分の中にある。量りを使いながら、自分の限界をちょっと超えていく。そうするといつの日かこんな自分になっているんだ。少しずつの積み重ねでしか、自分を超えていけないと思っているんですよね。一気に高みにいるとすると、今の自分とギャップがありすぎて、それを続けられない。地道に進むしかない。ある時は後退しかしない時もあるので、自分がやると決めたことを信じてやっていく。でも、それは正解とは限らない。間違ったことを続けているかもしれない。遠回りをすることで、本当の自分に出会えると思っている。』
他人からの「期待」ではなく、常に自分と向き合い続けた人の言葉。そこには、SNS時代を生きる僕らが日頃忘れがちな何かがあるような気がする。
あなたの生きる目的はなんですか?あなたにとって一番人生で大切なものはなんですか?
この答えを探す自分に投げかけられた言葉。
今の自分が持っているもの、置かれて状況を感謝すれば。それを表に出せば。まずはそこからなんじゃないかな?
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