#記事解説 日本のIT企業がウズベク副首相を訪問(2019/5/23)

1年前の記事で古いが、未だにウズベク語でしかソースが見当たらないので、きちんと日本語でも情報として整理しておきたいと思う。

https://kun.uz/uz/news/2019/05/23/yaponiyaning-qator-kompaniyalari-rahbarlari-delegatsiyasi-ozbekistonga-tashrif-buyurdi?fbclid=IwAR1xRXW3vBvuP662r0-y_QHbWKvujoOOvHhgNVqKzQ3Cw8uMKqJuduyAfpo

前提として、日本企業のウズベクへの進出は活発とは言えないし、これから増加する兆しもあまり見られない。ODAは2013年から2016年まで圧倒的1位で(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/uzbekistan/data.html#section1)ウズベク人の日本へのイメージも概して良いのだが、二重内陸国で旧ソ連体質が抜けきらないウズベキスタンに対して日本企業がまだビジネスをするメリットを見いだせないのだろう。しかし、独立後のGDP成長率は多少鈍化しつつも2004年から7~9%の高水準を維持していたし、私が滞在していた間にも物価はぐんぐん上昇し、伝統工芸品のスザニや絨毯も単価が日を追うごとに上がっていたので、今のうちにと現地の日本人の友人が大量に買い求めていたくらいである。コロナ後は世界的に経済が落ち込むことが確実なのでどうなるか分からないが、少なくともコロナ前の状況が続いていれば、若い労働力が豊富で富裕層が増加しつつあるウズベキスタンに進出しようという日本企業が増えてきてもおかしくないと予想していた。

さて、ウズベキスタンの大統領は2019年末に訪日した。日本では天皇陛下と内閣総理大臣に面会したときにようやくニュースになった程度であったが、ウズベキスタンの日本関係者界隈はもちろん賑わっていた。訪日前後は日本関係者と政府要人の面会も活発に行われていて、訪日直前に来ウズした河村名古屋市長と大統領の面会が実現したくらいである。通常、大統領がランクの違いすぎるいち市長と会うなんてことは考えられないので、関係者は皆びっくりしていたが、大統領は訪日で名古屋にいくことになっていたし、情報を得たかったのだろう。

いつも前提が長くなってしまうが、この記事も、ウズベキスタンの政府要人と日本から来た社長さんたちが会ったよ、という内容である。対応したのはウズベキスタン政府の副首相であるAziz Abdukhakimov氏。2018年に放送された「イッテQ」でイモトが会った、日本語ペラペラのノリの良い観光大臣だったあの人である。一橋大学に留学していたことがあるらしい。その後副首相と順調に出世していたようだ。なんとWikiに情報があったので人物の詳細はそちらに譲りたい。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%96%E3%83%89%E3%82%A5%E3%83%8F%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%95

ウズベキスタンは、外国からの直接投資を呼び込みたい。そのための取組の一環として、未来の投資家として日本の企業を呼んだという報道ぶりである。日本企業は、LIFULLの井上社長を筆頭に、 «Will Group, Inc», «Bike&Company Ltd.», «Warehouse Terrada», «Fixstars Corporation», «Fujisan Magazine Service Co., Ltd.», «Tokyo Ichiban Foods Ko., Ltd.», «MRT Inc.», «Happy Terrace Co. Ltd.» va «Pay Forward» から幹部が参加したようである。内容は、観光、製薬、ヘルスケア、農業、繊維など多岐に渡ったと伝えている。日本側は、エネルギー分野、特にソーラーエネルギーなどに関心を示し、IT分野の専門家を育てるための教育について問題提起し、社内にインターンシップ制度を創設すると言及したようである。また、製品の輸出について質問したらしいが、ウズベク側がどう答えたのかははっきり書かれていない。まあ、輸出については海路が使えないので、製造業を大々的にやるのは難しいと思われる。しかし、国としての将来性には大いに期待を持てる印象を持ったようで、再度訪問して具体的な投資のプロジェクトを行いたいと前向きなことを言ったようである。

おそらく、日本からの一行は当初、他の多くの日本人同様、「ウズベキスタンってどこ?」と思い、家族からは「スタンがつく国って危なくない?治安は大丈夫なの?」と聞かれていたことだろう。しかし、この来ウズで、これまた他の多くの日本人同様、ウズベキスタン側からの盛大なおもてなしを受け、素敵なモスクを観光し、美味しい料理を堪能し、すっかりウズベク贔屓になったこともまた予想されるのである。ウズベク人、お客様のおもてなしにおける感じの良さはずば抜けた才能がある。

ちなみにLIFULLは2019年6月にOPEN SWITCHという社会的課題を解決するためのビジネスコンテストを始めた。2回目のコンテストでは「FamiMus ~ムスリム向けの旅行サービスプラットフォーム~(ブルハノフサイダフロル 氏)」が入賞している。https://lifull.com/news/17077/ 本コンテストには実は知人を通じてウズベク人へも応募を働きかけて欲しいという話があり、ウズベク人を特定してくる話は日本企業ではまず聞かれないので、意外だなあと思っていた。おそらく、5月のウズベク訪問をきっかけに、社長はかなりウズベクびいきになっているのではと予想している。

ウズベク人は、実は日本のIT企業で結構働いているとも聞く。語学センスに優れており、ウズベク語以外にロシア語、英語、日本語、ドイツ語と使える人も少なくない。その上で、見た目も人柄もよく、頼りがいもある。日本人ともメンタリティが似ており、文化や宗教や食事の違いを乗り越えられれば、同僚としては他の国よりもうまくやっていけると個人的に思っている。人生を上手に楽しむ彼らともっと日本人が交流することで、日本人の働き方も意識改革されていくかもしれない。






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