楔形文字本の選び方
はいどーも。ゆーです。
去年から技術書典なる技術同人誌のお祭りに参加しつつ、楔形文字の本を書いてるわけですが、気づけば3冊目といつことで、「どれから読んだらいいの?」「内容は繋がってるの」といったお声が、まあ聞こえてきたわけではないけども、あるかもしれないなーということで、ちょっとそれぞれの紹介をしてみましょうというお話だぞ。
楔形文字本3冊には、楔形文字を扱ってるということ以外に繋がりはありません。だからどこから読んでも大丈夫。そんで、かぶってる内容もあんまりないはず。だからぜんぶ買っても大丈夫。
じゃ一冊ずつ見ていきましょうね。
楔形文字とユニコードの出会いにまつわるエトセトラ
こちらが1冊目ですね。サークル内では「黄色い本」とか「楔形文字本1」と呼んでます。
タイトルにあるユニコードというのは、コンピュータ上で文字を扱うために文字一つ一つにどういう番号付けをするかを決めた規格のひとつで、現代ではほとんどの場面でこの規格に従ってテキストが表現されるようになってます。
その規格の中にメソポタミアの楔形文字が含まれるようになったのが2005年の頃なんだけど、収録にあたっての委員会の議論の様子とか、規格の方向性について書いたのがこちらです。
情報源としては委員会のWebサイトに規格の草案とか交わされたメールの一部が残ってるのでそれを参考にしました。
日本語で(というか英語でも)この辺の経緯について書かれたものを見たことないので、興味のあるひとには面白いんじゃないかと思います。ニッチな内容だけど、事前知識がなくても読み物として読めるようになってるつもりなので、最初の一冊にもおすすめです。
楔形文字を読みたくて読めなくて眠れない夜には
こちらが2冊目、通称「青い本」または「楔形文字本2」です。
楔形文字の50音表(オの段がないのでちょっと違うけど)を中心に、楔形文字で日本語を読み書きしてみようっていう本です。アルファベットを使ってローマ字で日本語を書くように、楔形文字をつかって書いてみよう、あるいは読んでみようっていう趣旨で、字体違いとか、同音異字とか、いくつかのパターンで表を収録しています。
表が多いから電子書籍だとちょっと見づらいかもなんですけど、PDFだから表のとこだけ大きく印刷するなんてことも自由です。シリーズ中いちばんたくさん楔形文字が書いてあるし、難しい話はあんまりないので、最初の一冊にもおすすめです。
楔形文字で綴る人理遡行運命譚
最新刊です。通称「楔形文字本3」です。
FGOの7章バビロニア編を題材に、サーヴァントやその宝具を綴る文字や由来を語る本です。メソポタミア関連の書籍や学術書、論文なんかから掘り出してきた情報が盛りだくさんな、密度の濃い一冊になってます。
こちらでサンプルも公開しています。
いつも調べてるネタの棚卸し的な内容だからさくさく書けるぞ、と思いきや。書けば書くほどもっと知りたい調べたいことがずんずか出てきて、調べたら調べたですっごく面白い(個人の感想です)新情報がわんさか出てくるので嬉しい悲鳴が止まらない執筆体験でございました。っていうか終わってないのだが。
いま参考文献のページだけで5ページくらいあります。ドヤ! いやドヤってるわけではなく、調べたばっかりのこともホイホイ書いてるのでちゃんと出典書いとかないと自分の首を絞めますからね。
この本については今後も改訂を加えて行く予定で、まだ使ってない資料もたくさんあるのでそれも楽しみです。
難しい内容もあるっちゃあるけどそれは半分ネタみたいなものなので読み飛ばしていただいて全然構わないので、特にFGOが好きな方なら最初の一冊に大変おすすめです。