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初めて金縛りにあった話

 みなさんは、金縛りにあったことはあるだろうか。

目は覚めているのに、体は動かない。

上に誰か乗っかっているような。

「金縛り」と聞くと、大体このようなイメージを抱くと思う。

私が周りの友人から聞く体験談もほとんどがこういったものだった。

しかし、自分自身「金縛り」にあった試しがなかったため、半信半疑な部分があった。

今日は、そんな私が人生初の金縛りにあった話を綴ろうと思う。

高校2年生の夏。学校祭の準備で忙しく、帰りの電車に乗ったのは、8時頃だった。

30分程で地元に着き、徒歩10分の帰路を重い足を引きずりながら帰った。

家に着くなり私は、暗い部屋に豆電の明りを点し、疲れきった体を横にし、ベットに飛び込んだ。

全身から力が抜けていく感覚に浸りながら、通知されていたナオキマンの動画を見ていた。

いつもと反対方向に頭を置き、掛け布団を枕がわりに使っていると、急な眠気に襲われた。

目が覚めた。

「今は、何時だ?」

壁に立て掛けてある時計を見ようとする。

しかし体が動かない。必死に目の端で短針を探した。

「2時、、、?」

短針は2と3の間で止まっていた。

体は依然として動かない。

重いと言うより、力が入らない感じだ。

おかしい。何かがおかしい。

「これは金縛りだ。」

頭の中では分かっていたが、信じたくはなかった。

しかし恐怖心は不思議となかった。むしろ好奇心からか、この状況を楽しんでいる自分に驚いた。

しかし楽しかったのも束の間。一瞬にして恐怖心が勝った。

何かがこちらを見ている。

黒い何か。人らしき何か。背の高い何か。

「こっちにくるなよ、、、?」

フラグでしかなかった。

動いた。こちらに真っ直ぐ向かってくる。なぜこういう時に限って悪い妄想をしてしまうんだと、自分が憎らしかった。

「まずい!まずい!まずい!」

具体的に何がまずいのか分からなかったが、私の第六感が悲鳴をあげていた。

混乱した私が、最終的に出した答えが、、、

「キレよう」

緊急事態に陥ったせいで思考回路がおかしくなっていたのかもしれない。

何を思ったか、私はとりあえずキレた。

「なんで体動かないねん」

「だるすぎんだろ動けや〇ソが」

「意味わからんしなんなん」

口は動かないのに、実際に言っていると錯覚するほど心の中でブチ切れた。

右手がピクついた。

「いける!!!」

人生で故意的にキレなきゃいけないことなどあるだろうか。不器用ではあったがその案が報われ右手が壁を殴った。

目は覚めていたはずなのに、また目が覚めた。

気持ち悪い汗が全身から滲み出てくるのを感じた。恐怖から救ってくれた英雄的その右手には痛みがじんわりと残っていただけだった。

私は、深く息を吐き、安堵するとまた眠りに着いたのであった。

今だから分かることなのだが、きっとあれは夢だ。金縛りにあっている時、私はいつもの向きで枕もしっかり敷いて寝ていたからだ。

しかしやけにリアルで気味が悪かった。

丑三つ時。黒くて背の高い何か。動かない体。

これが、私が体験した人生初の金縛りである。

こんな体験はもう懲り懲りだと思った。

しかしこの後、私はまた金縛りにあうのであった。さらなる恐怖とともに。。。

少しでも興味が湧いたら次回も覗いて見て欲しい。

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