【創作エッセイ】アイドルになれたら⑫
※作中に登場する団体や固有名詞等は、現実とは一切関係ありません。全て「うゆ」の夢をもとに書かれたフィクションです。
やっと気づいた、本当の気持ち。
時間を見ると、23時が迫っていた。
うゆ「そろそろ帰る時間ですね」
ジヒョン「本当ですね。今日は一緒に過ごせてとても楽しかったです。ありがとうございました」
うゆ「こちらこそありがとうございました」
お礼を述べつつ、これでジヒョンと会えるのは最後だろうという事実に切なくなる。穏やかに微笑む彼の表情に胸が締め付けられる。
天罰が下りそうだけど、もっとジヒョンと一緒に居たい。離れたくない。そんな気持ちが毎秒強くなっていく。
切なくて、苦しくて、こみ上げてくる感情の波を堪えるのに必死だった。
うゆ「…」
言いたいことは山ほどあるのに、言葉が発せない。今声を出したら、確実に震えてしまうから。
沈黙にドギマギしてうつむいていると、ジヒョンに手を引かれ胸の中に抱き寄せられた。
ジヒョン「…泣いていいですよ」
うゆ「…!」
ジヒョンの温もりと優しさに触れ、塞き止めていた涙が溢れだした。
うゆ「…すごく、寂しいです。もっと、ジヒョンさんと、一緒に、いたかった、です」
たどたどしく、震える声で本心を口にする。今正直に言わないと、きっともう二度と伝えられないと思ったから。
ジヒョン「…嬉しいです。また僕だけ空回りしてないか不安だったので」
そう言って更に強く抱きしめてくれた。
ジヒョン「いつでも連絡してください。僕も連絡します、絶対に」
うゆ「…いつでもいいんですか?」
ジヒョン「はい。嬉しいときも、寂しいときも、イライラしてるときでも大丈夫です。うゆさんの全てを僕が受け止めます」
まるで告白のようなくすぐったいセリフも、何故だか今は信じたくなる。
ジヒョン「今度日本に行くので、そのときにまた会いましょう。お土産も持っていきます」
うゆ「本当ですか…楽しみにしてますね」
また会えるんだと思うと、嬉しくて顔がほころんでしまった。自分でも感じたことのない感情が、胸にじんわりと広がる。
ジヒョン「〔…本当に美しく笑いますね〕」
うゆ「えっ…」
ふいに放ったその言葉と、和やかに微笑むジヒョンが眩しい。
ジヒョン「次に会うときも、今みたいな綺麗な笑顔を見せてください」
うゆ「はい…!」
このとき、ようやく私は悟った。
この感情は、恋だと。
キャプション
「U-MELLOD」(ユーメロディ)
由来:「君(U)に向けて(-)音楽(MELLOD)を届ける」という意味を持つ5人組ボーイズグループ。
どんなコンセプトも消化するため、天才アイドル集団という異名を持つ。
ファンダム名は「U-HALMONY」(ユーハーモニー、通称ユハモニ)。
・ジュンホ:95年生まれ。長男。メインラッパー。
・シウ:98年生まれ。リードボーカル。
・ジョンソク:99年生まれ。リーダー。メインボーカル。
・ジヒョン:00年生まれ。メインダンサー。
・チャンミ:01年生まれ。サブラッパー、ビジュアル担当。愛称はローズ。
「WellBee」(ウェルビー)
由来:「音楽を通じて”自分らしい豊かな生き方”(=ウェルビーイング)を実現する」「全てをこなすオールラウンダー集団になる(doing WELL + BEcomE)」の意味が込められた5人組のガールズグループ。
現実に少しだけ幻想が混ざったような世界観を得意としており、ダイナミックなダンスと繊細かつ緩急の効いた歌声に定評がある。
ファンダム名は「WeBelieve」(ウィービリー)。
・レミ:99年生まれ。長女兼リーダー。ビジュアル担当。リードダンサー。
・うゆ:01年生まれ。WellBeeの音楽PD。リードボーカル。
・ルイ:02年生まれの01Line(早生まれ)。メインダンサー兼サブラッパー。
・カヤ:04年生まれの03Line(早生まれ)。メインラッパー。
・ヒヨ:04年生まれ。マンネ。メインボーカル。
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