見出し画像

電車はいつもイス取りゲーム

ピンポン。ッツツー、プシュー。

電車が駅につく時。なんだったら、乗った瞬間から「イス取りゲーム」は始まっている。

ドアが開くまでは、スマホを眺めて周囲を確認しないのに、開いた刹那、ザッと顔を上げて空席状況を把握する。

「あそこが空いてる」
「満漢全席っ。だが、あのスキマに入れる!」

席に座れた方が楽でいいため、一目散で空席に群がる。空いてなかったら、席の前に立ち、虎視眈々とその座を狙う。

ドア周辺の空間は論外!次々とやってくる刺客に押し殺されてしまう。満員電車の醍醐味なんか、味わいたくない!

1に空席、2に通路。死んでもごめん、ドア周辺。

電車内にいるのは、乗客とは程遠い存在。「ハンター」だ。

半歩でもスキマに足を入れ込ませるのに遅れることは、敗北を意味する。スキマを見つけても、スキを見せてはならない。

一瞬でその空席は埋まる。

席が埋まることは、今座った人の前が空くことでもある。その空いたスペースに体を入れなければ、終点まで人混みの中、立ちっぱなしになってしまう。

常に空いたスペースを見つけ、瞬時に反応しなければならない。反応だと遅すぎる。「反射」レベルで対応しなければ、東京の電車内で生きられない。

幼い頃にしたイス取りゲームでは、時にはケンカすることもあったかもしれないが、和気あいあいと楽しめたはずだ。

それが"東京"のイス取りゲームは、殺伐した雰囲気で覆われている。全員が空きを狙うハンターだからだ。

ピンポン。ッツツー、プシュー。

さあ、イス取りゲームの始まりだ。

よろしければ、サポートをお願いします。書籍など、経験が積めるものに使います。その経験を、記事にして共有します!!