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「経営幹部はリベラルアーツを学ぶべし」という勘違い

「経営幹部はリベラルアーツを学ぶべし」と言いますが、これは間違いです。正しくは「若者はリベラルアーツを学ぶべし」です。ここでは話をわかりやすくするために、リベラルアーツ=教養とします。歴史、哲学、美術、自然科学、文学など。よく経営幹部研修を企画するときに、リベラルアーツを学ぼうなどという話が持ち上がりますが、これは組織の自己満足です。50代のおじさんたちが会社に言われて教養をつけても遅い。変に感化されて、思いつきでジャストアイデアを出されても厄介です。権限があるのでたちが悪く、社員は迷惑でしょう。ただし、自ら教養をつけるのは大いに結構です。あくまで主体的に。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言います。これは鉄血宰相ビスマルクの言葉です。これは一見、経験よりも教科書を重視しているようで、実業的ではないと感じますが、それも誤解です。経験を軽視しているわけではありません。自分の経験には限界があるということ。一人では、あるエリア、環境での数十年の体験がせいぜいです。他者の知見、先人の知恵、数千年の歴史から学べることは果てしない。リベラルアーツの中の歴史を取り上げますが、変化するものと普遍的なものがあります。両方に学びがあり、大変参考になります。特に抽象度を上げると、ビジネスや生き方に応用できる。例えば日本史だと、栄華を極めた平家はなぜ滅びたのか? 織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の経営方針。 明治維新の力学。 太平洋戦争開戦の意思決定プロセス。などなど。話題も広がるし、興味深いです。

本来、教養をつけるには大学時代がベストです。好奇心・感受性が強いし、知力・体力旺盛。経験値が浅い分、思い込み・偏見が少なく、素直に幅広く吸収できます。欧米のエリートはハイスクールまでにインプットして、様々なディスカッションに活かします。50代からだと趣味領域直行になってしまう。やはり20代、遅くとも30代までには意識したいですね。そのためには、①本を読む、②現地に行く、③教養のある人と話をする。例えば、歴史書(歴史小説でもいい)を読む、②美術館に行く、③科学好きな人と一杯やる。特に③は刺激になります。身の回りにリベラルアーツをよく吸収している人がいたら、ぜひこちらからアプローチしてみましょう。きっと世界が広がりますよ。

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