短歌連作『裸体の春』

「過ごしやすい天気ですね」そうですね、あなたがいないともっと良いです

間違えてすこし根気を見せたときやっぱりやめておけばよかった

染み込んだ憂いの香りに騙されて愛してくれよと裸で迫る

「エモいって言葉で片付けないでくれ」片付けてない、散らかってるの

誤嚥した小さなイチゴのビーズたち君の唾液で美しく見えた

首にあるしこりが膨らむ夢を見てああ、また生き延びたのか、私

大胆な軌道に見惚れて立ち止まるサラリーマンの転倒と復帰

学舎を去るとき秘めたことなんて忘れて今も先輩ヅラする

花びらが地面で踏まれて汚れてるそれを見つめて浮かれましょう、ね

双眸に太陽光とこの街の景色が映れど貫く意思を


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