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自由律俳句

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#エッセイ

自由律俳句 004

詩は自分のことだからじわじわと羞恥

体が怠くて自分の介護をしている

無意味な言葉の羅列が意味を持つとき

布団に埋もれる体は肉のぬいぐるみ

本を尊く思うから読む習慣ができない

耳の横すぐ風の通り道

排水溝に花咲いてたらいいのにな

探しても金木犀がどこにもない

群れて駄弁るのが不快な年頃

洗われた食器を片すのも億劫

積まれた本に肘を当て執筆する

電車で立ってると何も守れない

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自由律俳句 003

溶けるとかじゃなく破壊されるような夏

アイスバーのこと舐めてたわごめん

死んだミミズか金属片か

道端のウンコも干からびた

よろめいて転けたらきっと火傷

汗ばんだTシャツ洗濯まで放置、いいのか

絡みつくような湿気密着する肌着

空く腹さすり夏の暑さに負けた心

表せぬ感情を無理やり言葉に編む朝

雲が飛んで跳ねて重なる

霧と共にライトアップされる小さな影

破るような爆音と共に命削る鋭

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自由律俳句 002

耳のかさぶた無限にできるから剥く

ながらポッドキャストほぼ聴いてない

さきいかを一日ふた袋食べる生活

ペットボトルがかいた汗ていねいに拭く

人混みの中で独りを感じた

思考のばけもの頭の中から体を飲み込む

アイスを取っておくと「いらないのか」の声

冷凍庫開けて降りる冷気が肌を撫でる

万年筆で書いた字インク溜まりが愛おしく

小説の中の小説はだれの作品か

苦し紛れにニヤついた

風呂

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自由律俳句 001

フライパン擦って絡みついた白身と殻

雨粒がレンズに激突して邪魔

メロンの果肉が脳裏でしゃくしゃく叫ぶ

無限に寝ても不安の渦

風が欲しかったのにカーテンを吸う窓

意識の狭間で煽ってくるアイデア

六月なのに真夏のような太陽の殺意

推しを舐めるように見る心臓が止まっても

お勧めしたら自分より熱心で焦る

家族を殴る夢で起きた

脳がやられたこの先どうする

クイックルの替えふわふわすぎで

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