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タスク管理において重要なのは、タスクの見積りよりリスクの見積り。

みなさん、タスク管理してますか?

個人であれチームであれ、家族であれ会社であれ、何かするべき仕事があれば、必ずタスク管理を考えるでしょう。

誰もが行うことです、場所やツールも様々。Trelloでやっている人もいるでしょうし、Github ProjectやJIRAで行っているチームもあるでしょう。TodoistやAsanaかもしれません。最近はNotionで行っている人や会社も増えてきました。昔ながらのホワイトボードと付箋での管理は、コロナ以降難しくなったでしょうか。

タスク管理には優先順位も大事です。「タスク管理 優先順位」と聞くとGTDなんかを思い浮かべる人もいるかも知れません。

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あれはとてもいいですよね。すぐできるものか、他の人に依頼するものか、インボックスに入れるのかいつかやるリストに入れるのか。とても便利なタスク管理の方針です。コストもかからないですしね。

ですが最近は、どこで・どのツールでやるかとか、GTDを採用するとか以前に、タスク管理をするにあたって基礎として重要なのは、思想じゃないかと考えるようになりました。

特に、どういうものを優先とするかという思想です。

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タスクとリスク

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タスク管理の思想としておすすめなのは、リスクについて考えることです。

リスクには例えば、下記のようなものがあります。

・今このタスクやることで、出来なくなるものはないか
・今このタスクをやらないことで、遅れるものがなにか
・今だれかに依頼することで、出来なくなる連携や仕事は無いか
・この仕事をやらないことで、チームのボトルネックが生じないか
・自分ではない誰もが着手できるところまで進めなければ、ずっとこのタスクが放置されてしまわないか
・完成までこだわってしまうことで、広い視野で物事を考える時間が削られすぎないか

そして見積もったリスクが多い順にこなしていくのです。

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リスクの多い順にこなす

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なぜリスクが小さい順ではなく大きい順にこなすのかというと、これは、後のタイミングになって取り返しのつかないような大きなリスクに直面し、チームやプロジェクトが崩壊するのを避けるため。

大きいリスクが潜むタスクは早く遂行し、学習することでリスクを下げていくのです。

コツは、今やることで何かが出来なくなることも、今やらないことで何かが遅れてしまうことも両方リスクに数えることです。

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失敗の共有

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リスクを見積り、その量が多いものを優先とするという思想は最近自分でやり始めたことで、結構いい感じに回ってきているため紹介しました。

しかし実はここに至るまでに失敗もあったため、そちらについてもシェアしようと思います。

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タスクの見積りは視野狭窄の崖

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よくあるのが、タスクの見積りによって優先順位を決めるやり方です。

「タスクの見積りによって優先順位を決める」というのは、例えばこういうやり方のことです。

「タスクDは結構かかりそうだから、今やってるタスクAが終わって余裕がありそうな1週間後にやろう。その間に、小さいタスクBとCを詰め込もう。」

どれだけ時間がかかるかという情報を基準にパズルのように優先順位を組み上げていくこの種の方法では、時間がかかるから余裕がある時に着手するとか、小さいタスクだから先にやる/後回しといった場当たり的なタスク管理になりがちです。

これは一見回っているように見えますが、その実、先にやったタスクが後にやったタスクによって意味を損なう可能性も、後回しにしたタスクが誰かに暇な時間を作ってしまう可能性も、取り返しのつかない時期にチームやプロジェクトが崩壊するようなリスクに直面する可能性も、すべて見落とされています。

タスクの見積りによって行うタスク管理は、視野狭窄のあまり、崖にいたとしても気づけないんです。

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効果xコストで見積るのは悪くないけど...

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次に試したのは、頭のいい人たちを見習うことでした。彼らがよく使っている印象なのが、効果xコストなどでタスクを評価する方法です。

この方法を使えば、タスクやアイデアは大きく4つに分類されます。

1. 重要度が高く緊急のもの
2. 重要度が高く緊急でないもの
3. 重要でないが緊急のもの
4. 重要でも緊急でもないもの

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(効果xコストの図 https://ecoslyme.com/framework-payoffmatrix/)

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(重要度x緊急度の図 https://www.jooto.com/contents/priority-matrix/)

これはとても便利な方法ですし、優先順位がハッキリ分かれるので、着手するかどうかがパッキリします。仕事がしやすくなること間違いありません。しかし、やや雑な意思決定だと捉えることもできます。

実際に使ってみると、アイデアの評価には向いていますが、タスク管理には向いていません。仕事していると、ふと物足りなさを感じます。まるで何かを見落としていて、それを見て見ぬ振りをしているような...。(そうじゃない人もいるかもしれません)

その正体は、大タスクと小タスクの優先順位が矛盾することと、機会費用を見落としていることです。

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大タスクと小タスクの優先順位が矛盾する

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マトリクスでのタスクの優先順位は通常、細かい粒度ではなく大きめの粒度で行われます。しかしここが相性の悪いところで、大タスクで付けた優先順位と小タスクの優先順位に矛盾が生まれることが頻発します。

これは、大タスクA〜Dと、小タスクAa〜Ddが存在するモデルを考えてみると分かります。

仮に優先順位がA>B>C>Dだとすると、マトリクスの考え方では、小タスクの優先順位はAa〜Ad>Ba〜Bd>Ca〜Cd>Da〜Ddとなり、これを順番にこなしていけばよいことになります。すごくシンプル。

しかし現実には、これとは違うことが起きます。

なんと、BaとDdが完了しないと、Aa〜Acを進めることができないのです。こうなると、A>B>C>Dという大きな優先順位は維持しつつも、直近の優先順位としてはBaとDdを一番にせざるを得ません。

これは表面上は解決していますが、付けたはずの優先順位は崩壊しています。思想が現実に敗北しているのです。

この状態では、タスク管理とそれをもとにした仕事にストレスがかかり続けます。「この優先順位は理想を表しているだけで、全然役に立たない」と。

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マトリクスの誤謬
人は機会費用に気づかない

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そしてもう一つマトリクスで優先順位を付けてタスク管理する悪い点が、機会費用を見落としがちになることです。

機会費用とは、Aを行ったりコストを払うことで獲得したり実施できなくなった別の方策Bによる効果のことで、

例えばタスクAによって100万円儲かったけれど、タスクBを行えば150万円儲かったという時、機会費用は50万円です。

さて、マトリクスで優先順位を付ける際よく起こるのは「たしかにそれをやれば圧倒的に高い効果を得られそうだけど、コストが大きいから今はやらない」というケースです。

タスク管理 (1)

(マトリクス評価でよく起こること)

これ、おかしくないですか?

上の表では、計算するとこのようになります。

1〜5位は、効果235、コスト215。
右上の❌は効果500、コスト250。

え、これ1〜5位全部やらずに、右上をやれば最大の効果を得られるんじゃ...?

相対的に大した効果の無いタスクにかかずらってしまい、右上の❌に挑戦しないことはリスクです。

もちろん、現実にはこの挑戦を選択するのは難しいことです。施策やタスクはやってみないと分からない部分も多いため、その実現を信じられず、ついコストが高いことに目がいって、却下されてしまいがち。

ですがこれは機会費用を見落とした状態で意思決定しているに過ぎません。しかもアジャイルな進行さえ出来れば、高いコストも早い段階で取り返しがつくのに...。

コストや緊急度が評価軸にあるマトリクスでは、優先順位に注目するあまり直近やれることとやるべきことを混同しやすい。機会費用が見落とされやすいのです。

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まとめ

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以上、タスク管理はリスクの見積りで行うのがおすすめという話でした。

まとめ
1. タスク管理はリスクを見積り、その量が多い順にこなそう
2. タスクの見積りで優先順位を付けるのは場当たり的で視野狭窄になりやすい
3. 効果xコストなどマトリクスは、アイデアの評価にはいいけどタスク管理には向かない
   - 大タスクと小タスクの優先順位が矛盾する
 - 機会費用に気づきづらい

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