ウェルビーイングな世界を実現する患者体験改革の最前線
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ウェルビーイングな世界を実現する患者体験改革の最前線

ユカイ工学

こんにちは、セールスチームの荒木です。

11月19日に開催されたJ-Startup Hourにて、治療用アプリを開発しているサスメド矢島氏をお迎えして合同セミナーを行いました。

「患者中心の医療」をテーマに地域包括ケアや情報共有が積極的になされている今、患者さんが主体性を持っていただくための取り組みが進んでいます。その中でもユカイ工学からはコミュニケーションロボットを、サスメド株式会社からは治療用アプリを開発。これまでの医療とは違うアプローチで患者さんを支援する仕組みを提供する視点から、新しい取り組みならではの課題や社会実装への期待などをお届けします。

こんな方におすすめのセミナーレポートです
・患者の体験を重視して、これまでにない医療への取り組みを行われている医療関係者
・医療/ヘルスケア業界に所属していて、自社サービスの協業パートナーを探してる方
・事業会社の新規事業担当者/新しい取り組みの社会実装方法に課題を感じている方

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ゲスト紹介

サスメド株式会社
認知行動療法に基づいた不眠症治療用スマートフォンアプリを開発。 データ改ざんが困難であるブロックチェーン技術を医療分野において利用することにより、従来の方法よりもセキュリティレベルを向上させると同時に、費用対効果が高く、かつ正確性が担保されたデータ管理を実現する臨床開発支援システムを開発。 「Sustainable Medicine=持続可能な医療」をビジョンに掲げる。

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矢島 祐介 氏
大和証券SMBC入社後、M&Aアドバイザリー及びストラクチャードファイナンス業務に従事。その後、エムスリーにて、ヘルスケア領域におけるインターネットを活用したマーケティング変革・営業生産性向上等の課題解決及び新規事業開発に取り組む。日系プライベートエクイティファンドを経て現職。サスメド株式会社では事業開発を担当。


スピーカー/モデレータ

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ユカイ工学株式会社 CEO 青木 俊介
東京大学在学中にチームラボを設立、CTOに就任。その後、ピクシブのCTOを務めたのち、ロボティクスベンチャー「ユカイ工学」を設立。「ロボティクスで、世界をユカイに。」というビジョンのもと、家庭向けロボット製品を数多く手がける。
ユカイ工学株式会社 COO 鈴木 裕一郎
外資系IT企業、コンサルティング会社を経て、SaaS型サービスを提供するスタートアップ企業に転じ、執行役員・COOとして成熟市場の法人営業、チームマネジメントを担当。根っからのBOCCOユーザー。


サスメド株式会社、ユカイ工学の現在の取り組み

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矢島氏
サスメドでは「治療用アプリ」の開発を行っています。

治療用アプリでは、医師に処方してもらう医療用薬品と同じように、スマートフォンアプリを用いて疾患の治療支援を行います。日本の中では2014年11月にプログラム医療機機器として認められ、Digital Therapeutics(DTx)の1つとして少しづつ浸透してきている概念です。

サスメドでは、まず不眠症の治療用アプリから開発をはじめ、慢性腎臓病などの慢性疾患の治療、妊産婦のうつ診断等に対してアカデミアとの共同開発などのチャレンジをしています。アメリカの不眠症治療では、睡眠薬での治療の前に非薬物療法である認知行動療法が行われる形となっていますが日本では医療従事者の時間的制限により実施が限定的な状況です。

そこで、既にエビデンスのある認知行動療法※をアプリ化することで課題解決を目指しています。よりよい治療を患者さんに届けるという思いで、システム開発、臨床開発を進めています。

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※個人の認知や行動に働きかけることで病態を改善する治療法

青木
ユカイ工学では家庭の中で、生活を楽しくするような、人によりそうロボットを開発しています。また企業のシステムと連携できるAPIを用意して、病院のイントラネットと接続できるような使い方ができるようになりました。

鈴木
最近の事例として、自宅にいる患者さんにカレンダー型服薬支援デバイスとの連携や病院内での離床センサ・ナースコールシステムとの連携が進んでいます。ご自宅に一人で暮らしている高齢の患者さんから「ロボットが居て薬の時間を教えてくれて、飲んだら反応してくれるのは嬉しい」という声や、医療現場から「病院の個室で医師との面会をロボットが事前に発話することで、患者さんが外出してしまうことが防ぎ、現場の負担を減らすことができるようになった」と声が届いています。

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ケアバリューチェーンの着目ポイント

鈴木
ケアバリューチェーンとして、健康維持・増進、予防、診断、治療、モニタリング、介護のステップがありますが、どのステップのどんな課題に着目していますか?

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青木
コミュニケーションロボットは物理的な存在で、毎日声をかけてくれるところが強みと考えています。その存在によって患者さんの行動変容を促しやすく、疾病の予防や重症化を防ぐこと、最終的には医療費の低減に貢献できるのではと注目しています。

矢島氏
治療にフォーカスしています。新しい取り組みでもあるので、まずは治したいというモチベーションが高い疾患を対象としています。患者さんもモチベーション高くアプリを使い続けていただけますし、医療現場からの課題解決への期待も大きいと感じています。


課題解決に向けたパートナーとの協業

青木 
製薬企業や医療機器メーカーとの協業が具体的になってきています。またこれからは行政との連携で重症化予防での活用を進めています。

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矢島氏
研究開発のフェーズなのでアカデミア(大学、大学病院、研究所)との共同研究が多いです。また製薬企業も少しづつ治療用アプリに注目し始めており、接点が増えてきています。

鈴木
治療用アプリは、しかるべきプロセスを経ればどんな企業でも作れるのでしょうか?

矢島氏
システム開発のあとに、臨床開発=治験が必要なので、治験が行える組織的能力が必要になります。製薬企業はその点では相性も良く、興味を持ってくださっているように思います。また医療機器でもあるので、製造販売業としての規制に対応する体制などが求められておりもともとその体制がある企業と連携がしやすいと考えています。

青木
アカデミアとの共同研究の役割分担はどのようになっていますか?

矢島氏
医療現場での本当の課題がなにか、その課題に対して薬以外にどんなことをしているのかが重要と考えており、この部分はアカデミアの先生方の知見を頂いています。そこをいかにデジタル化や臨床開発していくかはサスメド側の領域です。
逆にユカイ側で重視されているポイントや、連携のうまくいくパターンはなにがありますか?

青木
ユカイの場合は社内に医療従事者がいないので、パートナー企業からユーザーニーズを教えていただきながら、ロボットをこんな使い方をしたら良いのではと一緒に考えていけるパターンが多いです。また実際に使う現場を持っている自治体、企業であれば非常にマッチしやすいと思います。

矢島氏
かなり広くパートナリングできそうですね。

鈴木
募集中です!


新しい仕組みを導入するための課題や気をつけていること

矢島氏
治験の実施を前提とすると、アイデア出しからシステム化、実際に患者さんに使ってもらって成果がでるサイクルを実行するまでの時間がかかってしまうことが課題です。そのため、治療効果に関するエビデンスが既に存在していたり、医師が今まで治療したりしている方法の中で、患者さんに届けられていないものを重視して選択するようにしています。

鈴木
現場は非常に忙しいという前提のもと、始めのステップとして、今の仕事の邪魔にならないことを理解いただくことを重要視しています。いきなり業務のクリティカルな部分に取り組むのではなく、まずはロボットがそばにいることに慣れてもらうことを重視して進めています。ロボットが仕事場に居ていいと体感していただければ、次のフェーズのアイデア出しや実装を積極的に参加いただけるようになるようになるからです。

青木
新しいものにチャレンジしようという現場からまず始めていますね。なにかロボットを使えるじゃないか、と思っている人たちとテストしています。

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新しい仕組みの費用負担をどうするか

矢島氏
治療用アプリは保険診療の枠組みの中で利用されることを想定しています。

青木
ロボットは医療機器ではないので、どうしても個人負担が発生してしまいます。そこで、自治体や連携している企業と協業して、関係者のメリットを打ち出すことで、個人負担を軽減していくことを考えています。

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システム連携の考え方、注意すべき点

青木
センシティブなところと直接繋がないことに注意しています。繋ごうとするとかなりのセキュリティやいろんな関係者を巻き込む必要が出てきて、結果として実証の障壁になってしまうので。

矢島氏
他社の事例では治療用アプリとウェアラブルデバイスやVRとの連携が行われています。
とはいえ、まだエビデンスがなかなか揃っていなかったり、ウェアラブルデバイスは高額のため、機器連携前提の仕組みとしてしまうとお金を払える人にしか届けられないソリューションになってしまいます。
広く届けることを優先すると、デバイスになるべく依存しないほうがいろんなひとの課題解決になると考えています。

青木
運動療法の場合でもデバイス連携は行わないのですか?

矢島氏
臨床試験上ではデバイス連携を行って計測することはありますが、治療の際に必須とするかはケースバイケースです。


編集後記:セミナーを聞いて

サスメドはスマホアプリというソフトウェア、ユカイ工学はロボットというハードウェアを武器に患者さんによりよい治療・生活を届けるという思いのもと、チャレンジをしていることが伝わってきました。

また、医療業界のプロフェッショナルとのパートナリングも重要であることが両者から出ました。現場を知る企業や研究者と連携することで、課題解決と患者さんのウェルビーイングにつながっていく。今後両者の活動が進むことで、より患者さんと治療用アプリやロボットが身近になる世界が近づくなと感じています。

ロボティクス活用や事例、ご相談などございましたらお気軽にお問い合わせください。

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広報担当のくぅ坊だよ!
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