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『親という傷』と[カウンセラー]と【プロ奢】

一昨日の日記の日付を間違えたせいで一日ずれてしまったが昨日の日記をサボる事で賢くリカバー出来た。

「親という傷」を読んだ。これは幼少期に傷ついた経験のあるアメリカ出身のカウンセラーである筆者が同じ境遇の患者を診察した経験を交えて話す一冊だ。

カウンセラーは色々な質問をし患者の心に波を立たせ、質問に答えようが拒否しようが立った波の形を見てどこに問題点があるかを判断しなくてはならない。だから様々な角度から質問して観察しなくてはならないのだ。


「子供の頃1番欲しかったモノは何ですか?」

と、こんな質問がある。そもそも前提として、人間を形作るのは過去であり、人格形成において幼少期が大きな割合を占める。まだ柔らかい心の蛹の時期に出来た傷が大人になってもずっとずっと残ってしまうのだ。無意識にそれを隠してしまうのだ、遠ざけようとしてしまうのだが古傷は自分の中にあるモノなのでジクジクと蝕み心を壊す大きな要因となる。時折感じる言語化出来ない不安を抱えられずに耐えかねてカウンセラーに相談するんだ。

じゃあなぜ子供の時に欲しかったモノを聞くんだろうか。例で見てみよう。幼い頃親にゲーム禁止と言われた人は社会人になりゲームの虫になり、男女交際を禁止された人は親の目の届かない場所で不埒な交際の連続すると言う事例が昨今のインターネットで溢れている。

そんな簡単な話をしたいわけでは無い?OK、ではギアを上げて行くぞっ。

今まではしっかり口に出しルール化した場合を挙げていたがこれが無意識レベルの話になってくるとどうだろうか。両親が常に喧嘩していた家庭では子供が二人の橋渡しとなる。つまり役割が与えられる訳で子供はそれを必死にこなそうと自分の我儘を封じ、常に良い子でいようと自分を抑圧する。大人になりパートナーが出来てしっかり自分の意見が言える環境が整うと抑圧された反動で感情的になり相手を支配しようと躍起になって喧嘩してしまう、そうすると子供の頃あんなに嫌だった喧嘩する両親にそっくりになってしまうと言った訳だ。

他の例を見てみよう、逆に親に半ば放置されて育った彼や彼女らはどうだろうか。はたから見れば自由気ままで何不自由ないように見える。しかし成長すると自傷のように相手への試し行動するようになり酷い場合は人間関係のリセットを頻繁に行うようになる。気持ちの奥深くで私は誰からも愛されていないと感じているので相手が試しに耐えそれでも自分を愛してくれるか不安で仕方ないのだ。本当に最悪の場合は結婚し子供が出来ても不倫をしてしまったりして外部に愛を求めてしまうのだ。当然愛が枯渇しているので分け与える愛情もフィルターを通して子供を怒る事も出来ず、ただほったらかしで外を彷徨いてしまう大人が出来上がってしまう。そうすると同様に同じ遺伝子の親が誕生してしまう。

ゲームや漫画等の娯楽であれば親元を離れ堕落した生活を送るだけで他人に迷惑を掛ける事は無いが、人間関係に支障が出ればこうも行かない。子供の頃一番欲しかった物の空白を埋めるべく生きていく他ないのだ。だからこの質問で根本にある傷を抉り出し、傷を広げながら傷と向き合っていくのが一番の解決法だと思う。

私はこの本を読みながらとある一人の人間を思い浮かべていた。プロ奢ラレヤ―だ。彼は沢山の人に奢られながら世間に中指立てつつも無数の相談を受ける事が出来る稀有な人間で、そんな人間の性的指向が傷を抉り返すというのだ。全く趣味の悪い、私と同じじゃないか。でだ、彼の基本的な主張は今現在何かに執着して自己顕示する人間は過去に得られなかったそれに取り憑かれているのだと言う。実際SNSではそんな妖怪達が闊歩しあらゆる場所でブランド品を身に着け、露出を強調させ、札束の写真をアップし、経験人数とテクニックを拡散している。そうして火種が起こって経済が回るのだ。だからTwitterって好きなんだよな。

そんなプロ奢は趣味で他人の傷を穿り返している、それも何千人と関わってきた経験則で相手の根っこを掴むのだ。


「〇〇する(しない)のは何故だろう」

これもカウンセラーがよくする質問だ。何故だろうと言う質問はいささか酷だと思う、精神がまいった患者に何故を答えさせるのはなかなか簡単な事では無い、それどころか怒らせてしまう可能性がある。一方プロ奢はガンガンその質問をする、しかも割と決め打ちで質問しているように思える。ほとんど当たりなのだが私が上手いと思ったのが外れていても自分で訂正させそこから本意を読み取り何を隠しているかを感じ取るのだ。

相談者は少なからず好意を持っているプロ奢と話をしたくて食事を奢っている、一方カウンセラーと患者の関係性では患者側が簡単な答えを求め焦っているので自己開示出来ず上手い事行かない。患者はこれ以上話したくないと言えばそれまでで感セラーの仕事は終わり、次の患者に行くかじっと待つしかない。プロ奢の場合相手の返答を待つ事も無言のまま過ごす事もあるだろうが基本的にプロ奢はNGな話題が無い人間だという事が知られているので話しやすい。彼はプロの奢ラレヤ―だがプロのカウンセラーでは無い、その立ち位置を活かした立ち回りが絶妙で羨ましい。私ももっと人の傷に触れて笑いたい。

いいね。プロ奢。



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