その夜にこそ在れ |詩
夜の団地 に ぬえ を 呼ぶ
うす暗闇 に おおごえ はりあげ
夜の団地 に ぬえを 呼ぶ
いちにいさん と 明かりが ともる
となりの トトロ が
なんぼの もんじゃい
涙が とまらぬ
花みづ ぼたぼた
夜の団地に ぬえ を 呼べ
わたしを ふった あの男
あいつの家の あいつ の 部屋に
ぬえに またがり 窓から 推し入る
殺してやるのは
わたしじゃなくて
わたしを ふった
あの男
暴力こそは 健気な証拠
あいつの首に カミソリ すべらせ
動脈 静脈 推し切って
赤い血
青い血
飛び散る
その後
夜
夜
夜
うす暗闇に
わたしは ひとり
夜の公園
わたしは ひとり
おほきく
息を吸い
吐け
夜の団地に ぬえを呼ぶ
わたしの 未練 の
喉笛 かぎ裂け
くらやみの膜ぞ
裂け いま、ここだ
泣く この わたし の
手首を 掴まん。
最終改訂日:令和4年 12月28日
改訂稿公開日:令和4年 12月28日
初稿公開日:令和4年 8月11日
©︎かうかう