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初めて使った驚きも、愛用者の愛も、生の声として届く ── 「カンタン酢」振り返り座談会(株式会社Mizkan 山田香澄さん)

こんにちは!UUUM noteです。今回はマーケティング施策についての振り返り座談会です。クライアント企業様、株式会社Mizkan(ミツカン)の山田香澄さんにご参加いただき、UUUMマーケ担当、ディレクション担当と一緒に「カンタン酢」のお取り組みを中心に振り返っていただきました。


参加者:山田 香澄さん(株式会社Mizkan マーケティング企画1部プロモーション担当・写真右)、 UUUMマーケ 吉田(写真手前)、UUUMディレクション 柏木 (写真左)

料理を面倒と思っている方々に向けた切り口


──今回Mizkanさんの「カンタン酢」のプロモーション施策、継続的なお取組みが実現したそうですが内容を教えてください

(UUUMマーケ 吉田)
はい、昨年9月から今年1月まで継続的にお取組みをさせていただきました。9月の「カンタン酢」は、従来から切り口が変わって、あまり手間をかけずにお料理したい方々に向けて打ち出したいということでした。

── それまではお料理に手間をかける方々へ向けた施策だったということでしょうか?

(Mizkan 山田さん)
「カンタン酢」の切り口は2022年春夏まではライフステージ的には「子育て世帯の主婦の方」に向けたものだったんです。打ち出していたメニューは「ピクルス」と「チキンのカンタン酢テーキ」で、通常の食酢の代わりに手合わせせずに「カンタン酢」一本でできるというコミュニケーションでした。
そこから間口の拡大を狙って、22年秋冬から少し切り口を変えたんです。
料理を面倒と思っている方々に「カンタン」と思っていただけるように、「てりうまチキン」の名前で、鶏肉をフライパンで焼いて「カンタン酢」を目分量で入れて煮詰めるだけで照り焼き味になるというメニューになりました。ターゲット層としては大きく変わったわけではないですが、切り口を少し変えたというのが22年秋冬の内容になっています。

(UUUM マーケ 吉田)
そういった切り口の変化に伴って、話題感やトレンド感の醸成もしていきたいというご要望をいただいたんですよね。

(Mizkan 山田さん)
そうですね、話題化させたいと考えていたので、若年層、子育て世代含め20代から40代の方々にビビっと来る方のアサインをお願いしました。

(UUUM マーケ 吉田)
そこでチャンネル規模が大きいクリエイターをメインにしつつ、子育て主婦層と若年層へのリーチという二軸でクリエイターを提案させていただきました。結果、メインとなったのは「はじめしゃちょー」さんで、YouTubeショート、TikTok、Twitter広告配信と複合的に露出する形で設計させていただきました。

はじめさんのタイアップ動画(ショート)がこちらです。お酢溜まり本舗のカンタンです!という最強フレーズからスタートです


閾値を超えるチャレンジがしたい


(Mizkan 山田さん)
二軸のうちのひとつがまず、子育て中などの方が楽に手間なく調理できるという切り口。そして、もうひとつが従来はなかったタイプの若年層をターゲットにしたいというチャレンジでした。
「『カンタン酢』は目分量で作れる調味料なんだ!」「こんなにカンタンなんだ!」というのを伝えたいというのがポイントでした。
その意味で、従来実施したことがなかったタイプのクリエイターさんにお願いすることになったんです。

──「THE お料理」とは少し異なる方向性の方々ですね

(Mizkan 山田さん)
そうですそうです!今回のUUUMさんには「カンタン酢」と「味ぽん」で「閾値を超えるチャレンジがしたい」というオーダーをさせていただきまして(笑)

── 閾値を超える!パワーワードが出ました

(Mizkan 山田さん)
閾値を超えるためには、今まで通りやってたら超えられないなと!

(UUUM マーケ 吉田)
ご要望に対応するべく、日頃から食のコンテンツを公開しているクリエイターもいれば、マルチ系クリエイターもと混在する形で組ませていただいたんです。

(Mizkan 山田さん)
例えば、りょうさん(東海オンエア)などは弊社としてはチャレンジと捉えていました。若年層に強く、かつ、日頃からお料理系コンテンツをやってきていないチャンネルであって、さらに@小豆さんとのコラボで、女性の視聴者さんも期待できるのではという提案をいただいたんです。

── 高いハードル設定は、UUUMにご期待をいただけたという意味でありがたく感じますね

(UUUM DC 柏木)
嬉しいご依頼ですよね!

(Mizkan 山田さん)
Mizkanではない第三者のインフルエンサーさんから発信いただくことによって、生活者の方々の納得度を高めたいと考えていたんです。「推し」の方からの発信が「この人が言ってるから、じゃあ買ってみよう」というマインドにつながりやすくなっているのでは、という仮説を立てていました。そういった施策にはUUUMさんがいいんじゃないかと。
それに、以前は長尺のタイアップ動画だけでの実施だったんですが、ショート動画やTikTokへの転用、「味ぽん」ではさらに別の施策も…と幅広い提案をいただけて、そこもUUUMさんに期待していたことでした。

(UUUM マーケ 吉田)
山田さんも他の皆さんも、僕が面白いと思った企画の提案を堅苦しくない感じで興味を持って受け入れてくださって、嬉しかったです。

──伸び伸びやらせていただけたと。ありがたいですね!

(UUUM DC 柏木)
すごく楽しく考えてましたよね。

(Mizkan 山田さん)
こちらとしても嬉しいです(笑)

動きにくかったセグメントが動いた


──伸び伸びやらせていただいた、肝心の結果について評価はいかがでしたか?

(Mizkan 山田さん)
2022年9月・10月の「カンタン酢」シリーズ品の売上金額が伸長しました。他の施策も含めたトータルの結果にはなりますが、見せ方を変えたことによって売上がついてきたと捉えています。また、今回発見だったのが、吉田さんからいただいた「丼ぶりでやりましょう」という提案です。

(UUUM DC 柏木)
すごく嬉しいですね!

── 褒めていただきすぎて書きづらいぐらいですが(笑)吉田君は丼ぶりに自信はありました?

(UUUM マーケ 吉田)
はい!自信がありました。一番の理由としてプレゼンさせていただいたのは、今回のテーマ「カンタンに作れる」に沿って「簡便性」でした。ひとつの食器で収まってくれることで、洗い物も減りますし、より簡便性が伝わるのではないかと。それから、美味しそうに見えたり、照りがきれいに見えたりという丼ぶりならではのシズル感です。それにアレンジ性もあるので広がりも期待できます。
なので、思いついた瞬間にこれだ!と自信もってご提案させていただいたんですけど、山田さんに「いやいやちょっと…」のリアクションをいただいたんです(笑)

(Mizkan 山田さん)
最初はそうでしたよね(笑)「いやいやー…てりうまチキンで推したいんですよ」と。でも丼ぶり案も捨てきれなかったんです。
結果、はじめしゃちょーさんなどは、主菜は「てりうまチキン」で見せつつ、どんぶりメニューも見せていただいたんです。その結果「あ、丼で食べるとおいしそう」とか「これ簡単だね」というコメントがついたんです。より簡単さが伝わったんだと思います。

売上データで男性が伸びたというのも出ていまして、なかなか動きにくかったセグメントが動いたのは、そういった施策の積み重ねからではないかと考えています。

キャスティングチームとの連携で ながの社長さん でもタイアップ実施。丼ぶりの切り口で見せてもらいました。コメント欄も盛り上がっています


「お酢溜まり本舗のカンタンです」


(Mizkan 山田さん)

もうひとつ、UUUMさんと取り組んですごいなと思ったのが、はじめしゃちょーさんの動画冒頭の言葉「お酢溜まり本舗のカンタンです」ですね(笑)そこに水溜りボンドのカンタさんが突っ込んでくれるという事象が発生しまして。

気のせいか?と反応してしまったカンタさん(笑)

(Mizkan 山田さん)
この偶然の流れは絶対活かしましょう!と提案をいただいていて、そのきっかけで水溜りボンドさんのチャンネルでも、11月にタイアップを実施するに至ったんです。これは発見だなと私の中では思っていました。


── 予定通りではなく、状況を読んで即座にご提案したということですよね?

(UUUM マーケ 吉田)
今回、長期的なお取り組みでしたので、9月10月はある程度固めた状態で進めて、11月以降は状況を見て考えていきましょうという進め方でした。その中で、はじめさんからあのワードが出てきたので「水溜りボンドぜひいきましょう、鮮度も大切ですからすぐやりましょう」とご提案しました。

── そしてMizkanさんも本当に柔軟な対応をしていただけたと

(UUUM DC 柏木)
はじめさんのあのワードは想定外でしたけどね(笑)

(Mizkan 山田さん)
想定外でした!柏木さんから「こういった形で出てきまして…いいですか?」ときたんですが、社内にどう説明しようかと(笑)タイアップでのクリエイターさん同士の自由な交流というのをOKしたことはなかったですし、そもそもこれがどう面白いのかというのをうまく説明できなくて…「水溜りボンドのカンタさんという方がいまして…」「そ、そうなんだ…」という感じでした。
結果、視聴者さんから「ん?お酢溜まり?」「カンタさん?」みたいな反応が生まれて盛り上がったし、カンタさんからのツッコミも生まれたんです。

(UUUM DC 柏木)
ディレクションとしては当初、冷汗の状況でしたが、結果、いい方向に行ってよかったです。

── いち視聴者として見ていてはじめさん天才(笑)と思いました

(Mizkan 山田さん)
そうですね、天才だなと思います。でも最初メールを読んだときはちょっと考え込みました(笑)

11月に「水溜りボンド」のチャンネルで実施されたタイアップショート動画がこちらです


クリエイターのいつもの風景に寄り添って


── さて、ディレクションチームの冷や汗の話が出てきたところで、進行の側面での振り返りも聞かせてください

(UUUM DC 柏木)
実施クリエイターが固まると、DC(ディレクションチーム)が引き継いで、撮影・編集の進行を私たちがチェックして、クライアント様の監修との橋渡しをしていきます。
その中で必ず守ってほしい部分、見せ方に注意するべき部分というのはあって、そういった部分をクリエイターさんたちに伝えながら、進行していくんです。
ところで。今回のご紹介メニュー「てりうまチキン」が、本当に本当に!カンタンでめちゃめちゃおいしいんですよ。

(Mizkan 山田さん)
「カンタン酢」は、フライパンに入れて加熱すると、タレなどは一切使わないのに照り焼きっぽいかたちになって「え、お酢なのに?」となるんです。

(UUUM DC 柏木)
本当にカンタンで。それをクリエイターさんに説明します。そうすると「めっちゃカンタンにできました!」と感想の電話をもらったこともありますが、その感想はぜひ動画で見せてほしいんですと(笑)
山田さんには、クリエイターならではの自然な動画が一番説得力あるということをご理解いただけているので、表現へ細かく指定されるのではなく、各クリエイターのニュアンスにできる限り寄り添っていただけました。だからこそ、エンゲージメントの高い動画がたくさん出せたと思っています。


── UUUMが提唱する「コンテクストドリブンマーケティング」へのご理解を深めていただけるのは本当にありがたいことですね

(Mizkan 山田さん)
とはいえ、当初の頃は、弊社も厳しいことをお伝えしたこともあるんです。

(UUUM DC 柏木)
そうですね、最初はテーブルマナー的な部分で修正のご要望をいただくことはありましたね。でも継続的にご一緒させていただく中で「これが逆にいいんだ」と捉えていただくようになって、自由度が広がっていったんです。

(Mizkan 山田さん)
弊社内での会話が「日頃から見ている視聴者さんは、そのトンマナにご理解のある方々なのでは」という方向になっていきました。クリエイターさんにせっかくお願いするならば、そのクリエイターさんのいつもの風景に弊社から何かを言う必要はないんじゃないかとなったんです。


「本当に『カンタン酢』だけでできるんだ」というコメント


── 視聴者さんの反応について全体的にどうでしたか?

(UUUM マーケ 吉田)
「本当に『カンタン酢』だけでできるんだ」「こうなるんだ」というコメントがたくさん来たのがすごく嬉しいことでした。
クリエイティブに寄せすぎると、商品への反応がまったく寄せられないということも起きかねません。逆に商品にフォーカスを当てすぎるとクリエイティブが生きずに再生数につながらないことも。そこのバランスが難しいところだと思っています。
今回はそもそもの「カンタンにできる」というメッセージがすごく良かったと思っているんですが、クリエイティブの面白さだけでなく、料理やレシピに関するコメントをたくさんいただけたのは本当に良かったなと思っています。

(Mizkan 山田さん)
「カンタン酢」の名前は聞いたことはあってもどんな物なのかわからなかったり、「CMでも照り焼きができるってやってるけど演出でしょ?メーカーが言ってるだけでしょ?」という方々は多かったんだと思います。
クリエイターさんが実際に作るところを見せてくれて、視聴者さんから「塩とか醤油とか足してるんでしょ?と思ってたけど本当に入れてないんだ」というコメントもたくさんいただいて、メーカーとして伝えきれなかったところをちゃんと伝えてもらえたと捉えています。

── お話を聞いていて、作ってみようかなと思いました

(UUUM DC 柏木)
作ってみてください、感動しますから!クリエイター側からもかなり感想がきました。最初はみんな半信半疑なんです。撮影前のオリエンで吉田と私から「『カンタン酢』以外何も入れません」と説明しても、構成案が出て来ると「お砂糖」と書かれていたりして、いやいやだからお砂糖入れないんですと(笑)結果、撮影で作って「『カンタン酢』だけで作ったら本当においしくできました!」と素直におどろいているのが伝わりますね。

(Mizkan 山田さん)
@小豆さんの動画での反応が、とても生活者っぽいと感じました。多く入れようとしたら「えっ?」みたいな。すごく素というか、生っぽい反応ですよね。

東海オンエア・りょうさんの個人チャンネルで公開した、@小豆さんとのコラボによるタイアップ動画。「カンタン酢」を気にせず買ってたあーずーさん、てりうまチキンを作りながら本当に目分量でいいの?と素で驚いています


──消費者の方々の反応としてはどう捉えられていますか?

(Mizkan 山田さん)
先ほども少し触れましたが、9月・10月の「カンタン酢」シリーズ品の売り上げが前年と比較して伸長していた事実は、消費者の動きとして一番大きかったと思っています。
そして、従来なかなか上がらなかった男性や単身層に変化があったところが「カンタン酢」においては印象的かつ、効果を実感できた部分と考えています。
それから、今回初めて、概要欄にECサイトのリンクを記載してもらいまして、動画からのECサイト訪問数がすごく増えたんです。「味ぽん」の方では動画視聴から購買までつながったという事例も出て、弊社としてはこの点も発見でした。


初めて使った驚きも、愛用者の愛も、生の声として届く


(Mizkan 山田さん)

今回、インフルエンサーさんと一緒にやっていくのであれば、柔軟性がすごく大事だと改めて思っているところです。その点、社内調整がうまく回ったのもよかったと思います。
また今回並行して、もともと「カンタン酢」を愛してくれているクリエイターさんたちもアサインしていただいたんです。そういった愛用者クリエイターさんたちの熱い思いが生活者にも伝わったことも、売り上げにつながった要因のひとつだと考えています。

「カンタン酢」のもともとの愛用者としてキャスティングチーム経由で実施した あいりさんの動画がこちら。10年以上前から愛用しているという「大ベテラン」!


(Mizkan 山田さん)
初めて「カンタン酢」を使ったクリエイターさんの「本当に『カンタン酢』だけ?」という驚きも生の反応ですし、もともと愛用してくれているクリエイターさんの愛も生なんですよね、だから届く。
そういう生の声をちゃんと届られたというのが、今回のお取り組みの強みになったと考えています。


── 山田さん、貴重なお話をありがとうございました!マーケ吉田くん、DC柏木さんの商品への愛が実を結んでよかったです!今後もさらにすてきなお取り組みが生まれるのを楽しみにしています!

「味ぽん」「カンタン酢」は(株)Mizkan Holdingsの登録商標または商標です。

今回も読んでいただきありがとうございました。そしていつものお願いです。フォロースキ(ハート)をぜひー!




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