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プロダクトを押し付けるんじゃなく、楽しんでもらいたいんです──「ソニックフロンティア」振り返り対談(セガ 須藤淳仁さん)

こんにちは!UUUM noteです。今回はコンテクストドリブンなお取り組みについてのクライアント企業様との対談です。株式会社セガ 須藤 淳仁さん「ソニックフロンティア」のインフルエンサー施策の背景や、UUUMに期待いただいていることなど、UUUM マーケ黒川と先方オフィスへお邪魔してじっくり伺ってきました。

写真左: 須藤 淳仁さん(株式会社セガ  ゲームコンテンツ&サービス事業本部 マーケティング本部 コミュニケーション推進部 部長 / 株式会社ウェーブマスター 取締役)写真右: UUUM 黒川 真吾(マーケティングパートナーユニット プランニング第2グループ グループリーダー)

率直な対話からインフルエンサーマーケティングへの理解を深められた


── 今回はお取り組みの振り返りをnote上でさせていただこうという試みをご快諾くださってありがとうございます!まず、改めて今回の「ソニックフロンティア」のお取り組みの前提となる背景などから伺わせてください

(セガ 須藤さん)
モバイルタイトルなら、開発運営サイドで常にゲーム内施策を仕掛けたり、マーケティング・プロモーションサイドでも新規ユーザー獲得の施策を毎月やっているようなイメージです。一方で、コンシューマータイトルは開発期間も長く、ナンバリングタイトルともなると1年とか2年に1本。例えば「ソニック」とか「龍が如く」といったタイトルはマーケティングは発売前後だけ。1年か2年に1回しかやらなかったんです。

(UUUM 黒川)
仰る通り、かつてのお取り組みには単発の印象があって、これは須藤さんにお話しさせていただいたこともありますが、我々UUUMとしても、せっかくであれば継続的でよりエンゲージメントを高める施策をご提案していきたいという、課題感を持っていました。

(セガ 須藤さん)
今、そのコンシューマーゲームも、売り切りではなくアップデートをしていくGaaS(Games-as-a-service)モデル化の流れがあり、大きくプロモーションが変わってきています。かつては発売前後のマーケティング施策以降はSNSも更新しなかったし、ファンに対してのアプローチができてなかったんですが、GaaSモデルに対応するために、IPにしっかりとファンコミュニティを形成していこうという方針を打ち出しました。
それで2年前、コミュニティマネジメント、インフルエンサーリレーション、デジタルプロモーションをマーケ部から切り出して、現在私が部長を務める「コミュニケーション推進部」を立ち上げたんです。そして、インフルエンサーマーケティングをやっていく上ではトップランカーであるUUUMさんと改めてコミュニケーションしようと動いたのがきっかけのひとつだったと思います。

(UUUM 黒川)
そう言っていただくとうれしいです。以前にも他のタイトルでお取り組みはさせていただいたんですが、単発という形になったんですよね。

(セガ 須藤さん)
黒川さんたちとお話しして「いやいやそれはもったいないですよ」と言われましたね(笑)。やっぱりクリエイターさんは演者さんというだけでなく、メディアでもあるからと。長く取り組んでいくにはどうしたらいいのかを踏まえながら、新たにクリエイターさんとのお付き合いが始まったという感じです。
セガがファンコミュニティに力を入れたタイミングで、UUUMさんと率直な対話ができたことで、インフルエンサーマーケティングへの理解を深められたと思っていて、そういう関係値ができたのは大きかったですね。

(UUUM 黒川)
我々もニーズをじっくりと理解した上で企画を練ることができてありがたかったです。「ソニックフロンティア」発売にあたって、須藤さんからいただいたご要望は、いろんな人が実況してくれてそのコンテンツが拡散されていくような、UGC(User Generated Content)を生みたいということでした。そこで、クリエイターのメインチャンネルの動画を軸に、CM出演、そこからのキャンペーンという組み立ての中でUGCを生むような施策を弊社企画チームと一緒に考えさせていただきました。

フィッシャーズが出演したCMはこちら(ソニック・ザ・ヘッジホッグ【公式】チャンネル)


拡散の軸となる企画「#ソニックCMキャンペーン」


──今回、視聴者さん参加型の企画が含まれたんですよね?

(UUUM 黒川)
拡散の軸となる企画としてご提案したのが「『ソニックフロンティア』を実況してCMに出演しよう!動画投稿キャンペーン」です。
応募期間中に実況動画をハッシュタグつきで投稿するとCMの映像に採用されるかも!という、フィッシャーズファン、ソニックファンともに盛り上がってもらえた企画だと思います。

多数のユーザーさんの実況動画が「#ソニックCMキャンペーン」タグで投稿され、その一部が盛り込まれた、スペシャルCMが12月に公開されました(ソニック・ザ・ヘッジホッグ【公式】チャンネル)

(セガ 須藤さん)
今回、タイアップ動画が上がることが最終目標ではなく、UGC的にいろんなユーザーさんが動画を投稿してくれることが目的でしたので、そのニーズに向けてUUUMさんが考えてくれた企画ですね。それに、プレゼントキャンペーンも盛り上がりましたよね!
我々のニーズに応じてUUUMさん側で臨機応変にアレンジしてくれたのが嬉しかったですし、それが成果にもつながったと思います。

(UUUM 黒川)
フィッシャーズのCM出演の情報解禁の前段として、セガさんにSwitchとPlayStation 5を大量にご提供いただいた大型プレゼントキャンペーンも盛り込めたことで、視聴者さんたちもさすがフィッシャーズ!といった反応につながり、お取り組みのスタートのよい盛り上げになったと思います。

大型プレゼント告知とともに、「ソニックフロンティア」CM出演を発表!

──UGCによるSNS拡散の成果については、言える範囲で大丈夫ですがどのぐらいだったのでしょうか

(セガ 須藤さん)
発売前後で調べたら、ソニックフロンティアがとんでもないことになっていて。他社さんのトップランカーと肩を並べるレベルでした。

(UUUM 黒川)
弊社の調査でもすごくよかったです。須藤さんには後ほど具体的数値もご報告しますが、実況動画投稿数と再生回数が、同時期リリースの多くのタイトルとの比較で上回り、有力タイトルとも肩を並べるような結果を得られました。


フィッシャーズの持つ疾走感、ソニックのスピード感や走るという文脈で活きる


──ところで、フィッシャーズでの実施をご提案したのはその視聴者層はもちろん、コンテクストとの親和性といったところですか?

(UUUM 黒川)
はい、フィッシャーズの持つ疾走感が、ソニックのスピード感や走るという文脈で活きると考えてご提案しました。

(セガ 須藤さん)
セカンダリチャンネルではゲームを扱ってもらうとして、じゃあメインチャンネルはどうなるのかという話になりましたね。僕も社内で通すのにちょっと時間がかかった部分でもありました。
登録者数が多いメインチャンネルでも自分たちのプロダクトを見てもらいたいと思ってしまう一方で、そこでプロダクトをダイレクトに訴求してしまうのはあまりよくないというのをUUUMさんに教えてもらったんです。「須藤さん、そういう付き合い方じゃないんだよ」と黒川さんから。

──えっ(笑)まさかそんな偉そうな言い方はしてないですよね・・・?!

(UUUM  黒川)
もちろん言い方はぜんぜん違うと思います(笑)
フィッシャーズの代表的コンテンツはアスレチックですし、ソニックフロンティアに登場する色んなギミックとの相性もよいということから、メインチャンネルのタイアップ動画はアスレチックになりました。

フィッシャーズメンバー全員集合&ソニックも応援にきてくれた、メインチャンネルのアスレチック動画はこちら

(セガ 須藤さん)
UUUMさんもすごく大変だろうなと思いましたね。クリエイターさんのマネジメント事務所の側面もありつつ、我々企業との向き合いを営業の方々はしなければならないわけで。クリエイターさんが求めるニュアンスも、我々にわかりやすく伝えてもらえたと思っています。

(UUUM 黒川)
そこは僕たち営業とバディの連携が重要になるところです。
今回もバディを通じてクリエイターとじっくりすり合わせ、クリエイターコンテンツのよさを活かしてファンエンゲージを高めつつ、商材の訴求にもつながるコンテンツを目指しました。

(セガ 須藤さん)
その連携はダイレクトに感じることができましたし、こうやって直接取引で密にやり取りさせていただいたことで、結果的に良いものが生まれたと思っているんです。

屋外広告・交通広告も大きく展開されました。こちらは渋谷スクランブル交差点の大型ビジョンの様子と新宿駅ホームの様子

渋谷スクランブル交差点
新宿駅ホーム

プロダクトを押し付けるんじゃなく、楽しんでもらいたい

──フィッシャーズに加えて、てつやさん個人チャンネルでもタイアップを実施したんですよね?

(UUUM 黒川)
ゲーム実況の部分でも深みを出したいという意図でご提案しました。
てつやさんが東海オンエア名物の「十字架」で、ソニックのコスプレで1週間生活していた文脈が活きますからね!

2021年、てつやさん自身の企画「動体視力クイズ」が原因となった十字架でした

(UUUM 黒川)
てつやさんとソニックと東海ファンの関係性、そのコンテクストがしっかり活きるということから、実況は2回配信という形になりました。1回目はまずやってみて、2回目でさらに詳しくゲームをやっていくという内容です。

──大事なIPを十字架という形で着ていたにも関わらず、版元さんとしてその文脈に乗るのを許していただけるというのがうれしいところですよね

(セガ 須藤さん)
UUUMさんを通じてクリエイターさんと一緒になって楽しもうと考えました。僕たちのプロダクトを押し付けるんじゃなく、楽しんでもらいたいというのが根本にあるんです。
もちろんセガの中でもIPによって考えが異なる部分はありますが、多くのIPオーナーは、インフルエンサーさんたちの影響力を知ってるので、やっぱりファンになってもらいたいという思いは強いですし、できるだけ自由に遊んでくださいっていうのは根底にありますね。

(UUUM 黒川)
子どものころから大好きなソニックだからこそ、愛も理解もあった上で十字架やっていますしね。以前から動画でも「Hey Guys!」ってソニックのまねをしていたぐらいですし。

(セガ 須藤さん)
テレビでも、仕込みとかでなくタレントさんが「俺これ使ってるんですよね」って言葉が出てくることってあるじゃないですか。ああいう好きなものが自然と出る感じに近いですよね。

──そして徹底していまして(笑)お友達の結婚式も外部メディアの取材でも十字架は外さないんです

(セガ 須藤さん)
すごい(笑)

(UUUM  黒川)
そういう背景があるから、やらされてるわけじゃないっていうのが伝わるんですよね。

(セガ 須藤さん)
逆にファンの皆さんからしたら「あれ?これって勝手にやってるんじゃないの?セガに怒られちゃうんじゃないの?」ってなるところもまた面白みがあるじゃないですか。

(UUUM 黒川)
配信中も「あ、ソニックから仕事来たね!」というようなコメントが視聴者さんから寄せられていて、ファンにとってもソニック、セガさんありがたいという感情が生まれているようでした。

(セガ 須藤さん)
この取り組みでは、本当に不幸せな人がいないですよね(笑)


スピード感の文脈でバスケイベントにもジョイン


──また別軸のお話になりますが、UUUMと川崎ブレイブサンダースさん共催のバスケイベント「DREAM GAME 2022」の方でもご一緒させていただいたそうですね

(セガ 須藤さん)
私はセガ コミュニケーション推進部の一方で、セガサミーグループの株式会社ウェーブマスターの役員も務めています。ウェーブマスターでは新規事業の立ち上げと広告代理事業を担当していて、セガ以外のゲーム企業、音楽レーベル、映画配給会社さんのなど業種多岐に渡ってプロモーションをお手伝いさせて頂ております。

そのクライアント様の案件で、映画「ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ」のプロモーションにも協力させていただきました。内容としては映画主題歌のブッキングやアーティスト様(アーティストもインフルエンサーとして捉えているとのこと)と一緒にプロモーションしていく流れだったのですが、更にスケールを大きくしようと、UUUMさんに相談した結果、主題歌を歌うドリカムの中村正人さんはじめしゃちょーさんのコラボ動画が実現したんです。

(セガ 須藤さん)
そして、両名のコラボレーションの流れで、映画のスピード感ある作品文脈から、スピード感あるバスケイベントにもジョインできることになったという流れでした。

はじめしゃちょー(hajime)「【生配信】YouTuber対プロバスケチームで試合してみた。【DREAM GAME 2022】」 https://youtu.be/Zl5Bi-8I91o


──最後に、お取り組み全体を振り返っての感想を伺わせてください

(セガ 須藤さん)
まず、セガ「ソニックフロンティア」について、今回素晴らしいパフォーマンスが出せたと思っています。
何より、インフルエンサーリレーションに関して理解を深められたことが大きいと捉えていて、今後もソニックに限らず、セガとしてUUUMさんと長いスパンでご一緒していきたいなと思っています。
一方、ウェーブマスターとしてもはじめさんとご一緒させていただいたことを通じて、インフルエンサーさんにプロダクトのファンになってもらうことがすごく大事だなと感じました。今後もお取り組みが実現するように動いていきたいですね。この記事を読んで下さったマーケティング、プロモーションご担当の皆様、是非、お声がけくださいませ(笑)。

(UUUM 黒川)
僕たちとしてもクリエイターがクライアントさんのファンになるというところを重視した企画に力を入れていまして、クリエイターの普段の活動の中に、クライアントさんの思いを乗せるためにはどうしたらいいだろうと、もっと言うと、クリエイターにとってもメリットが感じられる企画にするためには、というのを中心に考えています。
クリエイターがメリットを感じる、さらにそこにクライアントさんがメリットを感じていただく、そういうきれいなコンテクストを作っていきたいと思っているんです。今後もセガさんを好きになってもらうお手伝いをさせていただきます。

(セガ 須藤さん)
その点でいっても、クリエイターさんたちが次にどんなことをやりたがっているのかというのは、外からだとわからないわけで、そこはUUUMさんと定期的にコミュニケーションをとって、一緒に取り組んでいけたらと思いますね。

(UUUM 黒川)
はい、クライアントとクリエイターの間を埋めさせていただくのが僕たちの役割だと思っております。


── 対談はここまでです。須藤さん、ありがとうございました!UUUMが提唱するコンテクストドリブンマーケティングに、真正面から向き合ってコミュニケーションをとっていただき、理解を深めていただいたことで、ぐっとお取り組みが推進し、成果にもつながったのではと感じました。随所にエンタメマインドが表されたオフィス「GRAND HARBOR」も拝見できてうれしかったです。これからのお取り組みも楽しみにしております!


今回も読んでいただきありがとうございました。そしていつものお願いです。フォロースキ(ハート)をぜひー!

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