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:0168 チョカモカの実 感想 #文学フリマで買った本

↑今作の文学フリマ東京38での委託販売先のブラピさんの投稿。

この詩集の編集とデザインはブラピさん。

まずはデザイン面から。

本文と比べて数字のフォントは活版印刷っぽいフォント。ページ数や発行年月日など数字のフォントだけ、重力が月のように軽かったり木星のように重かったりする。表紙や文中にはイラスト。規則的で読みやすい本文にはない、不規則な生命感も忘れずに表現されている。


チョカモカ

「チョコレートコスモス チョカモカ」のことだろう。チョコレートの匂いだけでなく、「バニリン」というバニラの匂いがする成分も含まれている。見た目は表紙のイラストそのまま。「柔軟剤」「クッキー」など匂いや味の言葉が多い詩集。


耐糖能異常

は最初の詩のタイトル。この詩集の最後の詩「アイスべらのうた」では「(え?ーーー血糖値はいつもいいですよ)」と最初の詩のタイトルに戻っている。やはり甘みがある。その分動きまくっているからこの程度で収まりそうではある。

「、」「。」を使ってみるか。

わたしは「、」「。」をあまり詩では使っていない。区切らない面白さを活かしたいから改行はしても句読点は打たない。しかし、そろそろ「、」「。」も使ってみようと思う。「癒ゆ」で、思考が決して過去には戻らせない関所のようになっていると気づいたからだ。

どれが一番好きか

「かぼちゃ」か「つぶり姫」で!

「かぼちゃ」は倫理的ではない種たちがシンデレラになろうとする冒頭が面白い。「薄い塩水にひたされて甘くなったり」は塩をかけられたスイカが甘く感じるのと通じている。またここでも甘い。「甘味のある暗い通路」で夏祭りにあっさり変わっているなど、「甘味」の使い方が巧い。

「つぶり姫」は、『この紫陽花が、うまい!』の屋号を背負っているものとして気になった。紫陽花は毒。「つぶり」は頭だから、カタツムリのことだろうか。「ティーカップの下で紡いだように」にもしっくりくる。「……」は言葉を紡ぐ脳も変化して従来の自己表現方法から解脱したのだろうか。

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