ムスリム対応の重要ポイント!食事・お祈り、もうひとつは? 週刊インバウンドニュースマガジン12月3週号
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【速報】観光戦略実行推進会議(第35回)が開催。テーマは既存資源の活用か
12月10日、首相官邸にて第35回となる観光戦略実行推進会議が行われました。
未来の観光ビジョンについて議論が行われる会議で、数ヶ月に1度実施されています。
12月15日現在では議事要旨が発表されていないものの、いくつかの報道や、会議資料から議論の方向性が読み取れるため、速報としてご紹介します。
会議資料1:2020年4000万人等の目標達成に向けた施策(観光庁)
会議資料2:「見せる」から「楽しませる」美術館へ (公益財団法人 彫刻の森芸術文化財団 永井泰山氏)
会議資料3:ベネッセアートサイト直島の 取組みについて(公益財団法人 福武財団 事務局長 宇野 惠信氏)
会議資料4:日本の観光産業の競争力強化に 寄与する国立公園の活性化施策とは(星野リゾート 星野佳路氏)
会議資料からは、文化財、自然などの既存の観光資源を、経済的に活用するための方向性や成功事例を取り上げる場となったことが推測されます。
一部報道からもそのような雰囲気が感じ取れます。
日本には全部で34ヶ所の国立公園があり、世界でも稀有な自然を有しているものの、経済的な活用が十分に出来ているとは言えません。
極端な話、自然体験は「行って、見る」だけで完結させることもできるため、適切な仕組みがなければ地域にお金は落ちません。
ラグジュアリーなアウトドア体験が可能なグランピングは、そういった意味で資源資源の有力な活用策だと言えるでしょう。
観光促進の観点からも、資源保護の観点からも、今後の浸透が期待されます。
さて、自然資源は何も地方に限ったことではありません。都内で言えば新宿御苑が訪日客に人気であることは非常に有名です。
今回の会議の資料にも新宿御苑の事例が取り上げられておりますが、同じようなタイミングで以下のようなニュースも出てきています。
記事によると、新宿御苑は訪日人気から入園料を倍増したものの、入園者数は増えているそうです。
次のニュースでも触れますが、今後の訪日マーケットは、これまでのような右肩上がりの客数増加は見込めない可能性があります。
すると必要になってくるのは、訪日需要のあるスポットにおける適切な集客・販売・値付けです。
観光資源を安売りすることなく、適切な価格で販売する。あるいは適切な価格で販売できるような環境整備を行っていくことが重要になってくるでしょう。
資源活用を考える際にポイントになるのが「2次交通」の問題です。
自然資源を中心に、地方の優れた観光資源は公共の交通機関ではアクセスしにくい場合があり、インバウンドの地域格差の一因になっています。
観光庁でもこの問題は重要視しているようで、先週12月13日に有識者会議が開かれました。
今後の動向に要注目です。
来年1〜3月は訪日市場が冷えこむ?JATAの旅行市場動向調査を読み解く
一般社団法人日本旅行業協会(以下:JATA)が2019年12月期(第3回)の旅行市場動向調査を発表しました。
旅行業者を中心とするJATA会員各社への調査を元に、旅行市場の景況感をDI値と呼ばれる指数で表現・発表しています。リンク先の9Pからが訪日関係のデータです。
※DI値は全て良い(100)から、全て悪い(-100)の間の評価となります。詳しくは調査レポートを御覧ください。
「2019年12月期(第3回) 旅行市場動向調査」(JATA)
今回発表された10月~12月期の訪日DI値は、前期(7月~9月)に比べると2ポイント高いプラス4。ラグビーワールドカップの影響が大きいようです。
一方、次期(1月~3月)は15ポイントも下がって、マイナス11。国、訪問地域に関わらず、年明け以降の訪日マーケットはやや冷え込んでいくことが予測されます。
各セグメントごとの調査結果が示されているので、ご興味のあるかたはぜひご覧ください。
また、本レポートでは、実際の旅行業者の方のコメントも紹介されている点が興味深いです。いくつか抜粋してご紹介します。
・東北に目を向け始めている。 (第1種)
・年々ホテル代が上がっているが、依頼する側の予算希望が相変わらず厳しく、手配に苦労している。オリンピッ クを来年に控えホテルの手配動向が気になる。 (第1種)
MATCHAのメンバーが、国土交通省観光庁主催のマッチングセミナーにて講演します
今週12月18日に岩手県盛岡市で開催される「サービス提供企業ご紹介・交流セミナー~訪日外国人旅行者の受入お悩み解決~」に株式会社MATCHAが参加し、現地事業者さまへのソリューション提供のご提案を行います。
また、セミナーの中では私、植松が「訪日旅行者目線で考える、観光地・観光事業者の情報発信」と題して公園を行います。
海外に情報を発信する際の考え方やステップ、注意点、参考事例をお話させていただきます。近隣のいらっしゃる方は、ぜひお申し込みの上でご参加ください。
↓くわしくはこちらも御覧ください↓
https://www.mlit.go.jp/common/001319306.pdf
JCBがムスリム向け優待ガイドを発表+訪日ムスリムのトイレニーズをTOTOが調査
先週はムスリム関連の気になるニュースが2つあったのであわせてご紹介します。
まずはじめはこちら。
国際カードブランドのJCBが、訪日ムスリムに向けてムスリムフレンドリーな飲食店やJCBカードの優待情報を紹介するガイドをリリースしました。
正直なところ、紹介数は十分であるとは言えず、今後の拡充に期待されます。
続いてはこちら。衛生陶器のTOTOが、ムスリム旅行者のトイレニーズを調査しました。
実はムスリムの方には、トイレ時に排泄箇所を水洗浄する習慣があり、調査によると旅行中であっても排泄箇所は必ず洗い、我慢する方はほぼいないそうです。
ウォシュレットに対する認知度・使用率も高く、ムスリム旅行者受け入れにはトイレ環境の整備が重要であることがわかります。
ムスリムによる世界の旅行市場規模は、世界市場の11.2%を占めるとも言われています。一方で、日本の観光地では彼ら向けの対応(食事・お祈りスペースの確保・トイレなど)はまだまだ不十分です。
今回ご紹介したニュースは、そういった日本のムスリム対応の遅れを示すとともに、徐々に対応が広がりつつあることも示しています。
訪日目線がわかる!MATCHAやさ日マンガ
今週はMATCHAで人気の「やさしい日本語マンガ」を紹介します。
やさしい日本語とは、海外の日本語学習者向けに簡易化された日本語のことで、MATCHAでは学習者の他、日本語の先生にもお読みいただいています。
今回は、インドネシアから来た「スリ」が、初めて日本のスーパーマーケットに行くようです。
↓興味のある方は、ぜひサイトも見てみてください!↓
https://matcha-jp.com/easy/
↓マンガの元記事はこちら↓
https://matcha-jp.com/easy/7446
なお、先週のインバウンドクイズの答えはマンガの下に記載しています。
海外の方が「いらっしゃいませ」という挨拶を聞くと、"返事をしなければ!"と感じてしまうことがよくあるようです。今回のマンガは、そんな日本初心者のとまどいをテーマにしています。
日本と海外では商習慣も会話文化も違うので、そういった混乱は大なり小なり起きてしまいます。もしも困ったり疲れている旅行者の方がいれば、ぜひ「どうしたの?」と話しかけてみてください。
-----------------------先週のインバウンドクイズの答え------------------
さて、先週の答え合わせをしてみましょう!
上記のグラフは東アジア4カ国(中・台・韓・香港)の2019年の月ごとの訪日客数の推移です。A〜D番の組み合わせで正しいものはどれでしょう (難易度★★☆☆☆)
という問題に対し、答えは……
「2. A中国 B韓国 C台湾 D香港」でした!!
正解率は78%とほとんどの方が正解されていました。簡単過ぎましたでしょうか?
解説しますと、まず現在最も多くの旅行者が日本を訪れているのは、圧倒的に中国です。
そのため最も旅行者の多いAを台湾としている「4. A台湾 B香港 C中国 D韓国」は誤りになります。
また、今年のインバウンドの大きなトレンドと言えば「日韓問題を原因とする韓国人旅行者の急減」です。本マガジンをお読みの方であればおわかりかと思いますが、それを踏まえると今年に入って右肩下がりのBが韓国であることがわかります。
これで「1. A中国 B台湾 C韓国 D香港」でないこともわかります。最後は台湾と香港の旅行者の数を比較し、数の多いCが台湾であることから「3. A中国 B韓国 C香港 D台湾」でなく「2. A中国 B韓国 C台湾 D香港」が正解であることがわかります。
↓こちらに回答すると、他の人の回答割合がわかります!↓
http://www.benchmarkemail.com/Poll/Vote?g=8182&id=1073498&w=220
あとがき
先週土曜日、有名な「ラーメン二郎」へラーメンを食べに行きました。
1時間ほど並んだあとで席についたのですが、ちょうど私の隣に座っていたのが海外の方。
おそらく旅行者の方だったのですが、ラーメン二郎と言えば複雑な注文作法です。彼は前の方の注文を真似して「全マシ」と答えていましたが、食べている途中に「カラメって何ですか」と私に質問をしてきたのでよく知らなかったのでしょう。
※全マシ=トッピング全部増量 カラメ=醤油ダレ追加 のことです。
ラーメン二郎は極端だとしても、今回紹介したやさしい日本語のマンガのように日本の接客用語は独特です。実はそういったローカルルールへの恐怖感も、訪日客にとってのハードルになっています。
「行きたいけど怖くて行けない」という気持ちを持たせていることも、実は冒頭で紹介した「資源の有効活用」ができていない状況なのです。
訪日客の気持ちには訪日客にしかわかりません。旅行者目線での環境整備や情報発信に課題をお持ちであれば、ぜひ私たちMATCHAにご相談ください。
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