少年院へ
少年院。
社会生活の中では更生が難しいと判断された子どもたちが行く矯正施設。罰ではなく更生するための教育を受けることを目的としている。
家庭裁判所での審判で次男は県外の少年院へ行くことが決まった。
自宅から遠く離れた静かな場所だった。
はじめて面会に行った日。
大きな建物の中は静かだった。
入り口には卒院生の絵などが飾られている。
独特の雰囲気がある。
我が子に会うために身分証を提示し面会の理由を記入する。そうしなければ会えない場所。
私が面会室で先に待つ。
しばらくして、さっぱりした顔になった次男が入ってきた。
第一声が
「迷惑かけてごめん」
非行少年の言葉のパンチ力。
バカ親と思われていい。
こんな言葉に今までの辛さが一瞬で消える。
親ってなんなんだろう。
私はなんで次男をずっと好きでいるんだろう。
なんで少年院へいくまでになってしまったんだろう。
何度も何度も変わらないことを考え続ける。
少年院への行き帰りは長かったが、心に浮かぶことの答えを探す時間になっていた。
少年院では、保護者会や面会時に他の親御さんと顔を合わすこともあるが仲良くなることはなかった。
お互いの悲しみは目を見なくても分かるが、
だからといって励まし合うような関係にもならない。
同じ経験を経てここにたどり着いた人たちという感じだった。相手からの偏見がない。世間体がない。
矛盾しているかもしれないが、少年院という1番行きたくなかった場所で私は下を向かずにいられた。
次男の居場所が分かっているということ。
電話の音も、誰かの訪問も、パトカーのサイレンも、救急車の音も、夜中の暴走も、テレビのニュースも、全部他人事でいられた。何も心配しなくてよかった。
こんなことが当たり前の人がいると思うと羨ましい。
…夫は落ち着いた生活で自然と心が安定しているようだった。
次男の鑑別結果を話したことがあったが夫にはピンとこないようだった。 衝動性などの特徴も誰にでもそういう面はあってイライラを我慢出来ないのは本人のわがままじゃないのかと言っていた。
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