ピカピカ

むかしむかし、あるところにピカピカの可愛い男の子が産まれました。
『いいこと考えた！』が口癖の元気な男の子です。
いたずらばかり思いつく天才でよく怒られました。
少し大きくなった男の子は怒られるのが嫌になりました。
嫌だ嫌だと言っても誰も聞いてくれません。
誰も聞いてくれないから話せなくなった男の子は怒りん坊の暴れん坊になりました。
そうすると『反省しなさい』と閉じ込められて、男の子の心はどんどんカチコチになり、ピカピカだった心はヘンテコな色になっていきました。
男の子はもう1人で生きていくんだと外に飛び出しました。
いろんなお友達と遊びいろんなことを覚えました。
でも誰といても何をしても、いつも最後はうまくいかなくなります。

そんな男の子の前に素敵な女の子があらわれました。
男の子のヘンテコ色の心はみるみる輝き始めました。
女の子のピカピカの心はもっと輝きました。
男の子は嬉しくなって頑張りました。
それでも時々男の子は悲しくなりました。
なぜだか心がとんがっていくのです。
悲しいと怒りん坊になって心がヘンテコ色になる日がありました。

男の子と女の子にピカピカの可愛い赤ちゃんが生まれました。
男の子の心もまたピカピカになり一生懸命頑張りました。
頑張っていても悲しくなる日もありました。
頑張りたいのに悲しくなって暴れん坊になりました。
女の子のピカピカの心も少しずつヘンテコ色になりました。

男の子はもう何も考えたくありません。
悲しいことを考えなくてすむよう、ずっとなにもしませんでした。
女の子と赤ちゃんは悲しくなってどこかへ行ってしまいました。赤ちゃんは男の子にそっくりな顔をしていました。

『いいこと考えた！』が口癖だった男の子はピカピカだった自分を今は思い出せずにいます。