光と闇
部屋の電気が切れた。輪っかの蛍光灯が急に付かなくなった。昔なら、蛍の命の灯火のように、消えそうで消えない、付きそうで付かない、という状態をしばらく繰り返したように思うが、二重のリングは二本同時にぱったりと付かなくなって、常夜灯だけが生きていた。最近の照明器具はこんなものなのだろうか、仕方なく週末までは常夜灯で過ごすことにした。
自然光に合わせた生活は、家の中と外の繋がりができて、野性的な感覚があった。その感覚が新鮮だったので、キッチンや風呂場も電気は付けなかった。常夜灯は荒野で焚かれる火のように思えた。
体がだんだん闇に馴染んでくる。夜中になると闇が怖くなって、普段は真っ暗で寝ているが、常夜灯を付けて布団に入った。闇はどこからともなくすっと忍び込んでくる。それは自分自身の中からやってきていた。人でも何でも、飲み込まれたらその闇の中に消えてしまう。きっと帰っては来れないのだろう。それは恐怖のようで誘惑であった。電気が点かない状況で、闇はどんどん攻め込んできて、その誘惑は鮮明であり、なかなか寝付けなかった。気がつけば朝だった。嫌な汗をかいていて、朝日が眩しく、暖かかった。
その日にLEDの照明器具を買ってきた。夜にはLEDの光を存分に浴びて、電気のリモコンを枕元に置き、闇に潜るとぐっすりといい夢を見た。
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