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応援は、力になる。愛される部活であるために。|東大応援部チアリーダーズ

「ひとつひとつの部活に熱をかけてやっていけたら、応援部と運動部との関係はどんどん良くなる」「応援部はどの部活からも愛されなければいけない」

──そう語るのは、応援部チアリーダーズで活躍する、4年生の青山優希さん。他部活から応援依頼を受け付ける役職に就いています。

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応援部チアリーダーズ4年生の青山優希さん

運動部員の生の声をお届けする「VOICE東大運動部」。

第1弾の今回は、たくさんの部活と関わる応援部の苦悩や成功体験を伺いました。

応援にかける熱い思いから、チアリーダーズのオフ事情まで!余すところなくお届けします!

(このインタビュー記事は2019年8月17日に東京大学運動会HPに掲載されたものです。)

応援で、色々な運動部を支えたい。

大学に入ったとき、4年間全力で活動したくて、体育会の部活に入ろうと思いました。

はじめは、マネージャーを考えていました。プレイ側するより、支える側になりたくて。

でも、チアなら、一つの部活に集中せず、いろいろな部活を応援し支えられる。

プレイヤーを支える応援に惹かれて、この部活に入ったんです。

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青山さん

ダンス経験は全然なかったです(笑)高校では吹奏楽をやってました。

私の高校では全校生徒で野球部の応援に行っていて。吹奏楽部として演奏したとき、野球部の人に、応援がすごく力になったと言ってもらえて。

青春でした。(笑) 

それで、大学でもこういう経験ができたらいいなと思ったんです。

応援部には吹奏楽団もあります。でも、大学では新しいことを始めたくて。

体験練習でキラキラした先輩方に惹かれたのもあり、チアリーダーズを選びました。

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吹奏楽部時代の様子。

応援は、試合を変える。

東大の応援部は、新歓期の4月最終週から、新入生が硬式野球部の応援に行くんです。

他大学だと、一人前になるまでコスチュームを着られない応援部もあるんですけど、東大は早くから神宮で応援する。

初めての応援なので、「髪の毛これでいいのかな?」とか、基本的なことが気になっていたのが思い出です(笑)

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応援部SNSでは、東大生の観戦への呼びかけも。

神宮での硬式野球部の応援では、東大生に応援を呼びかける企画をしました。

試合本番に向けて、合宿で野球の応援を練習するのが印象的です。

お客さんはいないんですが、お客さんに声をかける想定で応援するんですよ。「まだまだここからですよー!」とか。

試合展開は、リーダーの4年生が決めます。

応援が悪かったらヒットを打たれちゃったり。応援によって試合展開が変わっていくんです。

この練習では基本的に、アウトがなかなか取れないんですよね。ずっとボール、みたいな。

そこを応援で変えていかなくちゃいけない。どうすれば盛り上がるのかを想定し、「まだまだここからですよ!」「ここから盛り上がっていきましょう!」ってたくさん声を掛けます。

誰もいない空間なんですけど(笑)

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神宮での硬式野球部応援。観客・応援部が一体となって盛り上がります。

応援で試合展開がよくなっていくのはグッときます。

実際、試合でもそういう状況が結構あるんです。

なかなかアウトが取れない時に、応援で盛り上げていこうって。

本番になると色々な要因が絡まってくるので、単純にはいきません。でもやっぱり私たちの応援で勝利に繋げようって気持ちでやっています。

応援部を、好きになってもらいたい。

他の部活について印象深いことと言えば、私は応援企画という神宮以外の全ての応援を統括する役職なんです。

神宮と他部活の応援が被ったら、神宮じゃない方に必ず行く役職です。

それで、実は、神宮以外の部分にもすごく思い入れがあるんです。

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いただいた名刺にも「応援企画」の文字が。

どの部活も1年に行ける回数は限られているんですよ。

硬式野球部をのぞいて、前期だけで25くらいの運動部の応援に行くんです。そうすると、特に土日は試合が被ったりして、応援部がいけるのは1年に1部活あたり3~4回だけなんです。

その限られた中で、私たちができる最高のことをしようと思って、活動しています。

そう思ったきっかけは、私が3年生の時に1年間、男子ラクロス部の担当をしたことです。

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最初、応援部とラクロス部の関係はあまり良くなかったんです。私が1、2年生の頃、大事な試合に応援部の都合が合わなくて、行けなかったことが何回かあって。決勝戦にも行けなかったんですよ。

だから3年生になって、担当者としてラクロス部と接したときにも、「今年は来てくれるんですか?」という話になったり。でも、最終的に決定するのは先輩なので、「約束はできないけどお願いしてみます」みたいに丸く収める状態が続いていました。

そういう状態の中で、両部の関係が良くないな、と実感しました。

そこから、どうやったら応援部をまた好きになってもらえるだろうと考えました。

それで、応援動画を作ることにしたんです。

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応援動画のスクリーンショット

応援に行きたくても、どうしても部の都合がつかないことがある。

そういう時は、いけない試合の前日に動画を送ることにしたんです。

ラクロス部の人たちが出ている動画を組み合わせて、各パート(リーダー・チアリーダーズ・吹奏楽団)でメッセージも撮って。

「明日は応援には行けないけど、遠いところから応援しています」という応援部の想いを伝えたかったんです。

そしたら、ラクロス部の方も、「応援部は来れないけど、自分たちを応援してくれている」って思ってくださって。

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応援動画のスクリーンショット

去年のリーグ戦の準決勝で、東大ラクロス部が勝ったんです。逆転勝ちで。

1点差でリードされたまま試合が続きました。でも、もう負けちゃうのかな、みたいな雰囲気はなくて。スタンドの部員もお客さんも諦めていないと感じました。

だからこそ「絶対勝てる」っていう雰囲気を応援部がもっと出さなきゃって思ったんですよ。まだまだだぞって、全力で盛り上げて。

そしたら最後の最後で1点入れて同点になり、延長戦にもつれ込んだんです。

勝った時には、みんな泣いてました。本当に、やっててよかったなって。

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ラクロス部の応援の様子

試合後に部員の方が「応援部が来てくれなかったらあの1点は入らなかった」って言ってくれて。心からやっててよかったって思いました。

ラクロス部の担当になった最初の頃は、うまくいかずに落ち込んだ時期もありました。

でも、半年くらいでここまで人間関係が良くなるんですよね。

今はこの役目は3年生にバトンタッチしましたが、やっぱりひとつひとつの部活にこのくらい熱をかけていきたいです。

それによって、応援部と他の部活との関係もどんどん良くなるだろうと思います。

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ラクロス部の応援の様子

応援部はどの部活からも愛される部活じゃないといけない。

その窓口が私です。応援依頼を受けるのも私。

私の健闘1つで相手の部活の感じ方も変わります。そこは特に気をつけながらやっています。

もっともっと、応援したい。

応援に行きたい部活は、個人的にはラグビー部ですね。今、全然関わりがなくて。

試合中に応援できない部活への壮行会でもいいので、やってみたいです。

新しい部活へ応援に行くのに、応援部から言うことはほとんどないです。

大抵、幹部の4年生同士が友達だったりして、「うちにも来てよ~」っていう話になって、応援依頼をもらう感じです(笑)

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意外とフランクなんです。(笑)

最近は、各部の主将・主務を集めたライングループで、「応援したい部活は言ってください」って告知しています。ただ、何にせよ、部活の方から依頼がない限り新規開拓は難しいですね。


応援部としては、行ったことない部活にもっと行ってみたいと思っているので…運動部の方、もっと応援依頼ください!(笑)

応援部は厳しい?忙しい?…それだけじゃない!

応援部は厳しいだけの部活じゃないよっていうのは知ってほしいです。

みんな応援部は厳しそうっていうんですけど、普通に先輩ともごはんに行くし(笑)

部活の時はしっかり切り替えて、でもプライベートは楽しくやっています。

オフも全然ありますよ(笑)週3オフなんで。基本土日は応援で、水・金の夜が練習ですね。

それ以外はオフです。

なので、月・火で旅行に行ったりもできます。もちろん勉強も(笑)

部活がある日も、拘束時間はそんなに長くないので、応援後とか練習前は友達とご飯に行ったりしてます。

同期ともすごく仲良いです。めっちゃディズニー行きますよ(笑)

同期全体でも行くし、あとすごいディズニーオタクみたいな同期がいて、私もディズニー大好きなので、その子とはもう7回くらい行ってます(笑)

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同期とのディズニー、楽しそう!

やっぱり、応援部は、人が好きな人が多いです。みんなコミュ障とか言いつつ、人が好きなんだなって思う瞬間が多々あります。

年に何度か、運動部交流会とかあるじゃないですか。毎回応援部がたくさん参加させて頂いてますが、あれも全然強制とかしてないんですよ。

あるよっていったら、自然とみんな、「行きたい!」って。

やっぱり、人が好きなんだなって思います。

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後輩とのごはんの様子。学年を越えて仲が良い!

他の部活の人と同期会をできるのも良いですね。応援に行く色んな部活の人と仲良くなれて、たくさん友達ができるのが魅力だと思います。

4年生になって

入部当初は活動が盛りだくさんで、ただこなすだけで毎日が過ぎていきました。一つ一つのの思いとかもなくて、ただついていくだけで精一杯。

2年の後期から慣れてきて、3年生になってから大分考えられるようになりました。

3年生からは、運営・企画側もするので、自分が一番考えてないと後輩はついてこない。自分の企画ひとつで4年生の先輩方が動くという責任感も生まれました。

4年生になってからは、全体を見られる余裕ができました。

1年生の頃は「声を大きくしなきゃ」「きれいに踊らなきゃ」みたいな義務感でやっていたのが、今そこで何が起こっているかを把握しながら動けています。

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全体が見える立場になってからは、一生懸命になって周りが見えない下級生を見ると、「私も昔そうだったな」って思います。

後輩には、一つ一つの活動を辛いって思ってほしくないです。なので、疲れている子がいると、「大丈夫? 頑張ろうね」って声をかけます。一言だけで気の持ちようも変わると思うので。

これから後輩には、これまで通り、これまで以上に、運動部との関係をもっと深くしていってほしいです。

あとは、応援にしても、求められるものに柔軟に対応してほしいですね。応援部は伝統が強い部活です。伝統は維持しつつも、応援については新しいものも取り入れてほしいと思います。

新しい曲とか、現実的なところだとインカムみたいな設備面とか。より良い応援を作っていってほしいですね。

私の引退を迎えるにあたって、一つ一つの活動を大切にしていきたいです。応援も、ステージも。
あっという間に過ぎちゃうと思うんですよ。

この3年半もあっという間で。気付いたらすべてが「最後の○○」になっちゃって

残りの活動を悔いなくするために、月並みですけど、一つ一つちゃんと力を入れてやりたいって思ってます。

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受験生・新入生も、応援したい。

受験生や新入生に向けた応援に行くこともあります!駿台さんの壮行会とか、東進さんの祝勝会とか。

受験生を応援するときも、ああ東大に入ってほしいなって思いながら。

実際、ここで演舞をみた子が、新歓期に来て、「応援されて嬉しかった」って言ってくれることがあるんです。

それを聞いて嬉しかったです。ちゃんと力になれたんだなって思えます。

特に、センター試験後に開かれる壮行会。みんなセンター試験の手ごたえで一喜一憂していて、不安を抱えている子も多いですよね。

でも、そういう中でわざわざ時間を取って見に来てくれている。毎年、そういう子に元気を与えたいと思っています。

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新入生へ

応援部は、支える側・演技を披露するプレイ側という2つの面があるのが良いなと思っています。本当に楽しい部活です。

明るい人しか入れないんじゃないか…とか全然ないので(笑)、運動会を盛り上げたい人にはぜひ入ってほしいです。

人のためにこんな頑張れる人はいないんじゃないか、っていう熱い人がたくさん待っています(笑) 熱い人、大歓迎です!

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たくさんの部活と関わる応援部は、関係構築の難しさに直面することも。

一つ一つに熱を込めて誠実に活動する。これが良い関係の構築、そして勝利への貢献につながるんですね。

応援部の熱い思いを感じました!

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