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姉兄夫婦とワタシの距離
思った以上に、実家に帰りたくない……。
自分のために作るお節もいいし、年末の特番を見ながら爆笑し、時折、自分のために勉強する。
日々の仕事と付き合いながらではなかなか成しえないことばかりで、それにお酒も飲んで気分がいい。
そんな時に実家の母親からの電話が鳴った。
「あんた、今年も帰ってこないんやろ? 寂しくないの?」
その言葉で、私の心は楽しさを忘れたようにふっと凍り付いたように静かになった。まるで冬の湖畔のようだった。
その理由は、姉兄夫婦のことを思い出したからだった。
ワタシの距離感の転機
私には、姉(33)、兄(30)がいる。幼少期、思春期、そして大人になってからも、喧嘩はするけど3人で旅行に行ったり、買い物に行ったり、映画を観に行ったりと割と仲良く過ごしていた兄姉だと思う。
特に兄とは小学校から高校まで一緒で、お互い教師免許も持っていたり、理系だったり、ゲームにはまったりと近いものがあったたため、姉よりも仲良くしていたと思う。
そんな彼らが結婚した。姉に関しては、1週間前。兄は2年前。それによって、ワタシの彼らに対する距離感が広がっていった。
兄の結婚
もともと私は人が嫌いな方ではないから、どんな人か知りたい方だし、どうせなら仲良くなりたいと思って、顔合わせに臨んだ。兄嫁の家族とコロナ前ということもあり、マスクなしの会食をした(非常に懐かしい景色だ)。
ところが、初めて違和感を感じた。
え?この人達と今日から家族になるの?
言葉でたとえようのない不安が私の胸に押し寄せた。苦手な雰囲気の人間たちだったからだ。友達が多い方とは言わないが、個性的な人たちが周りに多かったし、営業として何千人単位で人とあってきた私だったから、その雰囲気にかなり驚いた。
営業をしていたころに、たまに出くわした苦手なタイプの人間が目の前にいた。営業をしていた時は、私が客を選ぶことだってあるんだからなと強気に訪問しないことを選んでいた。
しかし、ここでは、私に選択肢はない。死んだ。そう思った。
ただ、そうは思っても兄のことは割と好きだし。我慢しよう。そう思っていたのに、半年ぶりくらいにあった兄は人が変わったようだった。以前までの雰囲気ではなく、その奥さんの家族に似ている雰囲気に変わっていた。
そして、私は駅へと向かい帰る両家を送りながら、この辺フラフラして帰るといい、その場から逃げた。
「あいつ、自由人なので」という言葉が聞こえる。もういい。それでいい。私は、関わりたくない……。仕事以外で初めてそう思ってしまった。
姉の結婚
姉は半年くらいの交際で結婚することを決め、結婚前に私と兄夫婦たちとオンラインで顔合わせすることにした。
姉は、「そんな好きじゃないけど、まあいいのかなって思って」と電話で言っていた。そうはいっても照れ隠しなんだろうと思って、苦手な兄夫婦もいる顔合わせに参加した。
正直、1年くらいあっていない兄夫婦と顔を合わせることが苦痛すぎて、開催の1分前を切ってからやっと入ったくらいだった。
そこに、第二の不思議な人が現れた。
姉よ、なぜこの人を選んだのだ……
そう心の中で感じてしまった。
私は心が冷たいんだ。自分の結婚(は全く考えていないが、)だったら、同じことを姉兄たちも思ったかもしれない。そう自分を落ち着かせながら、話に参加していた。
笑いの方向が合えばとか、趣味が合えばとか少しは探りはしたが、何も話そうとしない。愛想笑いを浮かべるだけの人だった。そして、ことごとく、兄嫁が話の邪魔をしてくる。
クルクルと変わっていく自分中心の彼女の話題を聞きながら、30分で顔合わせは終了することになった。
最後に急に「姉のことはどう思いますか?」と姉の旦那さんから質問を受けた。私は笑い話がいいのかと笑い話の方向へと舵を切るも、1人だけ旦那さんは笑っていなかった。むしろ怒っているように見えた。
終わった後、姉から「正直、どう思った?」と聞かれて、「今現状は、仲良くはできるかなあ?って感じかな?」と思わず言ってしまったほどに難しいと思った。
「そっかあ……私もよくわからないんだよね」そういう姉に私はほっと息を撫でおろしたのも束の間、急にラインで婚約届を出している写真が送られてきた。
変化が怖いワタシ
おめでとうって言いたいけど、この人たちと家族になると急に言われれると複雑すぎて、人間として終わっていると言われてもいいと思うくらい、「ちょっと待ってよ」と言いたくなる。
自分が知っている姉兄がいなくなってしまうのも怖い。
急に増える人も怖い。
疲れていく両親を見ているのも怖い。
家族のことを思うと、もう思春期かと思うくらいに心の中がぐちゃぐちゃになる。
それならいっそ私は冠婚葬祭とか年末年始くらいにしか会わないんだからと上辺で接しようとすると、兄姉や両親から「もっと仲良くしてよ」と文句を言われる。
心から無理だ。
姉兄や両親は生まれてから一緒にいる人たち。その人たちと同等に扱えというのは無理だろと。
姉兄だって住んでいる環境が違えば、人はどんどん変わっていく。大人になると人は少なからず変わっていく。変わらないものなんてない。
そう自分に言い聞かせている。ただ、まだまだもやもやしている。
心がもう少し落ち着いたら、彼らと同じ家で食事をとることもできるようになるかもしれない。その頃は、コロナの終息と重なる気がしてしまう私がいる。
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