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【番外編 その2】帯が載ってる書影サイトとかはないんですか?

 結局、本ってものは商品なんですよ。それを忘れてはいけないと僕は思っている。

 とかなんとか言ったらなんかnoteっぽくね? とnoteに対する偏見を抱えているのが僕ことうつぶせくんだよ。
 それはそれとして、小説とか漫画とかって結局読んでもらわないといけないもので、読者を引きつけるなにかが必要なのは確かだ。中身を読ませるための外面というか、ひとまず手に取ってもらうための手段が必要になる。
 例えば『奇抜なタイトル』例えば『目を引く表紙イラスト・デザイン』あるいは『意味不明のあらすじ』とかがあるけれども、手に取ってもらう手段として特化しているものがひとつある。買うときの参考にはするけれども、ぶっちゃけ買ったあとは邪魔だからゴミ箱に捨てる存在。そう、帯だ。

 ほらあれ。『何千万PV達成!』とか『何万部突破!』とか『○○賞賛!』とか『××推薦!』とか『コミカライズ進行中』とか書いてあるやつ。僕ああいうのが好きで、昔ちょっと集めていたことがあるんだよね。ということで今回は『帯が良かったり、ちょっと奇妙だったりした本』の話をしていこうかな。

 ところでどうしてそんな話をしようと思ったかと言えば、『日本SFの臨界点 新城カズマ』の帯が面白かったからだな。マジで関係ねえじゃん!(作者名がタイトルになっていることから、作品=作者を紹介する。という形で考えると合ってんだろうけど、原稿催促をここでする!?)

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 そんなわけで、『好きな帯』『ちょっと面白い』『なにこれ』で分けて紹介していくぜ。


好きな帯編

14歳は殺したいほど可愛い。

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 帯が良かった本の話をしよう。
 そう決めたときにまず頭に浮かんだ本がある。それがこの本、『少女を殺す100の方法』だ。

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 ちなみに帯なしだと持っている花束が散るようになっていることを、ほとんどの人は知らないと思う。帯のonoffで表紙絵が変わる類のデザインが結構好き。「14歳は殺したいほど可愛い」という宣伝文句は一時期燃えてたよなあ。でも、内容を綺麗に表してて僕はかなり好き。ちなみに文庫版の表紙は一緒なんだけど帯は結構日和ってるから、『この帯がついている方が欲しい!』という人は単行本を買った方がいいね。

 内容としてはタイトルそのまま。14歳の少女たちが様々なシチュエーションで死んでいくミステリだ。教室で。人間粉砕ミキサーの中で。ノックスの十戒に基づき。死体処理で。空からたくさん降ってきて。死んでいく。一作につき20人死ぬので20人×5作で100の方法。白井智之らしいめちゃくちゃな倫理感と美しいまでの論理《ロジック》が組み合わさっている一作だ。ミステリなんだから人が死ぬのなんて当然なのに、人を殺すことを前に押しだしていることから言わずもがなだ。

ひとりぼっちの女の子が出会う、一台のバイクと一人の友だち。

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 これは本当に、帯文句が好きで買った本。トネコーケンの『スーパーカブ』。良い惹句だと思う。カブなんてまず名前も知っていたか怪しいぐらいだったんだけど、帯がかなり好きだったので買った。この出会いがあるから、「帯で買う本を選ばないのではないか?」という意見にはかなり懐疑的。

 内容はぶっちゃけ一巻しか読めてないんだけど(続刊も買ってはいるけど積まれている。どうしてもシリーズ後半は優先順位がさがる)、結構スローなテンポで、それでいて「なーんにも趣味がなかったときに、楽しめる趣味を見つけたときの楽しさ」というのが味わえてとても良い一冊だと思うよ。

 本作はアニメ化とかコミカライズとか続々重版とかしている本だから、多分今買ってもこの帯とは出会えないかもね(帯は売れれば売れるほどつまらなくなる。という最大の弱点がある)(売れている。という情報を発するようになるので)。

モラル無し・センス無し・ヤル気無し! 伝説の”ゴミビデオ”がいま、よみがえる!

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 平山夢明が映画ビデオの紹介を書いていた頃、ネタがないのでひねり出したようにマジで誰も知らなそうなクソビデオを紹介していた。それを一冊にまとめた、読んだところで誰が得をするのか分からない一冊。『デルモンテ平山のゴミビデオ大全』。

 本当にまとめているだけで、ビデオのパッケージ写真とか、ちゃんとしたあらすじとかそういうのが載っている辞典めいたつくりではなく、ただ掲載当初の文章をそのまま羅列しているだけなので、本の質。という話をするとかなり悪いので、「うおー! 俺は平山夢明のファンで出している本はなんでも集めたいぜー!」とか「なんかよく分かんねえんだけど、『うんこ』をうんこと言わずにどれだけ表現することができるか。を見届けたい気持ちになった」とか、そういう気分になったら買ってもいいかもね。
 ちなみにこれはさっき知ったのだが、「掲載されているビデオのうち、40作品はDVDになっている」らしい。されてんのかよ。

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 あと平山夢明だとここら辺の帯も好き。くだらなくて良い帯に恵まれている作家だよ。

巨大ロボ、出撃す。

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 一見すると、なんだか普通のロボ系の帯かな。という感じだけれども。

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 この表紙にこの帯が巻かれていたという事実はわりと面白い。『虚実妖怪百物語』は『序・破・急』の三部作に分かれた「京極夏彦版・妖怪大戦争」で妖怪・怪談界隈の実在する作家たちが次々に登場する実名小説である。破では現代に妖怪が現れ、妖怪・怪談界隈が粛正の憂き目にあっている中、荒俣宏が巨大學天則に乗り込むよ。巨大ロボット、出撃す。だね。ちなみにこの小説、最後には「巨大貞子3Dでございます。」と言って巨大貞子3Dが自衛隊の航空機と戦うようなトンチキ小説なので、その厚さに身構えずに読んで欲しいね。

この巻はファーストキスの続きですっ!

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 教えてくれてありがとう!

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 ファーストキスの続きであることを嬉々として教えてくれる『ひとりぼっちの地球侵略 3巻』。確か僕はまとめ買いをしたので、ファーストキス当該巻であるところの2巻を読んだあとにこれを見たのでめちゃくちゃ面白かった思い出がある。表紙の絵も3巻も一番好きだな。

せかいを解読しにいこう

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 こういうイベント系の統一帯ってあんまり好きじゃあないんだけど、この惹句は好きだった。講談社タイガ発売一周年当時、僕は講談社タイガの本を全部買っていたので、イベント応募してこの惹句と刊行されている本のセリフが書かれた図書カードを手に入れた。二周年のときには本体がツイッターにあげた『私というものを知っているのなら~~』という、お前誰だよ。となるような感想が手書き帯に採用されたりした。タイガの周年企画にはなにかと縁があるのが僕だ。今は全部買ったりはしてないんだけど、それでもちまちま買ってるレーベルなので、結構、期待している好きなレーベルではあるんだぜ。

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 ところで創刊当時の小冊子も持ってるんだけど、並んでる作者の本さすがに全部出ただろうと思われてるかもしれないが、結構出てないぞ。今年で六年目になるのに。


ちょっと面白いやつ編

スゴすぎる書き込みもはや銅版画

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アンデッドガール・マーダーファルス 2巻』これはコミカライズなんだけど、絵がね、とても綺麗なんだよ。読んだことない人は一度検索して確認して欲しい。絵が綺麗。それはそれとして「もはや銅版画」という惹句が面白い。どういう褒め言葉?

全日本妖怪推進委員会肝煎 京極夏彦大推進

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 直木賞作家とか日本推理小説作家協会代表理事とか小説家とかそういう肩書きではなく、「全日本妖怪推進委員会肝煎」の肩書きを使ってるのを僕は初めて見た。全日本妖怪推進委員会はいま「お化け友の会」になってるよ。
 京極夏彦に推薦文がもらえたのがよほど嬉しかったのか、あらすじにまで「京極夏彦も大推進!」とまで書いてある本作だけど、よくよく見てみると京極夏彦が惹句を書いたとは言ってないのが、この帯の好きなところだね。『出航』と同じ類かもしれない。

「私の奈良を、返してください! さすがにこれはいかがなものか! しかし、悔しいが傑作と認めざるを得ない」森見登美彦氏、激怒!?

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夜は短いのか?

この小説は完結しておりません

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 言わずと知れた浅見光彦シリーズ最終作『孤道』の帯。勘違いされてそうなんだけど、確かに作者である内田康夫は亡くなっているけれども、『亡くなったから未完』ではなく、『もう書けそうにないと判断したから未完で、当時はまだ存命だった』ので、そこは気をつけないといけない。完結できないから、完結作を人に書いてもらおうという、超人気作の完結として最近はたまに見かけるようになったそれだけれども、作者が存命であった分、作者の意思が選択に反映されていると思う。ところで、完結作を書いた和久井清水はその後、『水際のメメント きたまち建築事務所のリフォームカルテ』という小説を書いている。

見えた ぱんつ……

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 今はなき一迅社文庫の『何かが深海からやってくる 8月の迷惑な侵略者たち』の帯。ちなみにぱんつが見えたとヨダレを垂らしているのはマグロではなくサメである。未だになんでこのデザインなのかは分からない。内容はクトゥルフらしいが、僕はクトゥルフのことを知らない。あと多分これ水着では……?

ミステリ作家たちを襲った奇妙なうんこ事件! 華麗なるクソ小説

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 奇妙なうんこ事件! の部分を小さくしたのは、多分恥ずかしさが上回ってしまったのだろう(というか、表紙のノリ的に違うでしょ! とギリギリで気づいたのかもしれない)。

京大生100%が騙された!

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  本当に京大生が騙されたのか気になったので京都大学推理小説研究会の人に尋ねてみた『死者と言葉を交わすなかれ』。そういえば東大生100%はあるのだろうか。僕は騙されなかったので、京大生に勝ちました。


なにこれ編

たんもしって呼び方、なんか可愛いですよね。タン塩感。

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 お前売れてるコンテンツだよな?

どうせいろんな女性声優に帯コメ頼んでるんだろ!!!!

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 確かに新人声優がでてくる分、理性はあるのかもしれない。

この読み方であなたは生涯未体験の驚くべき刺激に初めて出会える!

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普通にコズミックを読めばいいと思う。

「三部さん、JOJOの三部を手伝ってくれてありがとう。なつかしいね。」

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帯でする話じゃない

書けば天才、上がれば名作だからお前は早く書け

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荒木飛呂彦よりは宣伝しているのかもしれない

「一向にかまわんッッ」キミを忘れない…さらば烈海王ッッ!!

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まさか本当に死ぬとは思わなかったし、腕がくっつくとは思わなかったし、それを提案したのが夢枕獏だとも思わなかった。

 この短編集はすべての短編に叙述トリックが含まれています。騙されないよう、気をつけてお読みください。

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 帯を動かすと横断歩道が階段だったり髪が伸びたりと叙述トリックを視覚的に見せている帯と表紙。面白いなと思うんだけど、帯を外すと「叙述似鳥ック短編集」になるので良くない。


番外編(帯ではなく、宣伝文句)

2021年新作ライトノベル最高初版!!!!(1月20日現在)

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 ちなみに1月20日だと文庫本だけだと23作品(電撃文庫・富士見L文庫・富士見ファンタジア文庫)出ている。単行本を足すと38作品(電撃の新文芸・カドカワBOOKS・ドラゴンノベルス)になる。

スニーカー文庫18年振り快挙達成 #ろしでれ2巻初版部数「涼宮ハルヒ」シリーズ2巻と同数にて制作決定

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 どうすごいのかいまいちよく分からないけれども、スニーカー文庫が18年ぐらいすごい下火なんじゃあないかって気がする宣伝文句


 まあこんな感じで。

 帯を見るってそれはそれで結構楽しくて、よく見てみると全然宣伝してねえ帯もあったり、面白いギミックもあったりする帯。買ったあとや買う前に一目見てみると楽しいかもね。面白い本はいっぱいあるよ




ここから先は投げ銭用。課金をしたところで読めるのは「お金ありがと!」とちょっとした一言だけだ。課金をするだけ損なのでそれよりも小説や漫画を買って読め。

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