【#4】わんこをぶんぶん扇風機の羽みたいに振り回してニッコリ笑っているおバカな筋肉ダルマハゲはお好きですか?【メルキオールの惨劇】
フェイスリグが動かなくなってしまった。
エラーコードc0000315とか出てくる……。
そんなわけで動画が作れなくなってしまったので、動画は暫くお休みにして(二ヶ月動画出してないんだから、休みもなにもないのでは?)、動画の原稿をこっちに回すことにした。まあ、動画のストックはあるから(今思いだした)、動画をつくることはできるんだがな! そういえばあったわ!!
誰かフェイスリグ直して……対処法が英語ばっかで無理……。
そんなわけでどうもこんにちは。うつぶせくんだよー。
さて、今回紹介する本なんだが……………………。
ホラーを紹介したい!!!!!!!!!!!!!!
紹介したくなったからにはしょうがない。今回はこの本を紹介するぞ!
平山夢明著・メルキオールの惨劇
平山夢明という作家を知っているだろうか。
最近だとそうだね、『DINER』という小説が映画化されたりと、なにかと表に出ている作家さんである。
デルモンテ平山名義でZ級ホラー映画のビデオ評論をしていて。
『異常快楽殺人』という有名なシリアルキラーの人生を追うノンフィクション作品でデビュー。
その後『Sinker―沈むもの(復刊とかしないかなあ)』で小説家デビューしたり。
「超」怖い話シリーズや、FKBシリーズ、東京伝説シリーズといった実話怪談シリーズを書いている。
作風はまあ、なんていうか。
人がポテトチップス食べるぐらいの気軽さで死んだり、道端で石ころを見つけるぐらいの気軽さで【言葉狩りに出くわしたので放送禁止。キから始まるあれ】にでくわしたり。人間の最底辺にフォーカスを当てさせたら天下一品って感じ。
ポップで楽しくデブやブスや娼婦や最底辺クソ野郎や血や眼球や肛門や人殺しでワハハと笑ってたら、最後の方にはなんだかしんみりとしちゃう。ふざけているようで大真面目。真面目な顔でクソをつんつん指でつついている。
「うーん、なんだかトイレの床にへばりついているクソのついた馬券を必死に剥がしているような最底辺が見たいなー」
「うーん、なんだか『クソ』という言葉をどれだけ使わずに『クソ』を表現するか選手権をしたらぶっちぎりの優勝をしそうな作者の作品が見たいなあ」
「うーん、なんだかB級映画を見ていたはずなのに腹の底からじんわりと温かくなってくるような小説が読みたいなあ」
「うーん、なんだか人間頑張れば肛門で哀愁を感じることもできるんだなあって証明するような小説が読みたいなあ」っていう気分になったときに最適な作家さんだ。あるか? そんなタイミング
今回紹介するメルキオールの惨劇は大真面目な感じだな。
主人公である「俺」こと12(12っていうのは、「俺」が殺した人の数だな。彼は甘いものが好きな人殺しなんだ!)は、『未来を約束された若者の不慮の死』が大好きな男、オギーからの依頼で、自分の子供の首を切断した女のインタビューを取りに来ていた。
オギーは自分の家に個人博物館を持っていてね、トラックに轢かれた拍子に下敷きになった被害者の腹に食い込んだ自転車(引き離したときに食い込んだペダルが腸間膜の一部と脾臓を引きずり出した)だったり、人違いで暴走族のリンチに遭い、頭部を轢かれた青年の帽子だったり、ケータイで喋る声がうるさいから駅のホームから突き落とされた女子高生の制服だとか、新婚旅行中にホオジロザメに襲われた新婦のダイビングスーツとかが蒐集されていて、あどけない、あるいは健康的な笑みを浮かべている被害者の写真と一緒に飾られてるんだよね。性格とっても悪いね
単にトラックに潰された自転車ならごまんとあるが、これは倒れた拍子に下敷きになった被害者の腹にペダルが食い込んだ逸品だった。そのため、救急隊員は自転車ごと十九歳になる青年を運ばなければならず、集中治療室で自転車が青年の身体から引き離されたときには腸間膜の一部と脾臓に嚙みついたペダルの歯がそれらを体外に引きずりだした。またハンドルに着いた毛髪と降臨の多段変速ギアボックスの内部に指の一部が残されていたことも大きなポイントとなった。
医師を目指していた青年は一浪後に念願の大学に合格、初めての夏休みでこの輪禍に遭い死亡した。
(本編:P22)
僕は『デパートの屋上で見知らぬ男にいきなり抱きかかえられ、そのままフェンスの外に放り出された少女のワンピース』が好きだったな。どういう状況だよ。ちなみにこのワンピースは弐百萬で買われてる。お金払ってくれるなんて優しいね(ぐるぐる目)。
そんな風に被害者の遺品を集めていたオギーだけれども、最近は『加害者』にも目を向けるようになっていた。殺人者のインタビュー。
自分の子供の首を切断した女へのインタビューというのは、つまり、それのためだ。そのついでに、未だに発見されてない子供の頭蓋骨も見つかったら最高! ってな。
まあ、そんな感じの話だ。
ここまで聞いたお前らはきっとここで首を傾げるだろう。
あれ、案外普通なクライムサスペンスめいたホラー小説だなって。
確かに性格は明らかに悪いけれども、どこに肛門で哀愁を感じるようなものが?
そうなんだよ。この小説は平山夢明作品の中ではわりと真面目な方でな、いや、いつもは不真面目だとは言わないんだが、真面目と不真面目の寒暖差が激しすぎて風邪を引きかねない人であるのは確かで、その点から言うと、今回はかなり真面目。大真面目。
だから、えー。不真面目でふざけてる小説とか読みたくねえなあって思ってるやつも安心してページをめくってくれ。
珍しい男だった。つるつるの禿頭だった。
いや、スキンヘッド自体は風変りといった程度だが、奴は、その頭上に犬を振り回していた。
一瞬、何かの冗談かと思ったが、紛れもなく鎖の先に繋いだ犬をヘリコプターの回転翼なみに振り回している。
犬は黒い成犬で、宇宙の仕組みを悟った神僧のような面で為すがままに飛行し、振り主からは景気の良い鼻唄が零れていた。
(本編:P6)
(参考画像)
……………………。
……………………。
逃げるなぁ!
逃げるほどでもないだろ!
彼の背丈は俺より頭ふたつ分大きく、肩幅は俺より一五〇パーセントは広そうだった。体重は倍はあるに違いない。
俺の前で腕の回転が終わり、犬はボクッと音をたて着地した。
「散歩かい」
「ああ、こいつは一日一回連れ出さないと夜鳴きがひでえんだ」
一見、”黒バターを造ろうと思って”と答えても不思議ではない男だが、根は大人しそうだった。
……………………。
……………………。
(本編:P7)
「珍しい色だ」俺は犬が蟹のように口から吹き上げている泡を見た。緑色だった。
「餌はなんだい」
「インク」
(中略)
「ほら。犬の蟲下しにはインクが一番なんだ。獣医なんかに連れてく奴は馬鹿だよ」
(本編:P8)
……………………。
そんな目で僕を見るな。
大丈夫だから、読み終えたらこの白痴のことも好きになってるから!
いや本当に
あとこいつ途中でめっちゃ賢くなるから
サクの中にはメルキオールという天才もいて、彼は禁忌をおかした弟の礫《さざれ》を殺そうとしている。メルキオールが覚醒していることは誰にも気づかれてはいけなくて、白痴のマネをしているメルキオールはめっちゃ面白いぞ。
サクは料理がめちゃくちゃ美味いんだが(料理中に卵の殻が残ってようよ羽虫が入ろうと涎が混入しようと最後に味を調整して絶品に変えるんだぜ!)、メルキオールは料理が出来ないとか、サクは性欲解消にベンチプレスをしているんだが、怪しまれないようにメルキオールもやろうとするが、重たくて窒息しかけるとかな!
すげえ、ここだけ見ると残念な天才って感じがひしひしとくるぜ。萌えキャラかな?
阿呆と知的キャラのギャップで頭おかしくなるから
人殺しで糖分摂取過多である12。
阿呆と知的を行き来するIQの低そうな笑みを浮かべるデカブツ兄、サク。
引きこもりで賢い弟、礫。
彼らの家を歪ませている禁忌と歴史。
互いに密かに殺そうとしている兄弟の行く末はいかに
そんなわけでメルキオールの惨劇。
煙草をふかしてるナイスガイがナイスガイな笑みで下賤な下ネタを連発しているような、B級映画の顔をしたガチガチ映画のような、頭の中を混乱させてえなって人にはめちゃくちゃおススメだ。平山夢明の混雑した言い回しを存分に楽しめるぞ。
それじゃあ今回はこんな感じで。
ばいばーい。
本当に混雑とした言い回しが多いから、そこのところはマジで注意だ!
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