春うらら、夢うつつ
二月には珍しい、あたたかな陽気の日だった。
フライングで春がやって来てしまったかのような。
こんな日に部屋にいるのはもったいないな。
ふと「出かけよう」と思い立った。
だらだらと準備をしながら家を出る。
あぁ、なんていい天気なんだろう。
心なしか弾んだ気持ちで電車に乗り込んだ。
目指すは夢見ヶ崎動物公園。
夢見ヶ崎動物公園は、住宅街のど真ん中にある。
小さな山の上にある公園だ。古墳もあるような山だ。
併設されている動物園は規模は小さいが、全て無料で見る事が出来る。
山_というよりは少し急な坂と言うべきだろうか_を登る。
息を切らしながら頂上に辿り着くと、平日の割には賑わっていた。
休日に挟まれた月曜日だから、もしかしたら有給をとってる人が多かったのかもしれない。
子供連れ、カップル、様々だ。
笹を頬張るだけで愛くるしいレッサーパンダ、群れでだらだらと昼寝するシカ、ゲージを登ったり穴掘りして愛嬌を振りまくプレーリードッグ、気持ちよさそうに日なたぼっこしているヤギ…。
ひたすらのんびりした時間が流れていた。
自由気ままに過ごす動物たちをぼんやり眺める。
時たまスケッチをとりながら。
あぁ、のどかだなぁ。のんびりっていいなぁ。
ペンギンやフラミンゴまでいるのは知らなかったので、少し驚いた。
無料で規模が小さい動物園とはいえ、結構色々いる。
結局二時間近く入り浸っていた。
まさに夢の中のような微睡みの時間だった。
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