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Hello! Project 2020 Summer COVERS 〜The Ballad〜 夏ハロ中野初日C 「新しい興行様式」

東京都内の新型コロナウイルス感染者数が再び急増モードに。しかも初日にあたる7月11日(土)の前日には、新宿の小劇場シアターモリエールで、出演者を中心とするクラスター感染が発生……。どう考えても事務所がハロコン開催を決めた頃には予測してなかった状況だと思いました、これは。

自衛のため、せっかく当たったチケットが紙くずになっても「行かない」という選択もありえた。でもやっぱり行こうと決めたのは、午前の公演に行った人から流れてきた念入りともいえる感染対策を見て、だった。

入場前(ホール前広場)
ソーシャルディスタンスの目印が貼られた入場列に並ぶ

スタッフが持っている最後尾看板の裏面にあるQRコードを読み取って、「COVID19 -追跡システム-」登録ページへアクセスし、
1)メールアドレス 2)座席番号 の2点を登録
(入場時にも登録可能)

入場時:
(階段にもソーシャルディスタンスの目印)
↓非接触検温
↓追跡システム登録(その場で確認・チケットと照合)
↓アルコール消毒(スタッフから手のひらに)
↓チケット確認、荷物チェックの自己申告
↓足拭きマット(最初の枠で消毒、次の枠で拭く)
入場

会館内:
・マスク着用厳守
・アルコール消毒液の設置
・公演中の声援・発声禁止
・規制退場(1F⇔2F交互に、1〜2列ずつ退場)
・天窓など各所の換気
 etc…

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エスタ(警備)と会館スタッフはほぼ全員マスクとフェイスシールド着用。いつもは入場時に配られるオデッセーのチラシ配布もなく、必要な手順を踏んだ後は、あっけなく人の少ないロビーへと放り出された。通常は大混雑になる物販スペースもロープで封鎖されている。売店の列にもトイレの待機列にもソーシャルディスタンスを促す目印が。

分散入場でほとんどの入場が終わっていたからにしても、開演前の1F・2Fロビーにたむろする人がいつもに比べて極端に少ない。ソファーもソーシャルディスタンス。天窓もさりげなく開放して換気。アルコール消毒液が各所に設置され、ロビーではスタッフが一人常駐し、マスクの非着用などをチェックしている(注意を受けるようなヲタクは見る限り皆無だった)。

入口で登録を促される「COVID19 -追跡システム-」は、厚労省の接触確認アプリとは全く別物で、メアドと席番を捕捉しておき、のちのち感染が発生した際に備える目的らしい。

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座席は一席おきに着席し、前後に空席を設けていた。ブロック・列単位で封鎖されている席もあったようなので、入場者数はキャパの40%くらいと思われる(公式発表では1000人)。男女比は目視で6:4くらい。

静まったホール内には小さな音量で、テレワーク歌唱の「負けないで〜愛は勝つ〜泣いていいよ」が延々とリピートしている。ステージ背面にはビジョンの設置がなく、したがっておなじみの開演前のCMもない。それでも重苦しさは全くなく、人の密度の薄さと二酸化炭素の放出量の少なさにより空気が美味しく感じられるほど(もちろんマスクを通して)。待つ時間は全然苦ではなかった。


本編と演出についてはネタバレ回避のため、ひとまずコンサートを観てざっくり感じたことを書いておく。
(歌唱順は毎回抽選で決められ、後半の公演の分は毎週金曜にOMAKEチャンネルで発表されるとのこと。中野の抽選結果は16日に公開)

普段に比べてとても簡素なステージの前面に、モニタースピーカーが6基並んでいる。つまり今回はイヤモニは使われていない。こういう素朴なコンサートを久々に観たなぁというのが、終わってすぐの感想だった。PAを通してスピーカーでホールが鳴る音を身体で感じ、照明がステージをふわっと照らすのを直接肉眼を通して見る。配信では絶対に味わえない感覚。ひとまずこれを届けたかったんだろうなということが伝わってきた(背面ビジョンがないのは、映像スタッフを省いて密を極力解消するためだと思われる。どうせ著作権的な理由で映像ソフトも作れないだろうし)。

大げさかもしれないが、敗戦後の焼け跡になった日本を数々の歌が照らした様子は、きょう観たハロコンのようなものだったのかも、と想像した。エンターテインメントとしてもゼロ地点からの新しいスタート。この簡素なステージと、普段のコンサートでは天地が裂けても絶対にやらないであろう、全編に渡るJ-POP〜歌謡曲のカバーを間近で見て、そのことを強く感じた。


東京を中心に再び新型コロナの感染者数が急激に増えている中、ハロコンを中止に、という声を(少数だけど)目にした。メンバーを心配する気持ちはわからなくもない。でも、もしこのまま無条件に公演を止めてしまったら、音響、照明、大道具、舞台演出、衣装、イベンター、etc……コンサートに携わるスタッフや運営会社の中には、これ以上体力を維持できずに力尽きてしまうところも出てくるかもしれない。一方でハロメンは、自粛期間のようなチャレンジ動画制作の日々にまた逆戻り。事務所がそのような状況で給料を払い続けることにいつまで耐えられるだろうか。

だからこそ危険を省みず無理にでもコンサートを開くべき、と主張したいわけでもない。危険に見える状況の中でも開催のための「条件」(会場の大きさ、換気、客席だけでなく楽屋裏も含めた十分な感染対策との関連性)を探りつつ、大丈夫な実績を少しずつ重ねていく。これからの興行はそういう努力なしにはもう開けないのかもしれない(新しい興行様式)。

音響、照明、衣装など、今回の現場が久々のスタッフもきっといたと思う。カラオケの出所について不思議に思っていたが、大久保薫さんのツイートで今回のためのオリジナル音源だと知った。そうやってお金が回っていくのも必要なこと。

まだ100%懸念が消えたわけではなく、メンバーが地方へ移動する際の感染がとても心配ではある。なにしろどこに落とし穴(時に地雷)が潜んでいるかわからないのだから。とにかく決して無理をしないでほしいと願う。

コンサートの最後に圭ちゃん(保田圭)が、観客に向かって頭を下げて訴えていたこと、それはアップフロントの西口社長が先日インタビューで伝えていた内容に近いと思われるので、リンクを載せておく。

自分もこのコロナ禍で、コンサートの開催を前提とした仕事をいくつか失った経験を持つ。前に音楽関係の会社に勤務していたので、コンサートの裏側でどういう人々が働き、その人達が現在どんな境遇で暮らしているかも大まかに想像がつく。興行を行う側に近い立場の感想のひとつとして受け止めてもらえたら、と思う。

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ところで、長い間J-POPという音楽ジャンルに対して強い嫌悪感があり、それがハロプロを聴く理由にもなっていた。J-POP=「グルーヴのない音楽」という先入観から、歌う人によっては歌詞(メッセージ)主体でグルーヴがおざなりにされてしまうのが気持ち悪いとずっと思っていた。

でも今回、J-POP(それ以前の昭和の曲も多数)、しかもバラードという縛りの中で、ハロメンの歌声の中にグルーヴ的な要素を感じ取ることができたのが大きな発見だった。中でも清野桃々姫、竹内朱莉、浅倉樹々、山﨑夢羽の歌唱が印象に残った。桃々姫のソロはひなフェスや実力診断テストなどで何回か聞いたが、いつも堂々としていて好感が持てる。

上手い下手の次元を越えて心を突き抜ける瞬間が訪れるのもアイドル的歌唱の魅力で、橋迫鈴、工藤由愛、山﨑愛生ほか何人かの歌にそれを顕著に感じた。宮本佳林と小田さくらの二人はほんとうの意味で何かを超越していた。佳林ちゃんやきしもんは何を歌っても自分の歌という感じだし、小田さくらはもはや自分の歌という次元も超えそうなところまで来ていた。

何回か歌ううちに良くなっていくことも絶対あるだろうし、後半や違うチームの公演も(行けなそうだけど)行ってみたいと思った。


おまけ)
・ビジョンがないため双眼鏡はあると便利。中野の2F最後列に近い席で、8倍の双眼鏡なら一人分の顔から全身が見渡せる。5倍だと厳しい。

・アンオフィ屋はいなかった。自粛…。

↑直接取材ではなくメディア各社に宣材(オフィシャルの写真とメンバーのコメント、コンサートの概要)を渡して自由に書いてもらうスタイル

↑ハロコンの感染対策に特化した記事

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