重症化したうつ病回復のロードマップとは(田んぼ理論)

自分がうつ病からの回復過程と向き合う中で、指針にしている本、うつ病は「田んぼ理論」で治る(川村則行)を紹介します。
「重症化してなかなか治らない方」、「家族や知り合いがうつに向き合っているけれど、どう接したらいいかわからないという方」へ向けた本のまとめです。
短期間で治ってきている方には、参考にならないと思います。
(数週間から数か月休んだらすっかり良くなった!仕事をしながらでもリフレッシュして睡眠をとっていってなんとか回復している!という方には、この記事、この本は関係ありません。そのままのペースでやっていきましょう!)

関係ないけど開いてしまって少し知りたい方は、この本でうつ病についてどう言われているかというと、

1 薬をきちんと飲む
2 長い昼寝をやめる
3 決まった時間に寝て起きる
4 とにかく歩く(最終目標は週に5万歩)
5 図書館に行く
を実行すれば、みるみるよくなる(カバーのそで部分)

「症状がなくなり、薬もいらなくなって、うつ病がすっかり治ったといえるまでに1年半から2年近く、もっと早くゴールにたどり着く人もいれば、もう少し余分にかかる人もいる」(p181)
「自分の能力に対する感覚と客観的なズレを意識しておくことが大事」(p26-27)
「飲酒は明らかに治療を妨げる」(p147)

とされています。
この本に限らない私の感想ですが、軽症のうつ・メンタル不調の場合、薬を飲まずとも、飲酒をやめ、朝散歩して(orからだを動かし切って)睡眠するという規則正しい日々を過ごせば、よくなっていくと私は思っています。
この部分だけを読んで別の方のnoteを読んでください。
愛を込めて。

さて、なぜこの本をまとめようかと思ったかというと、「自分が数週間から数か月の休養+運動では治らない程度のうつ病」で、「自分の状態を誰かに説明するために一番適している」と感じたからです。うつ病の本でリハビリ期や回復期の表を見てもピンとこなかったのですが、田んぼ理論はしっくり来たので紹介します。
「自分は今ここだよ」、「これを頑張っているよ」と言いやすくなるため、他の人に伝えるためにまとめています。残念ながら著者にはお会いしたこともありません。近くであれば血液検査を行うところなのですが。
「血液検査でうつ病を診断できる」とされている方が、うつ病にどう向き合っているか、見ていきましょう。


うつ病からの回復過程を、田んぼの収穫に見立て、
5つのステップ(冬0~4カ月・春4~8カ月・初夏8~9カ月・夏9~17カ月・秋17~20カ月)に分けています。

田んぼ理論
うつ病回復へのロードマップ

治療
薬を飲む 冬から春の終わりがメイン(秋までは続く)
歩く 春から初夏がメイン(秋までは続く)
心理療法 春の終わりから夏がメイン(秋までは続く)


うつ病になってからの おおよその期間

ステップ1 冬 0~4カ月

うつ症状
9項目のうち5項目以上に該当

本人の気持ち
「本当に治るの?」

仕事や家事
できない

自分の能力に 対する感覚
主観的 元気な時の20-50%
客観的 元気な時の0-30%

うつ病への理解
なぜうつ病になったのか、 わからない

神経細胞
炎症によって たくさん死んでいる

家族の あるべき対応
ひたすら見守る 「がんばれ」はNG

取るべき対応(本文より抜粋)
冬はできないことを諦め、重大ごとを決めるのを避け、休養中心で過ごす(p56-60)
薬を飲む(p60)


ステップ2 三寒四温 春 4~8カ月

うつ症状
1~4項目に該当

本人の気持ち
「もしかしたら治るかも」

仕事や家事
少しできる たまにできる

自分の能力に 対する感覚
主観的 元気な時の40-70%
客観的 元気な時の30-65%

うつ病への理解
なぜうつ病になったのか、 理解し始める

神経細胞
修復が始まるが、 まだ多くが死んでいる

家族の あるべき対応
一緒にがんばる 援助する

取るべき対応(本文より抜粋)
「薬」(微調整)(p91)
「生活習慣の修正」規則正しい睡眠リズム。長い昼寝をやめ外出(p92~105)
「運動」一週間に5万歩 思考力の改善(p106~114)
春の後半は図書館(p121-124)


ステップ3 初夏 8~9カ月

うつ症状
0~2項目に該当

本人の気持ち
「治った気がする」

仕事や家事
だいぶできる できそう

自分の能力に 対する感覚
主観的 元気な時の70-100%
客観的 元気な時の65-75%

うつ病への理解
まだしっかり理解していないのに、 「終った」と誤解しやすい

神経細胞
死んでいるものもあるが、 生き返ったものもある

家族の あるべき対応
うつ病や体の状態について 本人とよく話し合う

取るべき対応(本文より抜粋)
あと9カ月は薬を服用(p128-134)
治し切ると胸に刻む(p135)
ストレスに負けない強さを育てる(p139)
心理療法をスタートする(p140)
うつ病になった原因を理解して、原因自体を消し去る(p141)
認知のゆがみを修正する「マイナス思考」「べき思考」「白黒思考」(p168-169)


ステップ4 夏 9~17カ月

うつ症状
0~2項目に該当

本人の気持ち
「やっていけそう」

仕事や家事
できる

自分の能力に 対する感覚
主観的 元気な時の80-100%
客観的 元気な時の75-90%

うつ病への理解
理解はしたが、「再発したら…」 という不安がある

神経細胞
生き返ったものが かなり増えている

家族の あるべき対応
まだ完全に治っていないので 油断せず支える


ステップ5 実りの秋 17~20カ月

うつ症状
0項目

本人の気持ち
「やっていける!」

仕事や家事
できる

自分の能力に 対する感覚
主観的 元気な時の90-100%
客観的 元気な時の90-100%

うつ病への理解
もううつ病にならない方法が 見えた!

神経細胞
生き返って回復

家族の あるべき対応
信頼して
良い関係を維持する

●うつ症状の9項目

① 抑うつ気分
② 興味・喜びの喪失
③ 疲労感の増大・気力減退
④ 食欲不振・過多
⑤ 不眠・睡眠過多
⑥ 無価値感・罪責感
⑦ 思考力・集中力の低下
⑧ 精神運動性焦燥・遅延
⑨ 希死念慮・自殺企図

うつ病回復へのロードマップを通しての感想


この表の中で自分は、(あるいは接している人は)どのあたりの段階なんだろうと考えながら過ごすと(うつ病の方に接すると)対応も変わるかなと思いました。接する方は「家族のあるべき対応」を参考にしてください。
本人は、冬のどん底にいるときは休みながらも、少しずつ良くなっていったら歩くぞ!と思う気持ちも大事だと思います。(体験談)

自分の体験談であり失敗した話なのですが、「休養を取り、まったく動けないところから徐々に回復し、運動をする日々を続け、回復していることが嬉しいこともあり、出来るかもと思って復職しようとしましたが、しんどくなって失敗しました」。
この本を改めて読み返したのですが、かかった期間的には、まだ春の中盤から後半で、「歩くこと」や、「心理療法」が中途半端な状態であると思い、再度取り掛かっている状態です。
また、自分の主観的に思っている「やれるぞ」と判断している能力と、客観的に見た能力の差があることも改めて痛感させられました。

周りの人からの対応としても「寝込んでしまって動けないとき」や「疲れがすぐに出てきてしまう時」(冬)に「頑張れ」と言われるのは無理で自己嫌悪になっていましたが、今(春)は「運動療法」、「心理療法」に取り組んでいることに「頑張れ」と言わると頑張ろうと思う段階です。

という風に、田んぼ理論は、ある程度重症化した自分のうつには参考になることが多く、他にも参考になる方がいるかなと思いまとめました。
読まれている方の中で、家族や知り合いの方が「今どのあたりの段階なんだろう」ということを考えながら接することが出来たらいいなと思いました。

自分は今の自分の状態を春の終わりごろをイメージして、「運動」と「心理療法」を頑張っていこうと思います。

うつ病になって思うのですが、「うつ病はすぐに治るもの」と思う人が多くないですか?
自分は今まで「すぐに治るもの」と思っていました。今まで自分が見てきたのは軽症の人だったのかなと思いました。
この田んぼ理論を元に自分が時間をかけて取り組んでいる状況を説明して、治し切った自分を想像して取り組んでいきます。

共有したことで「同じくうつ病の人が前向きに取り組んでいったり」、「周りの人が時間がかかるイメージを共有出来たり」、「本人が頑張っていることを認めあえたり」したらいいなと思いました。みんなで一緒に良くなりましょうね。

愛を込めて。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?