生成AIゲーム企画ワークショップでの生成AI活用方法まとめ
初めましての人は初めまして。一般大学生のうつせぎと申します。
2/13 - 2/18 の間で開催された株式会社WITCHPOT様主催の
「生成AIを活用したペライチゲーム企画のワークショップ」
に参加してきたので、その体験レポートやらをちょいと書こうなと。
※ペライチ……A41枚の企画書
どこに生成AIを使ったか~とか作業してみてどうだった~ってのを適当に書いていきます。
完成物
複数の状態を臨機応変に切り替えながら対戦するレースゲームの企画。
状態遷移の種類を分かりやすくする為に音楽と喜怒哀楽で表現しています。
前提
まず、現状完全生成AI任せでは企画書を作ることはできません。悲しい。
なので、必ずパワポやらフォトショやらのツールを使って情報をまとめる必要があります。
という前提を置いた上で私のスペックがこれ。
要するに多少イラレを使って企画を書いたことがある初心者で、そんな感じの初心者がどう足掻いて作ったか~という体験談が今から始まります。
企画立案編=================
コンセプト決め(アイデア出し)
ゲームの中核にあたる超重要なフェーズです。
今回は主催側からお題(テーマ)がありまして、それが「せい!」という3文字。
これは「生!」だろうが「勢!」だろうが、どう解釈してもOKです。
お題の語句を元に、チャット系AIと対話して考えていきます。
チャット系AIは一応選択肢こそあれど、群を抜いてChatGPTが優秀ですね。
今回は課金してGPT-4を使いアイデアを出すことにし、2つの方法を試してみました。
1.とにかく単語を出力させてガチャ
「ゲームシステムに関連する語句を〇〇個並べて出力」といった具合にChatGPTに1人ブレストさせて単語を並べてもらい、それをランダムに組み合わせて出力させる方法。
本イベントの主催さんも紹介されていた方法です。
出してもらった単語を組み合わせていきます。
ここでは、ゲームコンセプトの考え方でよくある
「〇〇(名詞)が××(動詞)するゲーム」
という発想法のテンプレートを元にもう少し解像度を上げて、
「△△(場所/世界観)で〇〇が××する□□(ジャンル)ゲーム」
に変えて組み合わせてみました。
四項目それぞれ200単語位出力させてスプレッドシートにコピペ。
そこからはひたすらガチャを回します。
※ChatGPTでも無作為に抽出させることはできますが、数を出すのは時間がかかるのでスプレッドシートで抽出しています。
次は、この方法のメリットデメリットについて。
メリット
・新しい発想は得られやすい。
・大量に脳内サイクルを回せる。
・SSRを引ければ天下取れるゲームが作れそう。
デメリット
・面白い組み合わせになる確率は超低い。
・一切おもしろパワーのない語句も紛れ込む。
・世界観はほとんどありきたりなもの。
・とにかく時間がかかる。
基本的にはジャンク品の山から使えそうな物を探し出す作業です。
たまにお宝が出ることもありはするけど、大半はゴミといった感じ。
例えば、画像内の一番上にある「軽蔑する」という動詞なんかおもしろ要素0ですよ。どう頑張ってもゲームにできない。炎上してまう。
この方法を現実的に使うなら、ここからさらにリストを精査して面白くなりそうな単語だけ残していく必要がありそうです。人の手によるチューニングが必須っぽい。
ビジネス的にはこの手法は「強制結合法」とか言ったりするみたい。
2.AIが出したアイデアから広げる
今回1の方法を繰り返すだけの時間がない為、他の方法を模索することに。
1では、「単語を組み合わせる」といったアイデアの発想法は既にこちら側で決めていましたが、次は向こうから自由に発想して提示してもらい、選択肢の中から私が選んでいくスタイルに切り替えてみました。
結果的に今回採用したのはこっちです。
2の「感情ベースのゲームプレイ」が面白そうだと思ったので、2を選択した上で、既存のゲームシステムを挙げさせます。
パズルゲームとレースゲームを選択し、それぞれ「感情ベースのゲームプレイ」と組み合わせます。
感情×レースゲーム
という案に決め、ここから深堀りしていきます。
まず、感情という語句のままではシステムに落とし込みにくいので、「喜怒哀楽」に置換させて再度考えさせてみる。
レースゲームで喜怒哀楽の切り替え……車内音楽に対応するとかどうだろう。
そんな具合で気が済むまで対話を繰り返して、イメージの解像度を上げていきます。
テーマ解釈はややこじつけですが、レースゲームということもあり「制!」(制御の制)にしました。
この方法のメリットデメリット。
メリット
・向こうから提示された物を選ぶだけなので楽。
・何を選んでも一定以上のおもしろパワーが保証されている。
デメリット
・すごく面白そうな企画にはならない。(一定のラインを超えない)
・システムを考える上ではコストとリターンの話しかしない?
・アイデアの大元(始発点)は毎回ほぼ同じ。
・到底現実的ではない案も混じる。
はじめからある程度面白さが担保された案を出してくるのが1との相違点です。
ただ、こちらが上手く取捨選択して話を展開していかないと、探せばこういいうゲームあるかもなあといったラインに落ち着きやすい印象です。
今回私が作った企画も例外ではなく。(奇跡的に前例なしで助かった)
1つ訝しい点として、アイデアを深める上でコストリターンの話しかしない説が浮上しています。
ロケランで広範囲の敵をぶっ飛ばしたらおもしれーよな!
とか
落ち物パズルで大連鎖が決まったら最高にきもちーよな!
みたいな話はしない印象を受けました。
(上手く話を運べば話してくれるかも?未検証)
五感に訴える要素を入れたい場合は、人間側が提示する必要がありそうです。
市場調査(被ってないか確認)
良さそうなアイデアが出てきたら、真っ先に既に同じようなゲームが存在しないか調べなくてはなりません。
そこで役に立つのもChatGPT君。
公式が提供している機能の「Web Browser」を使って検索をかけます。
その名の通りインターネットの海から最新の情報を収集してきて、要約してくれる便利機能です。
ここで似てるゲームが見つかったらコンセプト決めからやり直すか、何か新しい要素をプラスして差別化を図る必要があります。
今回はセーフでした。
必要な項目の洗い出し(壁打ち)
ある程度イメージが湧いたら、次にそのイメージを明瞭なものにする為、足りていない部分をChatGPTと対話しながら埋めていきます。
先程までの流れでそのまま決めてもいいのですが、せっかく課金してるので……
GPTsというChatGPTをカスタマイズできる機能を使います。
GPTsができることは大きく分けて3つ。
役割、役職のインストール(追加学習)
API連携
学習済みGPTsの公開
Yotube動画の要約をしてくれたり、1人でTRPGができたり等、多分生成AIの中では今最もアツい機能なのですが、今回はその内1しか使いません🙄次参加する時はこの辺詳しく調べたい
設定方法は通常のChatGPTと対話する形で、
といった具合にテキストを送ると勝手に設定してくれます。
最終的に完成した設定はこちら。
ユーザーは自分の企画送るから、企画の粗探しして追及してね~っていう設定にしてます。疑似卒論発表。
残念ながら設定を間違えていて履歴が全て吹っ飛んだので、画像はありませんが、
GPTsと対話を繰り返して順調にアイデアを深めていきました。
企画がある程度固まったところで、相談内容を元にDALL・E3(画像生成AI)を使ってコンセプトアートを描かせます。
長くなりましたが、ここまででようやく企画出しフェーズ終了です。
個人制作の企画ならこれで終わりですが、今回の趣旨は第三者に一目で伝わる企画書作成なのでそうはいきません。
次はここまでのアイデアを少しでも多く伝える為、地獄のデザイン編の始まり始まり~。
デザイン編=================
ここからはひたすらイメージを視覚化していく作業です。
普通の企画書であれば、
・フリー素材を使う
・実際に市販されているゲーム画面をお借りする
・自分で描く
……など、手段はいくつかありますが今回はワークショップのテーマ的に「画像生成AIを使う」1択です。
画像生成AIの選択肢は数多くあります。
今回試したワークフローはほんの一例。
どこに画像生成が使える?
画像生成AIを使うと言ったものの、これまた万能ではありません。
現状使える場所と使えない場所が明確に分かれています。
使える場所(本企画の場合)
・UIを除くゲーム画面のイメージ
・コンセプトアート
・アイテム画像
……以上です!少ない!!
企画書で具体例を出すと車が描かれた絵全てと、レコードが該当します。
逆に言うとそれ以外(タイポグラフィやコマ割り)は単にデザイン初心者がもがき苦しんだ跡ってだけなので、そこの工程は割愛します。
あと、難しいもので言うと人体以外の絵柄統一はかなり面倒です(やれないことはない?)
今回はある程度色を似せる程度にして諦めました。
この辺り簡単になれば本制作でもガンガン使えそうなんですけどね……。
コンセプトアート編
まずは企画書のこの部分。
1番手前の車は企画立案編で出力させたコンセプトアートを切り抜いて使っています。
あとは、その後ろ2台をどのようにして作ったかというお話。
ここも作業時のイメージは残ってないので再現で対応します。
ごめんなさい。残しとけよ!カス!!
使うツールはLeonardo.aiです。
本制作ではかなり重宝しました。
今回はこの中のRealtime Canvasを使用します。
これは名前通りの機能で、
ブラシで雑に書いた絵とテキストのプロンプト
を元にリアルタイムで綺麗な絵に変換してくれます。
上手く工夫すれば大体なんでも描けると思います。
……でもお高いんでしょう??
Up scaleしなければ完全無料だし、
毎日150クレジット無料で貰えるので困りません!
しかも商用利用できるらしいよ!!!!(記事執筆現在)
自分で言っててもホントかよ……って思う破格のサービス内容。
Upscaleすると8クレジット消費します。
この辺り仕様が謎なんですが、デフォルトでは画像サイズが512×512pxで、Instant Refineすれば1024×1024まで上がります。
んで、Instant Refineではクレジットを消費せず、Upscaleでは画像サイズは大きくなりません。どういうこと??
詳しい方いたら教えてください……。
なにはともあれ、
企画書で見せる程度のイメージ画像であれば全く問題なしです。
ありがたく利用させていただきましょう。
本題に戻ります。
Realtime Canvasではブラシでの手書き入力の他に、画像貼り付けにも対応しています。
もうお分かりだと思いますが、他の車は透過画像の上からブラシで雑に色を塗っただけです。超簡単。
ゲーム画面編
こちらもRealtime Canvasを使用して作りました。
コンセプトアート編と違うのは、実際のゲーム画面のツギハギ画像を元にして作っているところです。
このやり方はちょっとグレーなところもあるので紹介は控えておきます。
没画像編
結果的に一部分しか使わなかったものの、工程としては色々応用できそうな感じだったので紹介しておきます。
まずは元になる画像をRealtime Canvasで作成。
この画像をPhotoshopで読み込んで生成拡張機能を使います。
すると……
次に右上の緑部分に草を生やします。
緑で塗りつぶした後、選択して生成塗りつぶしを実行。
この時点ではかなり不自然ですが、これをさらにRealtime Canvasに持っていき調整すれば下画像の通り自然な芝生を生やせます。
Photoshopで1部修正→Realtime Canvasで全体を調整
という流れは色々な場面で使えそうです。
おまけ
レコードのアイテム画像はDALL・E3で出力したものをそのまま切り抜いて使いました。
完成!
とっても長くなりましたが、以上が今回試したワークフローのご紹介でした。
初心者なりにわりと上手く使えたんじゃないかと思ってます。
同社の生成AIゲームジャムぶりに生成AIに触れましたが、たった3か月で色々なサービスが出ててビックリ。
ゲームジャム時は制限を設けてゲーム制作に挑む縛りプレイみたいな感覚が根強いものでしたが、今はかなり実用レベルに近づいてきてるなと感じました。
まだまだ調査したいサービスは沢山あるので、次もできれば!参加しようと思います。
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