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完璧にしない旅

国内に限るけど、一泊二日の旅行もけっこういいと最近思うようになった。何泊もする本格的な旅行だといろいろな調整が必要で、実行するまでに時間がかかってしまうし、根気のないわたしなんかは途中でめんどくさくなる可能性もある。
でも一泊だと宿泊場所と交通手段が確保できさえすれば明日行こうかなくらいのこともできる。

一泊だと荷物が少なくてすむから、荷造りも荷解きも短時間でできる。スーツケースやボストンバッグは使わず、大きめのカバンを買ったときにショッパーとしてお店で入れてくれた分厚い綿素材のトートバッグで行ってしまう。軽いから網棚にも楽に乗せられるし、かさばらなくてなかなかいい感じである。
出かける前の家の中の準備がラクなことも一泊旅行のいいところ。今日行って明日には帰るから、冷蔵庫の中を神経質に整理しなくていいし、数日家を空けても大丈夫なよう血眼になって掃除しなくてもいい。洗濯だけはしていくけど、あとは普段の掃除をして出かければいい。家の中の雑事をばたばたとやると出発前にすでに疲れちゃう。今まで旅先で体調をくずすことがあったのはそのせいかも。
それから、うちには猫がいるのだけど、一泊なら今のところは一人で留守番できるのでシッターさんをお願いしなくてよい。でも甘えにゃんなので、シッターさんなしの留守番は一泊が限界かも。こっちもいろいろ心配だし、短時間でもひとに来てもらった方がいい。

旅の予定も余裕をもたせている。時間を気にしてぎりぎりで回るより、「もう1カ所行けるかな、でもやめとこ」くらいにしとくのが、食べ過ぎてお腹がはちきれることもなくちょうどいい。
最近は普段の生活でも、ぎりぎりで行動しないよう時間に余裕をもたせるようにしているので、時間が余っても損したと思う感じがなくなった。
とくに旅先ではそこらへんを歩いているだけでわくわくするし、スーパーマーケットで東京との品揃えの違いを見ても楽しいし、季節がよければ水が動く(要するに海や川)のをいつまでも眺めていられるし、普通にドトールなんかに入ったっていい。安上がり。
それに、余裕があった方が予想外にどこかで時間がかかったときにも焦らずにすむし、気が変わりやすいので、途中で予定変更もしやすい。

食事を腹八分目でやめておけば満腹で苦しい思いをしなくていいのと同じで、旅行もちょっと物足りない、あそこも行きたかったくらいにしておいたほうが楽しい思い出が残りやすい気がする。それにまた来るねという口実にもなる。
若いときほど普通は余命が長いからまた行ける確率も高いのに、あれもこれもと欲張っていたのはなんだったんだろう。来られただけで幸せという感覚が今はある。
そのせいか、旅先でハズレに出会ったときに腹を立てたり自分の選択を後悔したりしなくなった。べてがすべて楽しかったり素晴らしかったりおいしかったりするわけではないけど、やっぱりそれらも含めて楽しかったー! 満足ー! となるのだ。ただの単純バカかもしれないけど。

完璧を求めると、効率よくたくさんのことを経験し、食べるものはすべておいしくて、宿も快適で……ってならなかったときに、激しく落胆してしまう。
けど、なんとなくな感じの中途半端な気持ちで旅してれば、いいことがあればうれしいけど、そうでもないときでもそういうことありきだと思っているからダメージが少ない。計画性も根気もない自分にはゆるい旅がちょうどよかったんだなと今さら思う。
なんにせよ荷物も予定も気持ちも身軽な旅がいちばんでございます。

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