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独身の終活

タイトルを入力したとき「就活が終了」と変換されて、それはそれでめでたいことだよねと思った。しかし、おばさんのそれは終活です、終活。

先だって、行政書士と公証役場に行って、作成していた遺言書に署名捺印し、遺言書が有効となった。
これまでもちょこちょこnoteに書いてきたけど、これで終活はいったん終了した。

終活内容のメインは、以下の3つ。

  • 墓の購入:こちらに書いた

  • ペット信託

  • 遺言書の作成

  • 死後事務委任契約

なんせすべてが初めてのことなのは当たり前なんだが、それにしても、読解力・理解力をフルに発揮させざるを得ず、脳が石灰化した。

墓は都立の霊園のため、申込みが年に1回しかない。ちょうど抗がん剤の副作用でへろへろの時期だったけど、生きてるかもわかんない来年に持ち越したくないので、わかりづらい書類と格闘しながら、頑張って申し込んだ。
ちなみに、祖父母と両親が入っているお墓は、永代供養墓へ移行した。

いちばん気になっていたのは、ペットのことだ。わたしがペットより先に死ぬ可能性も出てきた今(1年前までそんなこと考えたこともなかった)、残された猫をどうするか問題が出てきたのだ。
友人の弟さんが預かってくれると言ってくれていたんだが、弟さんのお宅にはすでに数匹のお猫様がいらっしゃる。うちの猫は最初の里親先で「この仔が来て先住猫が下痢になった!」と突っ返された猫なので、先方のお猫様たちにストレスを与えては大変なので、ありがたすぎるお話だったが、お断りした。
人間は大好きだけど、同類とうまくいかないって、ゴリラとしか仲良くなれない偏った人間みたいなもんだよね。

そして、今年の2月ごろ、重い腰を上げてペット信託に着手することにした。
ペット信託はまだ対応するところが少なく、また、ペット信託というシステムが福岡県発祥らしく、東京ではなかなか見つからなかった。
鼻血が出るくらいいろいろ検索して、ある行政書士事務所が対応できることがわかり、そちらにお願いすることにした。
といっても、行政書士事務所には「ペット相続士」という資格をもつ職員がいるものの、あくまでも仲介である。
実際には、飼い主の死後、ペットの今後のことを対応してくれるNPO法人(これも福岡!)と、死因贈与契約を結ぶことになる。
そのためには公正証書遺言を作成する必要がある。公正証書遺言が無効になれば、受益者であるNPO法人との契約も無効になる。公正証書遺言と受益者たるNPO法人との死因贈与契約の両方があることで、ペット信託は有効となる。

公正証書遺言には、ペットだけの遺言だけでなく全財産についての遺言も記載できる
とのことだったので、そのようにお願いした。「遺言書なんてどこに頼むんだよー、弁護士? 司法書士? 高そう!」と悩んでいたので、渡りに船である。

また、当初は想定していなかったんだけど、渡りにもう1艘船が来た。こちらの行政書士事務所で、死んだ後の諸々の手続きや遺品整理をやってもらえるのだ。
行政書士事務所と死後事務委任契約を結んで、死後の入院費の支払いから納骨まで対応できるという。
パソコンや記録メディアの適切な処分や、クレカの解約などかなり細かいこともできるらしい。いや、さすがにそこまではと思って、主に遺品の整理だけをお願いした。
一人暮らしで平均より物が少ないとは言え、これを姉が一人で一つ一つ寄り分けて捨てる作業をするのは大変だし、時間もかかりそうだし、かなり負担をかけると思うので。

ペット信託からいろいろつながって、結局気になっていたことがワンストップでできてしまって、想定より楽だったというのが終わってみての感想。
バスの車内広告で見たんだけど、遺産の相談、遺言書の作成から遺品整理までをワンストップで相談できるところもあるらしい。「ほけんの窓口」の終活バージョンみたいな感じなんだろうと推察する。こういうのを活用してもよいのかも。

***
祖父母や両親の世代は、「死んだ後のことはよろしく」的な感じだった。よほど財産を持っていれば遺言書をつくったと思うけど、普通の庶民なので、軽く考えていたんだろう。
ひとが亡くなった後は、財産だけでなく、さまざまなことがお困りごととして、子らに降りかかる。
細かいことでは、亡くなったことをだれに連絡するのか、あるいはしてほしくないのか。大きいことだと、隠し子がいるのかいないのか。まっ、庶民だからいないと思うけど。
でも、通帳はどこにあるのか、これらの通帳で口座は全部なのかとか、変なサプリのサブスクはしていないかとか、手探りで、かつ推測も交えて処理していかなければならない。
また、母の場合は、タグの付いたままの服やバッグなんかがごろごろあった。こういう一つ一つの処分だって、捨てるのかリサイクルに回すのかを考える時間も含めて、チリも積もれば大変だ。

友人の夫の亡き父母は入る墓がなく(骨壷を入れるスペースが満員御礼状態のため)、骨壷のまま家にあるらしい。夫は、自分が死んだら後はよろしくなどと嫁である友人に言っているらしいが、そんなのは生きているうちに解決しとけと思うし、夫にそう伝えとけと言っといた。自分の親と自分の骨の行き場くらい決めとけっつーの。

死んだ後のことは知らんぷりなんて、無責任にもほどがあるけど、多くのひとは悪気なくそういうことをしてしまう。
口では「そろそろお迎えが……」とか言いつつ、自分の死なんて考えたくないのだ。考えたくないことについてなにかアクションを起こすのは気が進まない。わたしだって、猫が先に死んだ場合のことは、火葬する以外のことはなにも着手できていない。考えたくないことだから。

とにかく、口をものすごく酸っぱくして言いたいのは、家族がいようがいまいが、自分が死んだ後、だれかが途方に暮れないようにしておくことは絶対に必要だということ。
終末期になってからでは遅いのだ。ある程度の年齢になったら、準備しておくべきです(力説!)。


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